「発達障害者の特性別評価法(MSPA)」というものが保険収載されたらしい

発達障害支援のための有力ツールが保険収載!

連休前だったかfacebookで回ってきた情報なのだが、ちょっと興味深いので紹介しておこうと思う。

http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/events_news/department/ningen_kankyou/news/2016/160413_1.html

発信源は京都大学。

簡単に概要を説明すると、数年前からさまざまな研究機関が国の肝いりでやってる「構成論的発達科学」というプロジェクトで、京都大学でされていた研究から「発達障害者の特性別評価法(MSPA)」という評価ツールができて2016年4月から保険収載までこぎつけたんだそうだ。

どんなツールかというと、発達障害児者にありがちな障害特性を、

  • コミュニケーション
  • 集団適応力
  • 共感正
  • こだわり
  • 感覚
  • 反復運動
  • 粗大運動
  • 微細協調運動
  • 不注意
  • 多動
  • 衝動性
  • 睡眠リズム
  • 学習
  • 言語発達

の14項目に分類して評価し、レーダーチャートにして視覚化することによって、支援の迅速化、支援情報の共有化を進めやすくしようというツールである。

図を見る限り非常にわかりやすいイメージである。

具体的なやり方だが、特定のテストを利用するのではなく、本人や保護者と面談しての聴取を行ってレーダーチャートに仕上げていくとのこと。

chart.jpg

(http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/events_news/department/ningen_kankyou/news/2016/160413_1.htmlより引用)

なるほど、確かにこういった共通言語的なものがあれば個別の支援をどうするかについて支援者間で話が通じやすくもなるだろうし、当事者にしても自己理解を進めやすくなるといったこともあるだろう。

 

賛否両論あるが...

こういったチャート化含めた評価法というのは、とかくいろいろな危惧や批判が出る。

「あなたはこうだから...こうしなさい」といった押しつけ支援のネタになってしまうのではないかとか、逆に「私はこうだからこう支援してくれなきゃ困る」といったごり押し要求のネタになるんじゃないかとかいうのが持ちがちな危惧だろうし、人間をこういった形で評価するのは非人間的...という批判もあるだろう。評価の観点は本当にこの分類でいいの?とか、結局聞き取りで調査って客観性に欠けるのでは?とかってな疑義もだされるだろう。

とはいえ、今までこういった個人の特性に合わせた支援につなげるためのツールの開発がほとんどなされておらず、何をどう支援していったらいいのかの共有かできていなかったことを考えたら、この評価法が保険収載されたということの意味は大きいのではないかと思う。

保険収載されればいろんなところで使われることになるだろう。そうなればこのチャートの分類が当事者の実態に本当にマッチしているのか、発達障害の障害の核心はどのあたりに?といった研究へも広がっていく可能性もあるだろう。

発達障害の障害特性といわれるものは実は不変ではなく結構変化する。そしてそれまでの人生で得た知識が関与する部分も大きい。

変化しやすい特性、しにくい特性、そして知識の関与、その相互の関係についてもわかるようなチャートができていけば改善戦略として大いに使えるようなものになっていく可能性もある。

そういった意味でも、この「発達障害者の特性別評価法(MSPA)」が保険収載されたということは、そのはじめの一歩たりうるのではないだろうかと結構期待している。

京大やるじゃん!

 

 

どこに行けば受けられるのかの情報は今のところつかんでないのだが、自分もこの評価うけてみたいなあ~と思う。

 

 

▼最近読んだ本、結構興味深いです。

 

 

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第63回アスパラガスの会参加登録開始のお知らせ

ついこのあいだお正月がきたとおもったらいつの間にか1月ももう少しで終わりというところに。

今年は暖冬かとおもいきやここ数日強烈な寒波がきてあちこちで雪が降ったとか。
大阪は雪はあまり降らないものの一昨日あたりからとっても寒くなり、まるで仙台あたりにいるような感じです。


さて、次回の第63回アスパラガスの会のご案内です。
 

第63回アスパラガスの会開催概要



とき:2016年月2月27日(土) 午後2時~午後3時45分

ところ:JR大和路線・近鉄道明寺線 柏原駅徒歩数分の公共施設

参加費:100円(通信費・資料代等)

申込期間 2016年1月25日(月)~2016年月2月14日(日) 

テーマ : 定型発達者の言動・行動について考えてみる

定員:25名(先着順)

エントリーフォームへはこちらから(第62回分)


次回のテーマは「定型発達者の言動・行動について考えてみる」

ASD者にはどうもピンとこない部分のある定型さんの言動・行動。
どう理解していけばいいか、そしてどこまでつき合うのがいいのか?そんなことをテーマに話しあう予定です。



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発達障害児の子育て、将来を見すえたサポート(支援)のために

サポート(支援)が重要といわれても...


発達障害に関する本は最近ちまたにあふれている。テレビなどのマスメディアでの特集もけっこう多い。


だが多くの場合「特性に沿ったサポートが重要」というのが連呼され、「適切なサポートがないと二次障害に...」ってなことが喧伝され、不安なら医療機関にかかりなさい、支援機関に行きなさいということまでしか出てこない。


だが、特に幼少時は医療機関にかかっても診断がつくだけ、あとは園や学校に相談してくださいってなことも多い。医療機関からのアドバイスもスポット的なものになる。となると親御さんは自分で発達障害児へのサポートについて勉強していかざるを得ない場合が多い。


熱心な親御さんは療育にしろ生活の中でのアプローチにしろいろんな方法を試しているようである。最近はSNSなどでそのリアルな姿を垣間見ることも増えてきて、その熱心さに驚かされることも多い。


しかし、支援に繋がり、いろいろ考えてるしとても熱心なのに次々とトラブルが湧いてきてしんどそう...という場合もけっこうある。


ずっとその原因は何だろう?と長々と考えていたのだが、あまり長くなるのも読む気を削ぎそうなので4000字以内に抑えるべく思考過程は思い切り省いて結論に飛ぶ。ほぼこれにつきると思う↓。


「見通しと目標地点がみえていない」


これがなければ「特性にあわせてサポートを...」といわれても単に甘やかすだけになっていやしないか...という不安が生じてしまいやすいだろう。


ただ、親御さんがこういった状態に陥りやすいのはある意味当然のことである。なにせ発達障害という子の問題はたいてい親業新米のうちに直面するのだから。


となるとプロである医療者、支援者が親御さんに対しちゃんと「見通しや目標地点の提供」をして欲しいところである。


支援の要、見通しと目標地点はどういったものか?


じゃあ、発達障害児の子育てにおいての「見通しや目標地点」ってどういうものなんだろう?


「子の無事な成長」「将来の自立」はまあ子が発達障害児であろうとなかろうと同じだろう。


ただ、無事な成長と将来の自立の為の方策に一般的な子育ての方法が適用できないので


「どうしたらいい?」


が大量発生する。


大量発生するのはしかたないとしても、どうしたら「将来の自立」に繋がるのか?そのあたりが見通しである。


別に発達障害児支援に限らず、何ごとにおいても見通しがないままあれこれやればトラブル対策が後手に回るのは世の必定。もちろん状況の変化はあるし見通し通りにいかないこともある、意外な盲点などが出てくることもあるが、だからといって大局的な目標地点や見通しを持たなくていいということはない。場当たり式の対処が禍根を残しやすいのもまた世の常。


ここでまた思いっきり思考過程をすっ飛ばして次なるポイントにいくが、私は目標として以下のようなものを考えている。


(1)能力を自立のために使うための体力の確保をするため、そして知覚認知の問題からくる認知の問題を生じにくくするために身体面・感覚面の問題をできるだけ少なくする。


(2)社会生活で必要となる生活スキル、対人理解、対人スキルを身に付けるための経験を増やす。


(3)誤学習を早期に発見し2に影響を及ぼさないようにするとともに、セルフツッコミを入れられるようにする。


 


成人後に出てくる問題は水面下に潜みやすい


とはいえ場当たりになりやすいのもわからないでもない。


幼児期には幼児期の問題があり、小学生、中学生、高校生...と、それぞれの時期に出やすい問題があるし、親が直面する問題と子どもの直面する問題もまたちょっと異なる。


食卓で肘をついて行儀が悪いといわれても、子ども心には「わかってるけどなんかいつの間にか肘をついちゃう」だったりするわけで(←ここまでは私の子どもの頃のことである)、これが身体の使い方の問題で姿勢の維持がしにくいこととの関連と捉えるか、単に指示が理解しにくいだけの問題と捉えるかの差は大きい。


前者の対策をとれば将来の体力問題にまで関係するので就労にまで関係する。だが、後者だと食卓だけの問題となり、潜在的にある姿勢ひいては体力の問題には手つかずになり、それが解決するかどうかは運次第だということになる。


ちなみに姿勢の維持に関しては現在の私は困っていない。なんだかんだで自分で対策してしまったようだ。このあたり詳しくはこちらの記事をどうぞ。


とまあ、水面下にもぐりやすい問題の一例を挙げたが、そのとき本人や親御さんが直面している表だった問題の陰にこういった「対策しとくと後が楽」という問題が隠れてしまいやすい。


その辺こそ医者なり支援者なりにちゃんと提示して欲しいと思うのだがあまり出回ってないので、提示されることの多い療育法や。よくありがちでピンとこない(つまり親御さんが途方にくれやすい)医療・支援・教育関係者の言動も込みにして年代ごとに表にまとめてみた。拡大しないとたぶん見えない...ので画像クリックで拡大してみていただきたい。(pdf版はこちらからどうぞ


lifespan.jpg


対策が後手後手に回りやすい理由がおわかりいただけたのではないかと思う。


 


 


将来の適応状態を左右するのは?


発達障害児が成長したときの適応状態を大きく左右するのは「体力と知覚の問題」「自他の境界の問題」「誤学習と未学習の問題」だと私は思っている。(リンクは関連の過去記事へ)。


さて、ここで前述の「目標地点」を再度引っ張りだし、なぜそれが目標たり得ると私が考えるのかかーるく説明しておこう。


(1)能力を自立のために使うための体力の確保をするため、そして知覚認知の問題からくる認知の問題を生じにくくするために身体面・感覚面の問題をできるだけ少なくする。


簡単な話、姿勢維持してある程度の時間座っていられない体力では就労もままならないし、がんばったとしても腰痛肩こりなどの身体のトラブルのもとである。そして知覚刺激疲れで体力を浪費してしまうと疲労も蓄積しやすい、睡眠の時間と質が確保されていないと知覚の問題も生じやすいなど結構身体の問題は重要だ。


さらに知覚の問題は自他の境界という問題に結構関係するだろう(この辺は先送りしてまだ記事にしてません...しばらくお待ちを)。感覚的にさっくりかいてしまうと「コタツで自分の足の存在が怪しくなる状態」では自他の区分はつきにくいだろうということだ。


 


(2)社会生活で必要となる生活スキル、対人理解、対人スキルを身に付けるための経験を増やす。


いわゆる「シングルフォーカス」だったり「他者認知の獲得」が遅れていたりすると、定型児が周囲を見てさっくり学んでしまうことを学習しそこねてしまうことが結構多い。生活スキルを獲得しにくければ自立的な生活をしにくくもなる。そして対人理解や対人理解の面で未学習が多いと「とんでもない誤学習」が起こりやすくもなる。


というわけで最低現の社会的理解、スキルは意識して増やしておくことは重要だろう。


 


(3)誤学習を早期に発見し2に影響を及ぼさないようにするとともに、セルフツッコミを入れられるようにする。


誤学習は正直なところ環境依存である。家庭でどんなに予防しようと頑張っても、子どもの生活圏が拡大するにつれ子どもが家庭の外から情報を得る機会は増える。つまり誤学習のネタは増えていく。そして一旦得た知識も年齢によって意味が変わってくることも多い。


幼保の園や小学校低学年でよく言われる「みんな仲良く」を真に受けて、その上に拡大解釈して「人を嫌ってはいけない」とか「人に嫌われてはいけない」まで思い込んだ状態で年齢があがったら、人付き合いがしんどくなるのは当然の帰結だろう。


となると、子どもがどういった対人関係理解をしているのかをよく観察し、将来に禍根を残しやすい誤学習があるかをチェックしておくとともに、極端な考え方を自分で修正できるようにしておく必要はあるだろう。 


なんのために「障害特性」の理解の必要があるか?といったら、こういった対策を立てるときに「特性を考慮にいれつつ」考えていく必要があるからだと思う。


 


というところでなんとか,目標の字数に収まったようだ、ではまた。


 





先輩お母さんの本▼



脳の可塑性にワクワクする本▼








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NHKきょうの健康で子どもの発達障害特集(2016/01/18-20 3日連続)

きょうの健康で3日連続の発達障害特集

NHK Eテレで子どもの発達障害に関する特集をやるらしいという情報が暮れにSNSで流れてきた。

すぐ紹介しようかとも思ったのだが先すぎて録画予約ができないよなと思い寝かせておいた。

「きょうの健康 子どもの発達障害 徹底解説」番組情報

2016年1月18日~20日 いずれも午後8時30分~45分

チャンネル NHK Eテレ

  • 18日 自閉症スペクトラム
  • 19日 注意欠陥多動性障害
  • 20日 学習障害

総合テレビの先取りきょうの健康 は16日(金)午前10時40分~と16日(土)午前4時15分~

番組ホームページはこちら

 

解説するのはお茶の水大学大学院教授、榊原洋一氏(榊原氏のブログはこちら

 

テキストを買ってみたが...。

NHKの「きょうの健康」でであるから当然テキストなんてものもある。番組テキストは税込み545円で手軽に買える値段、スーパーの雑誌コーナーにも結構並んでいることがあるので目にしたことがある人も多いだろう。

とりあえず読んでみたいが本屋に行っている暇はないし、狸穴に一番近いスーパーにはなぜかない...というわけでamazonで調達した。

これだ↓

 

きょうの料理以外のテキストを買うのなんてひっさしぶり!というのはまあともかく中をのぞく。

なんだかちょっと「うーん???」な感じ。

「障害ではなく違いと捉える」「治そうとするよりサポートを」「褒めて自信をもたせる」...、その辺りに力点がある感じだし、対応がどう子どもの将来へ繋がるのかといった展望があまり見えてこない。

まあ、番組でどこまで踏み込むのかわからないが、お子さんが小学校低学年くらいまでで「我が子の学校や園での行動が気になっている」という親御さんを対象とした番組といった感じなのかもしれない。

 

前週の1月11日~14日は睡眠障害の特集

ちょっとおまけ、

このシリーズの前週、11日~14日は発達障害者にもありがちな睡眠の問題に関する特集である。 

気になる人も結構いそうなので紹介しておく。

 

 

 


私としては身体や感覚の問題とかにもっと踏み込んで欲しい気も…

でもって、下の本読んでるとある程度「治る」を想定してもいいんじゃない?と思うのだw。

 

 

 


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アスペルガー症候群かもと思ったら-支援に繋がる前に知っておきたい7つのポイント-

アスペルガー、発達障害関連情報はカオス?!

支援迷子・情報迷子にならないために

我が子が、自分が、アスペルガーかも?と思ったら...今のご時世ならまずするのが「Webで情報をあさる」だろう。

これを読んでいるあなたもそうやってここにたどり着いた方かもしれない。

だが、アスペルガー症候群、発達障害といったものを調べるとまあ出てくる情報がカオスである。

「障害か個性か?」「周囲の理解を」「療育が必要」「治らない」...じゃあいったい何をどうしていいのか?といいたくなる多すぎてクラクラしそうだ。

そしてWebの発達障害関連の情報にもまれて、でもやはり気になるとなるとお世話になるのが各地域の発達障害者支援センター(発達障害者支援センター一覧はこちら(当ブログ別館))や、児童相談所(児童相談所一覧東日本版児童相談所一覧西日本版)だろう。だが、これも実は結構地域によってクセがある。

というわけで、カオスに飲み込まれないために気をつけたほうがいいポイントというのををアスペルガー当事者目線でざっくりと書いてみた。

 

1.身体や感覚の問題は大きいと心得る 

アスペルガーというと「空気を読めない」というのが取りざたされることが多いが、結構身体のモンダイは

身体と身体感覚のモンダイは結構大きい

アスペルガー児者は姿勢があまりよくないことが多い。猫背だったり前屈みだったり、歩くとつま先立ちだったりドラえもん歩きだったり、そして座っていてもぐにゃっとしてしまいがちだったりその逆でカチンコチンだったりとまあ、パターンはさまざまだがとにかく姿勢があまりよくない。

あっちこっちによけいな緊張があったりすればそりゃよく眠れないってことも多くなる。

その状態でまともに仕事なり学業なりしようとすれば他の人より疲れるのは当然だし、それは意欲や気持ちにも影響してくる。

そして身体感覚の問題もある。身体感覚がつかみにくく「コタツに入ると足がなくなる(ニキ・リンコさん)」などの状態では日々の生活動作あちこちに困難を生じる。他にも痛みを感じにくいだとか体温調節が苦手で汗をかけないなど、いろいろある。

こういった身体の問題を放っておいていいわけはないだろう。

知覚のモンダイも結構大きい

感覚過敏というと「ある種の音が苦手」とか「光に敏感でまぶしがる」というように書かれていることが多いが、これは「苦手」で済まされない問題だ。簡単にいってしまえば極端な「音疲れ」「視覚疲れ」が生じる場合が結構あるのだ。

極端な偏食なども味覚の問題であることが多いと思うしそれは他の感覚と連動する場合もある私自身音疲れ状態だと味覚がおかしくなる)。

 

身体や身体感覚・知覚の問題は本人にとってはそれがデフォルトだし人と比較するのが難しいため気がつきにくい。デジタル耳せんを試してはじめて音がしんどかったことに気がついたという人も実際にいる。

先ずはこのあたりの対策をしないと何の対策をしてもなかなか効果が上がらないといったことはあり得るだろう。

 

関連記事:デジタル耳せん(キングジム製)を買ったのでその感想 【聴覚過敏対策グッズ】

2.「周囲の理解」を過剰にあてにしない 

あちこちの発達障害本には「周囲の理解が重要です」的なことがよく書いてあるが、これが実は結構クセモノだ。どこまで理解すべきか?どこまで許容すべきか?という問題が生じる。

結論から言えば「他人に損害を与えたり我慢を強いるような事への理解は得られない」という非常に常識的なラインで世の中動く。

特性だからと仕事の場で遅刻しまくれば信用を失うのは当然である。アスペルガーという障害名は免罪符ではない。

もう一つ

「周囲の理解が重要」を反転させて「周囲が理解すべき」ととらえてしまうと何かと不満の元になる。

いくら「周囲の理解が重要」と医者や支援者が言ったたところで、それができるのはせいぜい親や福祉関係者、教育関係者どまりだ(それで飯食ってるなら理解しておけよと言いたいが結構怪しい場合もあるのが現実)。

いちいち気にして「理解のある環境」を求めていたらいつまで経っても自立には近づけない。

社会に理解を広げるべき...と言って啓発活動にはしったところで必ずタイムラグは生じるので自分には跳ね返らない、そして理解したくない人は世の中には必ずいる。それをどうこう言っても始まらない。

とはいっても世の中けっこう捨てたものではない。誠意をもって交渉すれば理解を得られることも結構ある。

棚からぼたもちのように上から理解が降ってくるのを待っているよりは、自ら交渉して理解を得ていく力をつけたほうがオトクなのだ。

  

3.既にしてしまった誤学習はあると心得る 

社会的知識はけっこうあやしい

アスペルガー症候群児者では人の視線がわかりにくかったり、自他の区分があいまいだったりするため、知的に問題がなくても社会的な知識を習得しにくいといったことがあります。

ごくごく簡単な人付き合いの基本を学習しそこねていたり(未学習)現実から乖離したした思い込みを持っている(これを誤学習という)ことがよくあります。

「場の全員が仲良くすべき」「お金儲けはよくないこと」「人にアドバイスを貰ったら必ずその通りにしなくてはいけない」...などがありがちな誤学習ですが、ものが「誤」であるのでバリエーションは限りがありません。算数のテストで考えてみれば簡単な話です、正解は1つでも誤答はいくらでもありますよね。

「無礼な態度をとる」「話が通じない」「変なところで怒りっぽい」などは、その陰に誤学習や未学習が隠れていることがよくあります。

 

誤学習の解除・修正がキーポイント

ある時点でアスペルガーであることに気づいたとして、気づいて以降は誤学習が少なくなるようにという対策はいろいろ立てられますが、人間には個々人それぞれに生きてきた歴史が必ずありますから未学習や「すでにしてしまった誤学習」はあると思っていたほうがいいでしょう。

幼稚園、小学校段階でしてしまった誤学習に気づかれないままで、後年影響してくることもよくあります。「お金を稼ぐことが怖くて就職が怖くなる」とか「アドバイスを受けたら負けと思っているため職場で人の助言に怒り出す」など、ちょっと困ったことは後から起こります。

こういった誤学習を解除・修正が本人が楽に過ごせるためのキーポイントであることはしばしばあります。

ただ、「すでにしてしまった誤学習」の発見、解除、修正にはそれなりの時間がかかりますので、焦らずにつぶしていくことが必要。

 

4.愚痴のこぼしあいからは多少距離をおく

誰にもいえない悩み...を共有する仲間がいれば心強い。それは確かだ。

だが、愚痴をこぼしてスッキリして気力が戻って...という効果がある反面、仲間を選ばないと「治らないからしかたない」を繰り返し脳みそすり込むだけになってしまうということもありうるのだ。

「しかたない」に埋没してしまえば建設的な取り組みがしにくくなるのは当然だろう。

成人においては「どうしようもない→社会が悪い」といった誤学習の上塗りで社会への恨みを募らせてしまう危険もある。これは避けた方が生きていきやすい。

親の会でも当事者会でも、愚痴のこぼし合いが多い場であるなら、多少距離をおいたほうがいいだろう。

 

5.医療も支援も選んだ方がいい 

医療も支援も選んだほうがいい。アスペルガーなどの発達障害を診断できる医師が増えはしたが、二次障害に対する投薬以外のフォローまでできる医師はそう多くはない。

支援もまた似たり寄ったりだ。最近は支援機関の数こそ増えてきたがにわか支援者も多いし、「かわいそう」と過剰な保護に走りたがる支援者もまた結構多い。特定の療育方法を”ほとんど信奉”しちゃっている支援者もいる。

はじめ良いと思った支援が問題が解消されて合わなくなるということもある。それでも「まだまだ」と支援者が押しとどめることだってある(特に就労関係)。

だからこそ医療も支援も選ぶ必要があるし、選ぶためには冷静な目で観察することが必要だ。

もちろん医療や支援を選ぶにあたっては、「できるだけ自立方向に向かうようなもの」という選択もあるし「かわいそうだから周囲に理解をごり押ししても努力はさせたくない」という選択もある。お子さんの場合そのあたりは親御さんの選択が重要だ(あまり後者はおすすめしないが)。

 

選ぶためのヒントはこちら(長いけど)↓
発達障害児への支援と療育を「機能-行動モデル」で考えてみる

 

ついでに言うなら支援や医療で多少ハズレをひいたとしても嘆くほどのことではないのだ。次項はそこらへんについて。

 

6.自分でor親御さんができることは結構たくさんある

成人のアスペルガー者で起こる困りごとの大半は二次障害を除けば「身体と知覚の問題(体力含め)」「社会的知識の問題(誤学習含め)」「生活スキルの問題」「不注意や衝動性の問題」が大半だ。

「不注意や衝動性の問題」を除けば、身体作りをし、社会的学習を経験を増やし、生活スキルを上げるといったことで対策できるではないか?!

そして身体作り、さまざまな経験とその適切な理解、生活スキルの獲得というのは特別な療育、教育施設でなくても可能なことである。

料理のお手伝いだって立派な療育だしリハビリだ。各種のボディワークは身体作りにかなり役立つ。最近は過敏対策に便利なツールも結構多い。

いい支援に恵まれないと嘆く前に手近なできることをやってみた方がいい

下の本は最近出た本だが、そういった手近な工夫と、それを生み出す考え方のヒントが盛りだくさんの本である。著者のこよりさんは、自閉っ子のお子さん2人を自らも病気がありかつ介護等で多忙な生活の中で育て上げた方である。療育資源に恵まれない中、観察と工夫で乗り切って来たこの記録はこれからお子さんの障害に向き合おうとする方に勇気を与えてくれるだろう。

7.「自立して幸せに人生をおくるために」という前提をくずさない

特に就労や進学の場面で「やはり支援をうけられる場でないと...」ということを言われる場合もあるかもしれません。

具体的には障害者就労をすすめられたり、支援級や特別支援学校への進学をすすめられたりという場合です。

それ自体は問題があるわけではありません。状態によってはその必要がある場合もあります。

現在できないことと将来できないことは別

ただ、「アスペルガーだから、発達障害だから○○がダメだからこれでよしとしておかないと」という思考をもってしまうとさまざまなことにトライすることが難しくなってしまいます。

つまり以降の人生が「消化試合」になってしまいます。

これでは人生つまらなくなってしまいますし、努力しようという気持ちもおきにくくなって当然です。

ですから、医療や支援で「自分にとって消極的過ぎるおすすめ」をされても真に受けすぎないことが肝要です。

もちろんそのとき休養が必要であれば休養すべきでしょう、さまざまな支援を必要とする時期ありますのでそういうときは利用したほうがいい場合もあります。

ただ、うける支援が支援という名の過剰な保護になっていないか?という目を常にもっておく必要があるということです。

すべての支援も療育も

自立して幸せに人生をおくるために

利用するものだということを頭の片隅に必ずおいておいて欲しい。

 


関連する書籍の紹介

 


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発達障害児への支援と療育を「機能-行動モデル」で考えてみる

療育や支援を選ぶということ

療育と支援の世界はカオスだ。

発達障害児の親御さんは結構大変だ。

予想しにくい我が子の不思議な行動に翻弄されながら日々の家事をこなし、いろいろ情報収集しつつ医療機関、支援機関へと奔走する。学校と連絡を取り合うことも多くなる。さらに療育の情報を集め、療育機関を探したり、日々の生活の中でいろいろ工夫をしたり...とまあ,普通の子育てプラスアルファがそれなりに多い。

そして困ったことに発達障害の療育や支援の世界はかなりカオスである。

SST、ABA、RDI、構造化支援、TEEACH、ソーシャルストーリーズ、感覚統合、PECS...さまざまな療育手法、支援手法が群雄割拠の様相を呈している。

群雄割拠などという語は療育にふさわしくないと思う向きもあろうが、いざ選ぼうと思うと、ほとんどの場合その筋の専門家から「改善します」以上の言葉がでてこないので比べようがないし、どうみても「こういう場合はこっち、ああいう場合はこっち」というような使い分け情報も出てこないので群雄割拠としかいいようがない。

どうしようか…迷う、悩むは当然生じるだろう。

 

療育や支援を選ぶ観点は?

さて、親御さんが療育・支援手法を選ぶ観点は「それが我が子の状態を改善しうるか」であることがほとんどだろう。まあ沿うあって欲しいとも思う。

となれば当然その療育・支援の手法でどういう変化が期待できるのか、そして、どういう場合に効果が上がるのか?どういう場合に効果が上がりにくいのか、そういったことがわからないことには始まらない。

だが、そのあたり、Webでも書籍では情報がでてこない。

何か文献でもないかとときどきCinii(NII学術情報ナビゲータ)をあさってみるのだが、個別の療育法についての研究以外は早期発見が重要だとか、アセスメントが重要だとか、アセスメントに基づく配慮が重要だとか...そういう話ばかりである。

さて、親御さんの方を向いてみると結構困っている人が多いようである。まあそりゃそうだ、困ってる人が少ないならこのブログもちゃんと閑古鳥が鳴いてくれているはずである。

  

療育や支援を選ぶためのリソースはあるのか?

発達障害のこと、そしてさまざまな療育について勉強し、日々の生活に活かそうとしておられる方はすくなくない。生活の中でいろいろな工夫をしたり、子どもへの接し方にも注意したり、ことによると多くの時間や金銭を費やして療育施設に通わせたりしても困っているケースは後をたたない。熱心にあれこれ勉強しても合う療育を選べず、親御さんが気持ちの上でしんどくなってしまっているケースも多いように見受けられる。

とはいえ選んだからといっていい方に向かうとは限らない。結構ありがちなのは、1つのあるいは一群の療育法を信奉してしまい、お子さんの状態があまりよくない(問題行動が多かったり二次障害になったり等々)のにもかかわらず「この療育をやっていなかったらもっとひどいはず」と納得してしまっているというケースである。

人間、時間的、金銭的リソースをある程度投下してしまうと「この選択は失敗だった」と思いにくいといった面はあるのだろうとは思うが、納得していたところでお子さんと親御さんのしんどい状態は続いているといった感じである。

医療機関に繋がっても「様子を見ましょう」からはじまり「障害は治りません」「お子さんにあったやり方で」と続き、「支援や配慮があればうまくやれるお子さんですよ」なんてセリフが続いたら「どうすりゃいいの?」状態になるのは至極当然の成り行きであるし、そこに「あれがいい、これがいい」という情報が入ってくれば、翻弄されるのもまた至極当然である。

専門家ちゃんと仕事しろ!

と言いたくなるが、それを書いて終わらせたらやはり屁の役にも立たないのは明らかだし、なぜか私はなぜか発達障害児の子育てで悩むほど困ることがなかったので、ちょっとその辺りを考えてみることにした。

 

直面する問題は移り変わる

親御さんが直面する問題は子どもの年齢によって変わってくる。

幼児期なら、こだわりや多動の問題、言語の問題、意思疎通の問題、躾の問題、かんしゃくへや衝動性への対応といったことに直面する。そして学齢期になると、不注意の問題が浮上することも多い。またお友達関係の問題、ことによるといじめの問題、不登校にならないか?なった場合はどうするかといった問題。そして学習の問題が悩みのタネになってくる。思春期に入ると進学の問題が浮上、青年期には就業の問題が...と。

子ども自身が直面する問題も移り変わる。周囲との違和感にはじまり、学童期以降はいじめの問題も含めてコミュニケーションの問題や、不注意の問題に直面する場合も多い。そして就業となるとコミュニケーションの問題も不注意の問題も切羽詰まった問題になってくるし、遂行能力や体力、疲労という問題も浮上してくる。

そして、実は表だってあまり直面しないが見過ごすと後年影響を及ぼす問題もある。問題が生じていても年齢が低いうちはあまり問題にならないことというのもある。

社会的な知識で未学習、誤学習が多いと実社会に出たときに何かと面倒がわいて出てくるし、心理的な問題や恨み辛みの元になったりもする。

となると療育や支援というのは将来を見すえたものであったほうがいいのは言うまでもない。一時凌ぎでは将来に禍根を残すのは当然といえば当然である。

では、発達障害児の療育や支援のそれぞれにはどういう特徴があるのか?ちょいとそこをひもといてみよう。

 

支援や療育と機能と行動

高次脳機能障害の知見から

Cinii(NII学術情報ナビゲータ)でふらふら文献あさっていたら興味深いものがあった。

早稲田大学坂爪一幸氏の第21回日本健康医学会総会における特別講演の講演録である。

「発達障害と認知症にみる障害の理解と支援 : 神経心理学・高次脳機能障害学の視点から」

(上記リンクはCiniiの紹介ページに繋がる。講演録のpdfはオープンアクセス、つまりタダで誰でも読めるもので、紹介ページにpdfへのリンクがある)

簡単に概要を紹介すると、発達障害児者や認知症者への支援を考える上で高次脳機能障害者への支援モデルを援用できるのでは?という話である。

その中の図に非常に興味深いものがあったので画像を引用しておく。

==

2015saka.jpg

(坂爪一幸(2012) 発達障害と認知症にみる障害の理解と支援 : 神経心理学・高次脳機能障害学の視点から(第21回日本健康医学会総会における特別講演のまとめ) 日本健康医学会雑誌21(2) (20120731)より引用)

==

確かに高次脳機能障害と発達障害は似ている部分は多い。そして機能と能力を分離して考えることによってどこをどう支援するのが効率がよいのがわかりやすくなるかもしれない。

発達を加味した「機能-行動モデル」を作ってみた。

だが、発達障害の場合は生きていくのに十分な知識や能力を培うまでの間にも問題が生じているという部分が違う。

そしてもう一つ。能力を発揮する段階でもまた機能が行動の障壁となる場合がある。

ピンとこないかもしれないので一応1つだけ例を出しておこう(いくつも出してるとキリがない)。

私は普段スーパーで買い物する事に特に不自由はない。だが、調子が最低最悪のときは、BGMやら店内放送やらが頭に響いてしんどくなり、棚を見てもそれが夕食のネタに結びつかないばかりか下手すると「何見てたんだっけ」が多発する状態になり、結局何一つ買うものを決められず...なにも買い物をせずに売り場から撤退するということが起こる(最近はほとんどないが)。

能力...が獲得されていないわけではない。だが、そのときの脳みその機能がそれを許さないのだ。

以前リスクモデルについて書いたが、私は能力があっても運用するための機能が落っこちるリスクを抱えているということである。

運用ということを考えると「知識や能力」が獲得以前と獲得後の「機能」でサンドイッチになっているように思えてくる。というわけで発達障害をうまく表せるモデルはできないいかとあれこれいじってできたのが下の図。

2015base.jpg

目にした、耳にした各種のデータや動作の経験という「情報」を、一群の機能が適切に加工して初めて(使える)知識や能力として蓄積される。

そして課題となる状況に直面したときに一群の機能が働き、動機や意欲が形成される。

さらにその後、一群の機能により、能力や知識から適切なモノを引っ張り出して組み合わせて運用することで初めて行動に至る。

まあ厳密にいえばあちこち影響し合っているし、能力が上がることによってさらに機能の開発が可能になるといった場合もあるのではあるが、ある程度単純化しないと話が前に進まないので仕方がない。

これがまあ機能がほぼまともに働いている時の構図だとして話をすすめる。

 

機能-行動図からの障害モデル

うまく行動ができないOR行動が不適切な場合、上記の過程のどこかでバグがあると考えればいいだろう。

学習を支える機能にバグがあると能力や知識にも影響し、運用を支える機能にバグがなくても行動にバグが出る。学習を支える機能にバグがなくても動機や意欲の形成機能や運用を支える機能にバグがあればこれもまた行動にバグが出る。

上の図1の機能のあっちこっちに障害が起こっている場合も一応図解しておこう

まずは学習を支える機能に何らかの問題がある場合。

2015ptn01.jpg

そして、運用を支える機能に問題がある場合。

2015ptn02.jpg

2015ptn03.jpg

そしてもう一つ、動機や意欲を形成する機能に問題がある場合。

2015ptn04.jpg

最後にあちこちに問題がある場合。実際にはこんな感じなのかもしれない。

2015ptn05.jpg

療育や支援というのは、何らかの働きかけで問題を回避あるいは縮小し、最終的な行動をしやすくするものだといえるだろう。

ここから各論に入っていこう。

(ここまででまだ半分まできてないという...長くてごめん)

 

療育と支援の考え方を「機能-行動図」から考えてみる

これまでの図をもとにいろんな療育や支援見ていこう。

ABAの場合

自閉症の療育といえばABA(応用行動分析)を用いた療育が筆頭にあがるくらい有名だし本もたくさん出ている。自閉症の療育としてはロバース博士が開発した早期療育プログラムが有名である。本格的なセラピーをやろうとすると費用も時間もハンパなくかかるので、エッセンスを取り込んで家庭での療育に取り入れようとする場合がほとんどだろう。

ABAをベースににした療育は報酬(負の報酬含め)を介して動機や意欲の形成を促進もしくは抑制することにより、適切な行動を増やし、適切でない行動を減らすというもの。ABA自閉症療育として行う場合は適切な行動を増やすことを通して、必要な能力の獲得へのフィードバックをも目指す場合が多い。

適切な行動にはご褒美、不適切な行動には無視が基本(罰はあまり用いないようである)。

これを前述の機能-行動モデルに当てはめて見ると下のようになるだろう。

2015ptn06aba.jpg

2015ptn07aba.jpg

この図から考えるに、ABAによる行動変容はオペラント条件付け(リンクはWikipediaの該当ページへ)が可能なことが前提である。つまち基本的な情報の受け取り機能、及び知識や能力の運用機能に問題がないことが前提で、働きかけをする側に目を向けることができることもある程度必要だろう。

このため、基本的な認知機能に問題を抱える場合は効率が悪くなりやすく、効果を上げるためには提示に工夫を要したり多くの時間を必要とすると思われるが、これはロバース法の本格的セラピーに多くの時間がかかることとも矛盾しない。さらに、複合的な能力の獲得や、複雑化した問題行動への修正には適切な報酬の設定が難しくなるといった問題もあるだろう。

(オペラント条件付け自体は人間社会のここかしこで見られるものであるし、学習指導などでも有効に機能することは多い。安直な例を出すと、奥さんの料理が美味しいと旦那さんが酒場に寄らずに仕事場からまっすぐ家に帰ってくる確率が高くなるとか、結構ありがちな話である(もちろん味覚という知覚機能に依存する)。)

また、この方法は脳の機能に対するアプローチではないため、適応的でない行動が脳機能の不具合による心身への負荷に由来する場合に適用しても効果は得られにくいと思われる。

 

知識修正or付加型の療育・支援

SST(ソーシャルスキルトレーニング)やソーシャルストーリーズ、一般的なダメだしといったものなどがこれにあたるだろう。

適応的でないな行動の元になっている知識(誤学習)や適応的な行動に繋がる知識の未学習を適切な知識を追加or上書きすることによって、適応的な行動の獲得を目指すもの。

これを先ほどの機能-行動図にのっけてみると次のようになる。

2015ptn08sst.jpg

2015ptn09sst.jpg

図9を初期の状態として、図10を目標とする療育・支援と言えるだろう。

適応的でない行動の原因が行動規範に直結する知識の問題である場合は有効性は高いが、誤学習が複数であったり複雑に関係している場合が大元の誤学習を特定するのが難しくなる。

知識以降の機能に問題がある場合は効果が期待できないのと、適応的でない知識の新たな産生を予防するものではないし、行動の問題が脳機能の問題由来の心身への負荷によるものである場合は効果が期待できない。

既存のプログラムはよくある比較的単純な未学習・誤学習についての修正プログラムである場合が多く、事例のすくないものや複雑化した誤学習については個別の分析が必要である。

また誤学習の内容によっては指摘されることに対する強い感情的な反発が起こるケースもあり、指摘する側には反発を起こさずに伝えるための技術が求められるだろう。

 

機能補完、改善型アプローチ

機能改善型療育

感覚統合訓練、ビジョントレーニング、各種の身体アプローチ(動作法、操体法、チャイルドスペース、フェルデンクライスボディワーク等)

運動や動作を通した身体機能の調整といったアプローチによって、発達の阻害要因を減らし、発達を促す刺激を与え、脳の機能そのものを向上させていくことを目標にする療育である。

これまた先の図にのっけてみよう。

2015ptn10body.jpg

2015ptn11body.jpg

過剰な知覚刺激を取り去ることも発達の阻害要因を取り除くことになりうるので、次項に出てくるアーレン眼鏡、ノイズキャンセリングツールの使用も機能向上型と言えるかもしれない。

個別の方法についてはエビデンスがどーとかこうとかうるさいむきもあるようだが、脳の可塑性を考えると機能にダイレクトにアプローチするタイプの療育・支援が可能でもなんら不思議はない。エビデンス方面についてはこれからに期待したいところだ。

 

機能補完型ツールの利用

機能に問題を抱える部分を各種のツールで補完し、使える機能の底上げをすることによって能力や知識の獲得を容易にするものである。アーレン眼鏡、ノイズキャンセリングツールなどのように過剰に入ってくる知覚刺激を調整するもの。IT機器のように記憶力や見る機能の補完に用いるものなどがある。

さて、また図だ。ベースの図は既出の図11である。

2015ptn11tool.jpg

機器が必要ではあるものの長時間の訓練が必要ないといった利点がある。

ただし小中学生の場合「周りと違うやりかた」への心理的抵抗が生じる場合もあるので、障害告知がない状態では使いにくい。

特に学齢期の場合、現状学校側がツールの使用に難色を示したりといったことはまだまだあるので学校で使用する場合は交渉が必要になることも。 

機能改善型療育も機能補完ツールの利用も、開始以降の能力や知識の獲得効率をよくするものであるため、すでにしてしまった誤学習をそれだけで直すことはできないといったウィークポイントがある。

 

援助型療育・支援

構造化支援・TEEACH、PECSなどがこれにあたるだろう。

脳の認知機能の未発達に起因する問題を、認知機能に合わせた情報提示、コミュニケーションスタイルや生活スタイルの確立という援助する事によって適応的な行動を容易にするとともに、生活の負荷を低くしたり心身の安定をはかろうとするタイプの支援。

2015ptn13tch.jpg

2015ptn14tch.jpg

学習を支える機能を援助する事によって知識や能力の獲得が容易になるため学習段階でのメリットは大きいが、行動を支える機能に多くの問題を抱える場合は能力や知識があるのにうまく運用できないという問題が生じる可能性はある、また既にしてしまった誤学習に関しては効果は期待できないだろう。

この種の療育・支援は本人の負荷をベースにしたモデルであるので当事者の立場に立ったモデルとも言えるが、特に運用を笹さえる機能の問題を抱えているケースでは当事者本人が自分で自分への援助をできるところまで能力を獲得できない場合は生涯にわたる外部から援助を必要とするモデルともいえる。

 

まとめ-療育・支援の得意不得意-

(あー、長かった。使った画像がここまでで既に15枚だ)

さて、ここまできてやっとまとめの表を作ることができる段階に到達。

見てわかるとおり万能のものは1つとしてない。

2015type01.jpg

自立に近づくことを目標とするならどういった療育・支援の方法を選べばいいのか?

お子さんのどの辺に問題生じているのか?というのを親御さんが冷静に観察して見極めた上で、やはり状態の悪い時は負荷の低い方法から入るしかないだろう。

だが、それだけでは将来にツケをまわすか自立しにくいといいった問題が出てきそうなので、耐えられる負荷の範囲で他の方法を併用する方向に持って行った方が良さそうだし、機能の向上を視野に入れておいた方が自立はしやすくなるだろう。

とまあ、実に安直な結論に至ったわけだ。

まあ、私自身、表の左右でいうとまんなから辺りを多少意識しつつごくごくいい加減に子育てに励んでいるのであまりそれとも矛盾しない結論になったというわけでもある。

上記はあくまで私の解釈であるのではあるが、ことによると屁の役くらいには立つのではないかと思わなくもないところまで考えを詰められたのはちょっと嬉しい。

 

長文におつきあいいただきありがとうございました。

 

 

 

 

 


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発達障害の支援ニーズをどうとらえるか?

発達障害者手帳は必要か?という問題から

精神の手帳、療育手帳などと別に発達障害者手帳があればいいのに...という話がSNSで回ってきた。

まあ、これに関しては要らないといえばいらないし、要るといえばいると私は思っているのだが、今日は精神の手帳から発達障害者の支援ニーズをいろいろ考えてみたい。

精神の手帳は取得したものの...

現状、精神の手帳で受けられる支援というのは、統合失調症or鬱病の単身者を想定して設計されている。まあ歴史的な経緯から考えれば当然のことではある。

発達障害者が何らかの理由で生活能力、説明能力が落っこちでしまった場合に受けられたら助かる支援というのは確かにあるが、そのほとんどが既存の支援メニューにはなく、よほど自治体窓口が柔軟に対応しない限りほとんど精神の手帳は役に立たないというのが実情。

6~7年前だったか、PTSDで私の調子がかなり悪かった頃、主治医が生活支援、つまりヘルパーさんの助けが必要だろうからそのためにと手帳の取得をすすめてくれ、私は手帳を取得したのだが、役所に行っても結局必要な支援は既存のメニューにはなく、何度か役所に足を運んだものの全くもって埒があかなかったという経験がある。
 
状態が悪くなったときの生活能力の落っこち方というのが現状あまり知られていない。たいてい同時に説明能力まで落っこちるのでそういうケースのニーズは伝わらず、知られることがないから制度に反映されるわけもない。

ただ、状態のよい時には手帳の必要性なんざまるで感じないというのも確かにあるのだ。

 

発達障害者の支援ニーズは機能から

支援ニーズのとらえ方から

発達障害者の支援ニーズというのは今まで主に「心理面」を主軸に捉えられてきた。「気持ち」に負の影響を与えないための支援である。

だが、これをニーズとしてしまうと個人の状態・経験に依存する部分が非常に大きくなり、合理的配慮の範囲が膨大になってしまう。そして生活の質の向上には案外繋がりにくいように思うのだ。

 

語られやすい問題と語られにくい問題

「気持ちへの負の影響」といった部分は発達障害当事者から語られやすい。そしてそれらのエピソード自体は非当事者にも比較的理解、共感しやすいものである(配慮が可能かはまた別の話だが)。

だが、「気持ちへの負の影響」が生じる以前に生活能力などに繋がる機能面でかなりの問題が生じているというのが実情だろう。

それに当事者自身で気づいていない場合も少なくないと思う。

聴覚刺激による負荷が大きかったというのを、デジタル耳せんをつけてみて初めて気がついたという人も結構いる。活動能力に不足を感じつつも「どうにもならないもの」と無理を重ねてしまう人も多い。脳や身体レベルでさまざまな無理を重ねていれば気持ち=精神面の問題もより大きくなるだろう。

私にしてみても聴覚の負荷が活動能力に影響することには早くから気がついてはいたものの、デジタル耳せんが長年の出不精返上に一役買うなどとは夢にも思っていなかった。

ずっと続いている状態であればあるほど、目に見えない機能面の問題は気がつきにくく、トラブルの生じやすさとか、実際にトラブルが生じた時の気持ちの問題ばかりがクローズアップされてしまう。

「気持ちに寄り添う」「当事者の声をきく」というのは精神科医療や福祉の方面では非常に重要視されるようだが、発達障害においてはそれが実は機能面での問題を見えにくくしてしまっている面はあると思う。

こういった事を踏まえて発達障害者の支援ニーズを考えると、生活能力や説明能力など、生活していく上で必要な能力を支える脳と身体の機能面から見ていったほうがいいのではないかと思う。

 

まあ、となると認知面や感覚面を中心にいままで語られてこなかったことを掘り出す必要はあるんだろう…というわけで、ときどきは前回のようなメカニズム面に焦点をあてた記事をかいていきたいと思う。

 

 

▼デジタル耳せんはほんと重宝してます。

↓下記は高次脳機能障害の本だが、自閉脳と似た現象が多くてビックリ。

 


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ASD者の聞き取りの苦手さと「言葉を意味として捉える」ということ

ASD者の聞き取りの苦手さの実態

ありふれた会話から

たいそうなタイトルをつけたが、私が年中やらかす聞き取りエラーについての話である。

以下は一昨日の晩ご飯後の茶の間での会話である。

 

ミチャポン:ママ~、宿題わからないから教えて~。

ミ:ママ~、聞いてる~!(怒)

猫:はいはい宿題ね、どこがわからないの?

 

字面だけ見るとどこにでもありそうな会話であるが、実は私の聞き取りエラー現象とそのぼろ隠しが隠れている。

 

脳内再生でボロ隠し

正直なところ、はじめの音が聞こえたところで「音が聞こえているかな?」程度の認識なのだ。

そしてミチャポンから「ママ、聞いてる~?」という苦情が言った時点ではっとして、「さっきのはミチャポンの声だったんだ」と認識する。

だが、まだこの時点でははじめの音声の意味は認識していない。

苦情がきたから返答をしなければまずそうだと思い大急ぎではじめの音声を脳内で再生する。

脳内再生された音声からはじめて意味を認識し返答をするという行動をした。

図にしてみるとこんな感じ。

 

saisei.jpg

認知のタイムラグ

上の図中、Bの音声はほぼリアルタイムで意味を認識しているのだが、Aに関しては音→声でまずタイムラグが生じ、さらに声~意味でもタイムラグが生じている。

 

寝不足などといった脳みその疲れがたまった状態だとこういった認知のタイムラグが発生することは結構多い。

 

聞こえているのか聞こえていないのか...というと脳内再生できるのであるから聞こえてはいるのだが、意味を捉えそこなっているのである。 

 

ミチャポンはさすがに10年以上私と付き合っているのでなれたもので「あーあ、また聞いてなかったでしょw」「ママまたぼけてるな~w」ってなところに落ち着くので家の中でやる分には取り立てて実害はない。

 

しかしこの現象、脳みそが疲れた状態だと。顔つき合わせて話している状況でも起こる。

 

音はきこえてはいるし、あまり聞き返すのも相手に失礼かとも思うので基本的には脳内再生で対応するのだが、頻発するとスピードが会話に追いつかなくなり、聞き返すことになる。

 

だいたい疲れている時ほどこの現象は起こるので、疲れた頭にむち打って脳内再生しまくったり、聞き返すかどうかの判断をすることになるので脳の疲れが雪だるま式に増えることになり、後で疲れがドッときてヘロヘロになるので、あまり無理はしたくない。

 

まあ、非礼のないように聞き返せばいいことだからさほど気にしているわけではないが、聞き返しが多くなると「話をちゃんと聞いてない」と解釈されるという会話事故も起こるので、ヤバそうなとき(頻発しそうとか、相手がむくれやすそうだとか…まあいろいろ)は「聞き取りが苦手」とあらかじめ言っておくという安全策をとることもある。 

 

聞こえているのに聞き取れないという現象

なんでこんな話を書いたかというと「聞こえているのに意味に変換されていない」という現象は意外に知られていないのかな?と思ったからだ。

 

  1. 音の認知
  2. 声としての認知
  3. 意味としての認知

 

この3つの認知に意識できるほどのタイムラグがないのが普通なのだろうし、私の場合に’してもタイムラグがないことの方が多い。

だが、タイムラグが生じてしまうこともあるのが自閉脳なのである。

 

「人の発した音声をリアルタイムで意味に変換する」は実は結構高度な活動である。

 

というわけで脳みそを楽にしておくことは非常に重要であるからして、この記事を書き終えたら私は脳みそのために昼寝をすることにしよう。

 



↓下記は高次脳機能障害の本だが、自閉脳と似た現象が多くてビックリ。

 


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アスペルガーと脳の疲れ(おまけ:狸穴猫式脳みその手なづけ方)

ASD者の脳は疲労しやすい

脳が疲れやすい...というのを自覚したのは確か中学生くらいの頃だった。

ラジオを聞きながら勉強するというのが流行りだした頃だったと思う。友人からラジオのおもしろさというのを伝え聞き、ながら勉強とやらがやってみたくなった私は、ある日部屋においてあったラジオのスイッチを入れてみた。

が、あっという間に私は挫折を味わう事になった。

ラジオから流れてくる音楽やトークが耳に入ってくると参考書の文字を追えなくなる、参考書の文字を頑張って追おうとするととラジオの音にめちゃくちゃイライラしてくる。並んでいる文字を目で追っても意味がストンと脳みそに入っていかないという現象は不快極まりない。

小一時間もしないうちにラジオのスイッチを切ったが、急激に理解のパフォーマンスが落ちている感じが続き、スイッチを切ったからといって即座に回復しないのが気になった。

変なところで負けず嫌いな気持ちがムクムクと湧き起こり、「ながら勉強くらいできるはずだ」と、その後何度かラジオを聞きながら勉強にトライするということをやってみたが、毎回無残に撤退するということを繰り返した挙げ句、

「私の脳みそはながら勉強に耐えられる仕様にはなっていない」

と悟った。

まあ、昔からながら勉強は効率が良くないという話はよく聞くし、別にラジオを聞く必要もないので問題はなかったが、脳の疲労、脳のパフォーマンスというものを意識するようになったのはこれがきっかけだ。

この件以降、いろいろ自分自身で実験してみたり、人から話を聞いたりしてどうも脳みそが疲れやすく、他の人が耐えられる刺激でパフォーマンスが落っこちる。環境の確保とともにチューニングが必要な脳みそだということがわかってきた。

元々身体が弱く、ちょっと寝不足をするとすぐ風邪を引いて寝込むといったこともあったし、目が疲れやすくて長時間本が読めないのに本を読むのが好きといったこともあったので、この上脳みそのパフォーマンスを下げてはお話にならないというわけで、以降、脳みそのパフォーマンスを落とさない方法、できれば上げる方法、下がった時にできるだけ早く回復する方法などを模索する方向に走ったわけだ。

 

ま、ここまでだとあまり役に立たない話である。

というわけで、現在私が脳みそのチューニングや脳みその疲労回復に使っている方法を公開してみることにする。

狸穴猫式脳みそのチューニング法

以下はあくまで私が私自身のためにやっていることなので合う合わないはあるだろうとは思うので念のため。

1)脳みそのパフォーマンスを上げる方法、下がるのを予防する方法

  • デジタル耳栓を利用して聴覚によけいな負荷をかけないようにする
  • パソコンの画面の色をかえるソフトを利用し、視覚によけいな負荷をかけないようにする。(昔はノートの紙の色にこだわっていた)
  • 腹式呼吸をしたり簡単な気功(タントウ功など)をする。
  • ときどき目の運動、首の運動をする。
  • きつめの五本指ソックスをはく(身体感覚がつかみやすくなるせいか何か楽)
  • ときどき普段やらない身体動作をあえてしてみる。
  • 寝る前に金魚運動やあべこべ体操や気功をする(睡眠の質の確保のため)
  • 睡眠時間を確保する。

  

2)パフォーマンスの落っこちを早めに自覚するためのマーカーにしているもの。

  • 足の指:足の指が縮こまるときは結構脳みそが疲れている。
  • 視界:いつもより暗いような気がするときはやっぱり疲れている。

  

3)パフォーマンスが落ちちゃった時の回復のための方法

 
  • 金魚運動、あべこべ体操、気功などをガッツリやって緊張をとる。
  • 視覚、聴覚をしっかり休める(アイマスクや耳栓をつかうこともある)。
  • 圧感覚を利用して体感の認知を楽にする。(重いふとんをかける、敷き布団を掛けてしまうのが手っ取り早い)

 

とまあ、手を変え脳みそのパフォーマンスの維持をしているわけだったりする。

 

限られたリソースなら効率よく使う工夫をしておいたほうができることは増えるし学習も楽になるのでいろいろ便利ではないか…というお話でした。

ちゃんちゃん。

 

↓下記は高次脳機能障害の本ですが、似てるんですよね。

 


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発達障害者、発達障害児の親御さんが、診断がついてから途方にくれがちな理由を考えてみた

一昨日フラフラと連続ツイートをしたのを勿体ながってトゥギャッターにまとめたのだが、なぜか多数シェアされたりしているようなので、せっかくだから記事にしておこうかと思い、多少加筆してまとめてみた。

診断後の「さてどうすれば?」問題

発達障害診断後の定番のセリフといえば

「今まで大変でしたね、これからは障害に合った工夫をしながら、周りの人の理解をうけつつやっていきましょう」
である。

発達障害に関する一般書にもこういうことが書いてあるものが多い。というか、それがほとんどだ。

診断にショックを受けるか、ほっとするか?その辺はまあ人それぞれだろうとは思うが問題はしばらくして、さてこれからどうしていこうかと考えはじめた時である。

書籍で提示されている工夫は、構造化の類いがちょっとと、あとは「こういうふうに理解をしてもらいましょう」である。つまり当事者自身(発達障害児の親御さん)が自分だけ(親御さんなら家庭の中で)でできることはわりと少ない。

そして、診断をうけるきっかけになることの多い社会適応の問題にどう対処していけばという観点からの、自力でできる「こうしてみたら」というものはさらに少ない。

これでは自分でどういう努力していけばという部分で途方にくれて当然だろう。

なぜ理解に依存したくなるのか?

ネット上の当事者の声でも、もっと社会の理解をという言う声も多いが、医療や福祉サイドが自力でできるものを提示していないから「理解してもらわねば」という方向にばかり向いてしまうという面もあると思う。

まあ、二次障害がバリバリに重いときにはまずは薬物療法や休養が必要だとは思うが、そこを多少脱したら結構できることはあって、負荷をさげるための環境調整、姿勢や睡眠、体力対策としての身体アプローチ、言語や社会的知識の未学習や誤学習の対策 そして模擬or実地の運用トレーニングなど、最近はかなり選択肢も豊富になってきたと私は思っているのだが、どういうわけだか医療も福祉もその辺あまり積極的でない。

「社会の理解を!」というのが一概に悪いとは言わないが、実際問題それだけではあまり説得力はない。自助努力が見えないと他人まかせに見えてしまいやすいので積極的に乗れないし、自分でできることが少なければ要求が過大になりがちということもある。そして過大なものは当然受け入れられない。

(このあたりは、夏前に「発達障害者(児)支援をどうデザインするか? -社会性の障害による困難には相手があることから-)」という記事でも触れた)

それで「理解が広がらない、楽にならない」と嘆いたりという方向にいく人も結構見かける。

ただまあ、声を上げる人は目立つが、声を上げない人のほうが多いのが世の常だ。

発達障害者も、発達障害児の親御さんも、実のところ「どうしていけば?」だらけなんだと思うのだ。自分では何も努力しないで全面的に周囲の理解でなんとかすべきと思ってる人はたぶん少数だと思う。

自力でとりくめるものこそが必要

そして、実のところ、二次障害があっても、ある程度頑張りどころの見当さえつけば、がんばれる人は結構多いと思う、そしてたぶんその方が二次障害も軽快しやすいとも。見通しがよくなるだけでも大違いだろう。

もちろん自分でがんばれれば自己肯定感も上がるという効果も期待できる。

よく発達障害者と定型発達者では文化圏が違うのでトラブルが起こりやすいというようななことを言う人がいるが、社会生活上問題となりやすいのは文化の差異といった側面よりも、身体的な問題(感覚面含め)や未学習、誤学習の問題のほうがずっと大きいと私は思っている

身体的な問題

感覚過敏を無理にがまんすればそりゃ疲れる。

姿勢がわるければ疲れやすいのも当然である。

睡眠の質を確保できてなけりゃそりゃ頭が空転しやすいだろう。眠れないというのもよく聞くし、寝ても寝てもだるさが取れないなどというのは、たぶん睡眠の質を確保できてないんだろうと思う。

文化的側面と未学習・誤学習という側面

発達障害者では、プロ野球の話で盛り上がるより機械ものの話で盛り上がれる人のほうが多い…これは文化の差異に近い部分だと思うけど、これ自体では社会適応上の問題にならない。

問題になりやすいのは、あまり興味のないプロ野球の話をネタに話しかけられたときの返答の表現。角の立ちにくい表現をしらない(=未学習の状態)と当然角がたつ。

その辺をしっかり分離して考えた方がいいとも思う。

しっかり指向性の差異みたいな部分とそうでない部分をわけて、がんばったほうがオトクな部分を明確にしといたほうが、がんばりやすいとも思う。

見通しが重要だからこそ

もちろん、二次障害で一時的に薬療が必要なときはあるかもしれない。ただ薬療から離れたときにどうがんばっていけばいいのか見通しがないと、そこから不安が起こるのは当然だし、そうなると二次障害も再燃しやすいと思う。

発達障害児者には見通しが大事ってのをよく医療や福祉の専門家がいうけど、それなら本人ががんばるための見通しをしっかり持てるような支援をして欲しい思う。

大筋の見通しがあれば細かいことの見通しがちょっと悪いくらいのことはわりと気にならないものだと思う。

おまけ-狸穴猫の考えるとっかかりの一歩-

ここまで書いておいて何にも具体策を提示しないのもなんなので、私自身がこうしてきたよってなところや自助会で当事者さん達と接してきた経験などから、とっかかりはこんなもんかな?ってなのを書いておこう。

身体面

知覚と身体に楽である状態ってのを教えてあげる。

不眠とか、睡眠時間確保できてるはずなのにだるいとか、それだとなにやるのも億劫になるし、疲れからの回復も遅くなる。ずっと続いてると当たり前になってしまうのでそれが問題だと意識しにくい問題。でもここはやっぱり基本でしょう。

  • 視覚と聴覚は特に優先して楽させてみる。
  • あとは睡眠の質の確保。

感覚過敏、特に視覚や聴覚は他の人との比較がしにくいせいか、過敏があってもそれに気がついていない人もけっこういる。
サングラスやブルーライト軽減ツール・アプリ、フォントの調整、ノイズキャンセリングヘッドホン、デジタル耳せん等、いっぱいツールはあるので使える場合は使ってしまうとかなり楽。

睡眠の質をあげるにはとにかく身体を緩める。 金魚運動とかあべこべ体操とか、ぬるめのお風呂とか、リカバリーウェアとか、ハーブティーとかアロマとか…いろいろあるよね。
意外かもだけど腹抱えて笑いまくるとあちこちほぐれる。爆笑系の本や爆笑ネタサイトも私はよく使ってる。

自分の身体を自分にしっくりこさせる。

感覚統合訓練が有名だけど、ボディワークとかもいいよね。いろいろあるよ、フェルデンクライス、操体法、気功、ヨガ、ピラティス…。ゆっくりってのがいいみたい。
五本指ソックスはいたり、片足立ちするだけでもかなり感覚がつかみやすくなる。

自分の身体が自分の感覚にしっくりこないと立ち座りの姿勢や歩き方もくずれやすい。姿勢が悪ければ疲れやすいのは当然だよね。

学習・認知面

学習やチャレンジを阻害するタイプのヤバい誤学習を排除する

「正解はひとつ」
社会的なことに関しては正しさなんて人の数だけあるよ。人間の思考も結構多様だから。
「みんなと仲良くしなきゃいけない」
しなくてもいいよ。基本失礼でなきゃいいんじゃないかな。距離をおくほうがいいこともある。
「金儲けは汚い(悪いことだ)」
わきゃないわ、お金がまわらくなったら世の中のあちこちがストップしちゃう。他者に価値(もの・サービス等)を提供してそれに見合った対価をいただくってのは決して悪いことではないよ。どう稼ぐかどう使うかの問題だよね。

言葉や言い回しを学ぶ

心のもちかたの本読むより言語表現の本のほうが役に立つと思う。割とメジャーな表現を知らない、使えないってこと(未学習)は結構多い。

  • 「おそれいります」
  • 「お待たせしました」
  • 「お気遣いありがとうございます」
  • 「助かります」
  • 「お気をつけて」

こういうの、使ったことないなら言うの練習してみるとかね。

とまあ、こんなところで今日はおしまい。

 

 

 

 



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