排除の芽ははじめからある?!-オキシトシンに関する研究報道から-

珍しく前置きなしでいってみよう。


先だって、コメント欄でつごもりさんからオキシトシンに関するある研究に関する報道についてお知らせいただいた。


「愛情ホルモン」オキシトシンのダークサイド
http://wiredvision.jp/news/201101/2011011422.html





オキシトシンといえば、昨今、「信頼ホルモン」「愛情ホルモン」として一躍脚光を浴びたホルモンである。


以前は分娩時の子宮収縮に関わるほかは大して注目されなかったホルモンだが、これを経鼻で吸入すると、人への信頼度が増す等の効果があるということがわかり、自閉症の治療にもその応用が期待されていた。


実際、欧米ではサプリメントとしても既に発売されており、日本でも個人輸入が可能な状況である。



報道された研究は、オランダで行われたもので、
オキシトシン療法にはいいことばかりではないという結論である。


一部引用しよう。


コンピューターからは、5種類ある実験の、いずれかが出題される。いずれの実験も、同じグループの仲間、たとえば同胞のオランダ人に対する場合と、グループの外にいるアラブ人や、(多くのオランダ人がライバル意識を持っている)ドイツ人に対する場合との、それぞれの優遇や偏見を明らかにする目的で考案されたものだ。

いずれの実験においても、少量のオキシトシンを吸引した男性では、ライバル国の人に比べて自国民を優遇する姿勢がより強く、より頻繁に見られた。偽薬(プラシーボ)を吸引した男性にも優遇の傾向は見られたが、その頻度は少なく、程度も軽かった。




さらにこの研究に対するオレゴン州立大学の神経心理学者Sarina Rodrigues氏が、コメントをしている


今回の研究に関して、オレゴン州立大学の神経心理学者Sarina Rodrigues氏(研究には非参加)は、オキシトシンを自由な愛や暖かい感情と結びつける風潮に抗するものだと述べた。「今回の研究に先立つ最近のデータとして、オキシトシンは、自分の嫌いな人が何かに成功した場合には嫉妬をかきたて、嫌いな人に自分が勝った場合には得意な気持ちにさせる、というものがある。今回の研究はそれを補完するものだ。オキシトシンは、われわれが社会において、どこにどのような立場で属しているかを規定する鍵となっている」




このニュースを読んで私はうーんとうなってしました。


オキシトシンは濃度の多少はあるものの基本的に誰にでもあるもので、生理活性をもった物資である…ということは、どういうことか?

オキシトシンに対する受容体がが少ないとか、オキシトシンの濃度が極端に低くなるというような疾患や障害にある場合でない限り、


自分と近い属性の人間を’同じグループ’と見なし、同じグループのメンバーを優遇したり、逆に属性の異なる者を排除したりという精神機能は、人間の生理的な機能であり、消すことはできない


ということである。


自分の属する集団を維持することが自らの安全に繋がる
ということから考えれば当たり前といえば当たり前である。


もちろん、個々人の他者に対する「属性」の判定には脳の判断が関わっており、単純に語ることはできないが、「他者排除」という精神的働きが、自分の属する集団を守るための機能として備わっているとみるならば、


世にある「差別」や「いじめ」というものは、

「差別をなくしましょう」「いじめをなくしましょう」と、いくら声高に叫んでもなくならないばかりか、強調されるあまりそのグループ分けが浸透してしまえば、逆効果にもなりうるものであろう。。



「なくならない差別・排除」にはこういったメカニズムがあるものと考える
となると、


「差別をなくす」「いじめをなくす」(要は排除をなくす)という目標を立てた場合、


個々人の持つ「グループ分け」認知をくずしていく、あるいは、別の無害な認知に置き換えていくといったアプローチした方が早道ということにもなるだろう。


どうにも人間というのは一筋縄ではいかない動物のようである。


いろんなことを考えさせられた研究報道であった。



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ちょっと重い
話で恐縮ですが…

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-★お知らせ★-

 第12回アスパラガスの会開催は 2月26日(土)です、
 テーマ:「生活の中での工夫」  定員:24名 (残枠14席/2/02現在)
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ちょっと困ったNHKの報道-発達障害はコミュニケーション障害?-

NHKニュースのホームページでちょっと妙な印象の記事があった。


センター試験の願書受け付け
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20101001/t10014320171000.html

という記事なのだが、末尾1/4、来年からはじまる発達障害者に対する配慮の話が出ていた。
例によってニュース記事というのはいつ消えるかわからないので引用しておく。

また来年度の試験からは、コミュニケーションが苦手な発達障害の受験生に対して、試験時間の延長や別室での受験などを認める特例措置を取るということです。センター試験の願書の受け付けは今月14日までとなっています。
<上記ニュース記事より引用>



上記のニュースの引用部には、2点「なんだろーな~」と思う点がある。

1点目

発達障害=コミュニケーション障害のような印象の文だ。

確かに発達障害者ではコミュニケーションに何のある場合が多い。
が、それは、発達障害の一部のケースであって、全部ではない。
(主にアスペルガー症候群等、自閉症スペクトラムの場合だ。)

2点目

別室受験や、時間の延長などの、配慮の理由にコミュニケーション障害を持ってくるのはなんか変だ。

配慮が行われる理由は、自閉症スペクトラムにおける処理速度の遅さ、感覚の過敏、緊張しやすさや、
LDの書字障害・読字障害における処理速度の問題だと思うのだが、この辺と記事が結びついていない。


天下のNHKにの記事に難癖つけるのは何だが、ホームページとはいえ、

NHKの報道なだけに、発達障害について、間違った印象を世間にあたえる可能性は否定できない!


確かにコミュニケーション障害は発達障害、こと自閉症スペクトラムにおける困難の大きな部分である。

が、今回のNHKの報道は、コミュニケーション障害の部分だけが世間に「発達障害」として流布してしまうのはちょっと困りものだということの典型的な例であるような気がする。


ちなみに、もちろんNHKオンラインから、しっかり苦情メールをを送信しておいた。



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なんだかな?
と思ったら

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厚生労働省が自閉者の雇用にダメだししている?!(2)

お盆だ。
仏壇飾りも完了、大掃除もした(上っ面だけ)?
ま、とりあえずいつ来客があっても大丈夫なようにはなっている。
あとは料理くらいだ。
ああ、久しぶりに主婦したぞ。


申し訳ないが、コメントの返事は当分保留とさせていただきます、ご了承のほどを。


さて、


前回の記事は単発で終わらせようと思ったのだが、ちょいと調べてみると、さらに書きたいことが増えてしまったので、(2)を書いてしまうことにする。

厚生省のYesプログラム(若年者就職基礎能力支援事業)は平成21年度で一応事業が終了したようである。
経緯については不明。
ただ、平成16年から運用されてきた若年者就職基礎能力の目安の影響は残るだろう。

Yesプログラムは終了したが
職業能力評価基準については現在も依然、策定・整備が続けられている。


さて、この「職業能力評価基準」なぜ策定されるに至ったのか、かいつまんで説明しておこう。


はじめはなんと小泉政権にさかのぼる。

平成13年の閣議決定による総合雇用対策が発端になっている。

この中間とりまとめとして、、民間活力を活かした多様な職業能力開発機会の確保・創出に向けた環境整備の一貫として、民間活力を活かした多様な職業能力開発のための基盤整備の目的で、「職務の明確化や能力評価基準の策定に対する支援を推進する。 」

というのが出てくる。

この時点では、あくまで民間事業といった印象である。
そして、「職務の明確化」とセットになっている。


だが、法制化された時点でどうなっていたかというと、概略図はこうなっている。

どう見ても国が社会基盤整備としてやるような印象だ。
はて?と思って雇用対策法(改正)を見てみると…


第十七条  国は、技術の進歩の状況、円滑な再就職のために必要な職業能力の水準その他の事情を考慮して、事業主団体その他の関係者の協力の下に、職業能力の評価のための適正な基準を設定し、これに準拠して労働者の有する職業能力の程度を検定する制度を確立し、及びその充実を図ることにより、労働者の職業能力の開発及び向上、職業の安定並びに経済的社会的地位の向上を図るように努めるものとする。



いつの間にかが社会基盤の整備の一貫として評価基準を設定する事になっている!

さらに「職務の明確化」の文言はこの法律には入っていない

どういう経緯かはわからないが「民間」の仕事を国(厚生労働省能力開発局)が横取りした形だ。


ともあれ、評価基準はさまざまな企業で利用されているし、厚生労働省も中央職業能力開発協会(一応民間
大企業の重役が理事に名前を連ねている)を通じて、普及を促進している。


どうも「職務の明確化」の1項目がはずれたことで、どの職種にもまたがって「意欲」とか「コミュニケーション能力」が出張ることになったのではないかということではないかと思える。


確かに、近年、若者のコミュニケーション能力の低下ということが言われている。
企業が問題にしているのも確かだ。

だからといって厚生労働省がそれをやれば、国家が率先して自閉者排除をしているという誹りは逃れられないだろう。

これでは排除構造の二重化の問題もはらんでくる。

ただでさえ、集団から排除されやすいのが自閉者である。
それを、職能的にも排除すべきとしてしまうのは、いかがなものか?(いいわけない!!)


これが厚生労働省=国のやり方か!

と思うと腹も立ってくる。

ただ、それに対するセーフティネットがしっかりあるのなら話は別だ。


「排除するなら金(年金)を出せ」
「自閉者の雇用枠を他の障害とは独立して確保しろ」
「自閉者にもできるスキルアップの方法を提示しろ」



だったりする。


「可能なスキルアップ」で対処できるのが一番だ。


しかし、「職務の明確化」なしに、基礎能力として「コミュニケーション能力」「チームワーク能力」が求められるのであれば、それはほとんど無理難題であると言えよう。


答申では「職能型職場」を目指したはずが、いつの間にか従前通りの「仲間型職場」を前提としたシステムができあがっている。


(これが法制の官僚による骨抜き化なんだろうなあ)


実際、国立職業リハビリテーションセンターのサイトを見てみても、適応支援の具体的なプログラムには触れられていない。

職業生活に求められる知識や技能の学習を通して、精神的な耐性や適応力の向上を図ると
ともに、長期にわたる職業訓練の受講を支えるための、相談や環境調整を図ります。



という案内のみだ。

「精神的な耐性の向上」にはもう笑うしかない!

「精神的な耐性」で済まないから障害なのだから!。



このように、セーフティネットのない中で、高機能の自閉圏者は生きて行かざるを得ない。

寄り集まるのが難しいのが自閉者の特徴である。

しかし、こと、この件に関しては、ある面、なんとか力を合わせて政府に働きかけていく必要があるのではないだろうか。

また、支援者にもこういったことを考えてみて欲しいと思う。



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さらに腹の立つ話だ!
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厚生労働省が自閉者の雇用にダメだししている?!(1)

書籍紹介は一旦休止して、お盆特番だ!


今日は就業についてのお話。


昨日ある人からツイッターで、「就活でコミュニケーション能力」が重視されるようになったのはいつ頃なのだろう?という疑問が提示された。


なるほど、確かに最近やたらと「コミュニケーション能力」という言葉が跋扈している。
コミュニケーション能力なければ職業人としての適性を欠くといわんがばかりの論調もあるにはある。


で、ごそごそごそごそ、夜中にゴキブリのごとくネットをはい回り?…じゃない!情報収集をしていたら、とんでもないものに行き当たった。


若年者就職基礎能力の修得の目安(厚生労働省のHP内)


この冒頭に出てくるのが「コミュニケーション能力」なのである。


さてさてと、なかみを読むと…「意思疎通」「協調性」「自己表現能力」の三つに分かれており、ごちゃごちゃとうるさい注文がついている。


おいおいおい…だ。


まあ、とりあえず大卒の目安で見てみると次のようなものが…


「相手の立場にたって真意を聞き取った上で的確な質問により話を聞き出すことができる」
「相手の考え方を総合的に理解した上で意見交換を円滑に行う」
「相手の意見や複数の異なる意見を分類・整理した上で、要旨を整理し要約できる」
「タイミングをはずすことなく相手にとって必要な情報を正確に伝えることができる」
「組織状況を把握し、円滑な人間関係に努めながら組織にとけ込むことができる」
「組織のルールに沿った行動ができる」
「伝えようとする事柄について相手の理解の度合いを考慮氏ながら説明に工夫をこらすことができる」




この年齢の自閉圏者にはとうてい不可能と思われる事がずらずら並んでいる。


え、つまり何か?
コミュニケーション障害を持っている自閉圏の人間は
社会人失格だとでも言いたいのか?



と、言いたくなってくる。


さて…、と、これだけでは資料として不十分だ。
というわけで、次のページも紹介しておこう。


職業能力評価基準について(厚生労働省HP)
(詳細は外郭団体の中央職業能力開発協会のホームページで見ることができる。)


これには、キャリア形成の目標に、人事採用時の新しいスタンダードに!という副題がついている。

つまり、厚生労働省=国が、企業の人事採用の基準として積極的に普及させようとしているものだ。

ちょっとこの中のモデル評価シートのページを見てみる…

基本的能力として、ことごとく、コミュニケーション能力とチームワーク能力が記載されている。


・コミュニケーション
上司・先輩などの上位者に対し、正確にホウレンソウ(報告・連絡・相談)をしている。
自分の意見や主張を筋道立てて相手に説明している。
相手の心情に配慮し、適切な態度や言葉遣い、姿勢で依頼や折衝をしている。
職場の同僚等と本音で話し合える人間関係を構築している。
苦手な上司や同僚とも、仕事上支障がないよう、必要な関係を保っている。

・チームワーク
余裕がある場合には、周囲の忙しそうな人の仕事を手伝っている。
チームプレーを行う際には、仲間と仕事や役割を分担して協同で取り組んでいる。
周囲の同僚の立場や状況を考えながら、チームプレーを行っている。
苦手な同僚、考え方の異なる同僚であっても、協力して仕事を進めている。
職場の新人や下位者に対して業務指導や仕事のノウハウ提供をしている。




つまり、職業人として、業種ごとの個別の職能以前に「コミュニケーション能力」や「チームワーク能力」が職業能力評価されるという基準作りを「厚生労働省」が推進しているわけである。


仮に専門的な能力がいくら高くても、社会性の障害、コミュニケーションの障害という「障害自体」が、マイナス評価の材料だ。

この評価基準が実際に企業の人事評価制度の策定などに利用されているという事例までのっているから、事は重大だ。


要求されるな能力を身につけるのに、自閉圏者の場合、定型発達者の何倍も手間と時間がかかるし、そのこと自体がストレスになりやすい。支援・フォロー体制もない中、こんな基準が広められれば、自閉者は就業上圧倒的に不利な状況に追い込まれる事は自明だろう。


いってみれば、厚生労働省が、発達障害者の雇用を促進するどころか、発達障害者を雇用の場から閉め出そうとしているといっても過言ではないだろう。


厚生労働省がもしこのままの施策を維持するのであれば、早急に手厚い発達障害者へのスキルアップ支援体制・就職後のフォロー体制を作って欲しいと思う。



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おもしろいサイトをみっけ!~医療福祉フォーラム2008 発達障害の脳科学~

このところミラーニューロンってのに夢中になっていて、脳科学関連をあさっている。

で、

ネットサーフィンしていて、たまたま発見。


去年の11月のイベントの報告ページ。


医療福祉フォーラム2008
発達障害の脳科学
~アスペルガー障害の理解と支援をめざして~
http://www.tbgu.org/event/forum200811/index.html

講演者の顔ぶれはそうそうたるもの。

「アスペルガー障害者の自立支援に向けて」
昭和大学医学部精神医学教室・附属烏山病院 加藤 進昌

「アスペルガー障害の脳画像と遺伝子研究」
東京大学大学院医学系研究科精神医学分野 山末 英典

「わが国における発達障害対策の現状と展望」
あいち小児総合保健医療センター 杉山 登志郎

「スウェーデンにおける発達障害者支援の取り組み」
カロリンスカ研究所 Per-Anders Rydelius

「PDD少年による犯罪・非行の特徴」
京都ノートルダム女子大学教授 藤川洋子


残念ながら、純粋な脳科学部分は加藤氏と山末氏の部分だけ。
それでもなかなか読み応えがある講演記録だった。


中でも、山末氏の講演、脳の44野と共感能力に関する部分は非常に興味深かった。



こうして脳科学的に解明されていくと、うれしいですねえ。




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ちょっと古い?
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っとしてね~



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発達障害者支援法を読んでみて~成人の支援、医療機関の役割は?~

この4月に施行された発達障害者支援法を読んでみた。

全25条からなるコンパクトな法律である。

が、今の政府、お役所の認識がまあ、露骨に出た法律だと思う。

何より、重点が早期診断、早期の発達支援におかれている点。

一応十条に就労支援について記載があるが、ここがちょっと問題だ。

十条の2より引用

2  都道府県及び市町村は、必要に応じ、発達障害者が就労のための準備を適切に行えるようにするための支援が学校において行われるよう必要な措置を講じるものとする。



これでは、成人になってから発達障害がわかった人間への就労準備支援はないことになる。

もちろん、第十一条に次の文言があるので、全くないと言うわけではない…


第十一条  市町村は、発達障害者が、その希望に応じて、地域において自立した生活を営むことができるようにするため、発達障害者に対し、社会生活への適応のために必要な訓練を受ける機会の確保、共同生活を営むべき住居その他の地域において生活を営むべき住居の確保その他必要な支援に努めなければならない。




では、社会生活への適応のために必要な訓練はどこで行われるべきか?
このあたり、具体的な指定がないので、まだ努力目標といったところなのだろうが、さしあたって、発達障害者が診断後もコンタクトをとり続ける可能性のあるところといったら医療機関である。

法律には記載がろくすっぽないが、医療機関をもっと活用できないものなのだろうか?

集団精神療法(グループワーク)など、医療機関でぜひやって欲しいもののひとつである。
SST(ソーシャルスキルトレーニング)もできれば医療機関でやって欲しい。

なぜなら、医療機関というのは成人発達障害者のニーズが一番わかるはずのところだからだ。

が、現実としては、医療機関は二次障害がなければ、ほとんど何もすることがないといった感じで、
二次障害に対する投薬治療がほとんどではないだろうか。


私が自助会をやってみて思うことは、もっと水面下には支援を必要とする人がいるということ。
二次障害が重すぎて自助会に出てこられない人もいるだろうということ。

孤独感を深めがちな成人当事者には、「同じような性質の人間がいる」ということを知るだけでも価値がある。


医師・心理士はそんな当事者を一番身近に見ているはずの職種である。


今現在、発達障害を診察できる医療機関は限られている。
まずもって「当事者」を知らない医師がまだまだ存在するだろう。

それは今後の施策、社会的ニーズで必的に増えていくだろうが、その段階で、ひとつやって欲しいことがある。

それは、前述のSSTなどの実施やグループワークなどの実施もとうぜんあるが、
もう一つ、末端の発達障害者のニーズの拾い上げと類型化である。

末端のニーズの拾い上げ、これは医療機関、医師の役割だろう。
その上で学会等、医療機関の集まりがどんどこそれを類型化していって、役立つ形にして欲しい。


それを政策とつなげれば必ずや成人発達障害への対応もうまくいくと思うのだ。


さて次のの改正はいつか?そしてどうなるか?


精神科医師・精神科医療機関の努力義務や、施策としてのニーズの吸い上げに言及されるものになって欲しいと考えた。




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条文は比較的
わかりやすかった

っと、それは
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ぼちっとね。







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「ザ!世界仰天ニュース」のアスペルガー症候群特集を見たら…

はいみなさま、こんにちは。

たったいま、見ましたよ日テレ「ザ!世界仰天ニュース」のアスペルガー症候群特集

泉流星さんの物語という感じですねえ。
「地球生まれの異星人」に書いてあることを映像化したって感じ。
あ、この本ね。




で、泉さんの空気の読めなさに関して、小学校時代まではくわしいけど、思春期以降のエピソードでもあったらなあと思いましたねえ。


感覚過敏、想像力の障害についてはある程度リアルに表現されていましたねえ。
映像の力というか演出力ですね



さて、番組全体ですが、

「アスペルガー症候群」が脳の障害であることにはちゃんと焦点が当たっていたのは評価できると思いますね。

「脳の障害」ということばがかなりの回数連呼されてましたから。

にもかかわらず「いまだ正確には解明されていない」ですますのはなあ、ちょっと期待はずれ。

それにしても、自治医大の脳外科の先生はどうして出てきたんだろ。
何も専門的なコメントなしでしたね。

今だったら、もうちょっと脳の特定部分の障害があることがわかっているのだから、この辺はもうちょっとつっこんで欲しかったな。

よこはま発達クリニックの内山登起夫医師のコメントはまあ、概論的だったな。
もうちょっと時間を割いて欲しかった。


最後の泉さんのコメント「表情について」

は、まあ、アスペルガー症候群の人間の表情はあてにならないというものでしたが、
それで定型発達者側に努力を求めるのはどうかなと。

だって、誰がアスペルガー症候群ですってネームプレートに書いてある訳じゃないもんね。

ま、内容が薄いのは仕方ないかなあ。
一人の人間に焦点をあてて「物語」として「映像化しやすい」ように番組作りをすればどうしてもそうなりがちなとは思う。


今度こういった番組を作るときは、もうちょっと違った構成の番組作りをして欲しいと思ったな、


そしてなにより、「苦悩」をあまり強調するのはやめて欲しい。
何せ、今、アスペルガー症候群のお子さんを持って子育てにがんばっている親御さんもおおいのだから。


ま、大人のアスペルガー症候群にはじめてゴールデンタイムの光が当たったと言う意味では、この番組の価値はあったろうと思う。




<おまけ>
それにしてもすごいな、テレビの力は…このブログのアクセスが急に普段の10倍になってるぞ…


★翌日2009/07/23未明追記

そういえば、「こだわり」とか「正義感」の話は出ていなかったな。
泉さんに限ってそういうのがまるでないってことはないと思うんだけど…
結構暮らしていく上では重要なポイントだよねえ。



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ま、一歩踏み出したと
思えるかな。
他局の追随きぼーん

ま、それは
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発達障害、初診は○ヶ月待ちのうえ…

さて、前回ミチャポンのアスペルガー疑惑を書いた訳だが、子供家庭センター(児童相談所)でみごとグレーの判定をいただいたミチャポン、次なる目標は医療機関の受診にこぎ着ける事である。


どうせ発達障害を見てもらう医療機関に行くんなら、私とヒイロの通っている病院が面倒がなくていい、できれば同じ医師ならもっといい。


というわけで、とりあえず病院に電話をかけ、事情を話すと、


「発達障害の疑いで診断を受けたいということでしたら、○日から来年の1月から3月分の初診の予約を再開するので、○日の朝にお電話いただければ予約をおとりします」


とのこと


紹介状が要らないだけでも助かるのであるが(その病院は表向きは原則紹介状必要となっている)それにしても予約すら常時は受けつけていないというのは難儀なこった。


「あの~、私と息子がかかっているので、できれば○○先生でお願いしたいんですけど」


「電話でおっしゃって下さいね、ただ、○○先生の予約は夕方前に埋まってしまうと思うのでできるだけ早めにお電話下さい」


う…プレッシャーかかるなあ。
朝、確実に電話だなんてできるだろうか…


それはまあともかくも、3ヶ月分の初診予約が一日で埋まる…
うーんである。


そういや、私の時は5ヶ月待ちだった。
相変わらず、受診するだけでも難儀なのねえ~と、感心するやら辟易とするやら。


まあ、うちの場合、病院探しに奔走しなくてもいいぶんまだマシである。


普通の場合、発達障害の専門家のいる医療機関を探すだけでも難儀だろう。その上予約までにンヶ月、予約してからンヶ月というのは、かなり辛いものがある。


そういえば、民間の某医療機関では何年先の予約がつまっていて、予約停止中という話もあったな。


他にも数ヶ月待ちは当たり前~の話は腐るほどある。


こうなると疑いがあってもなかなか受診にこぎ着けられないケースも多々あるのではないかと思う。


特別支援教育の枠組みができても診断を受けられないと必要な支援も受けられないということにもなりかねない。それって制度の片手落ち~だと思ってしまう。


まあ、発達障害に対応できる医師・医療機関の絶対数が足りないのだろう。


もうちょっとお手軽に受診できるように発達障害に対応できる医師・医療機関が増えることを願ってしまうのであった。





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昨年の京都の学習塾女児殺害事件とアスペルガー症候群と私のフラッシュバックと…

みなさまこんにちは、年末に至っても調子の悪い眠ってばっかりの狸穴猫です。

さて、PTSDのフラッシュバック等、調子が悪いところに、昨年末、急激にPTSD悪化のきっかけとなったニュース(事件)の裁判の経過が報道されたようで、おまけにそれがアスペルガー症候群と関わるというじゃないですか…というわけで、アタマの整理をするつもりであえてフラッシュバックのネタに突っ込んでみる事にします。(薬増やしたためかフラッシュバックは落ち着いているし…やたら眠いけど)

さて、その事件はというと、昨年12月はじめにあった京都・宇治の学習塾女児殺害事件です。

なぜこの事件のニュースが私のフラッシュバックのきっかけになってしまうのかということは「刃物沙汰であること」「学習塾が関係すること」などなのですが、まあそれはまずはちょっとおいておきます。

この事件の被告の精神鑑定結果の概要はafcpさんがブログでまとめて下さっているのでそちらをご参照下さい。
宇治学習塾女児殺害事件 被告の精神鑑定(afcpさんのブログの該当記事へ)


この凶悪で不可解な事件の被告がアスペルガー症候群であり、アスペルガー症候群にときとして伴う症状である「妄想用観念」にとりつかれての犯行だということ。

アスペルガー症候群当事者としては、また世論がアスペルガーと犯罪を結びつけるかな~とちょっと気になるこの事件ですが、鑑定結果からもやはり問題は二次障害のほうにあるという感じですね。

さて、私の件に戻ってと…私がDV被害にあったのは離婚した元夫(高機能自閉症だった)がこの事件の鑑定結果と同様、家庭環境や教育環境から二次障害としての統合失調症様症状を呈し、「妄想様観念」にとりつかれていた時期のことなのです。はっきりいって命の危険もありました。

ほんとはちょっと書くのは怖いんです。どこからかこのブログを見つけられて再度「妄想様観念」とやらで私や息子にに危害を加えようとしやしないかという心配をしてしまいます。(実際は可能性として非常に低いです、元夫は当時のDVのことをあまり憶えていないようなのですから)

でも、書かないといつまでも引きずるような気がするのであえて突っ込んでみました。

京都の事件と私の元夫の件で何となく重なるのはやはり自己評価の極端な低さです。環境により「妄想様観念」やら統合失調症様症状がでるとするなら、多分自己評価が極端に低いケースなのではと思えてならないのです。


やっぱり叫びたくなります、アスペルガー症候群者にとって二次障害防止は一番の問題だと。




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成人期の支援ネットワーク作り事業のイベントに行って来た

アスペ・エルデの会の成人期の支援ネットワーク作り事業のイベントに行って来た。

午前・午後両方行く予定でいたが、体調不良により午後のワークショップだけの参加(体調不良は大嘘・単に午前中寝呆けていただけ…最近睡眠障害もむごいが)

縹さん・みっちゃん・それから名前は知らないが当ブログの読者さまに会えたのは何となくうれしかった。

斜め前の席に私の主治医が座っていたのには「ぎえぇ」でした。(だって、自助会とかはもう少し調子よくなってからにしなさいっていわれてたんだもんね…おまけにあさって外来だ)

さて、内容報告といくか…

と、いいたいんだけど、ワークショップっていったいなんなんだぁ?の世界でした。

自分のいいところ・改善すべきところ認識して…というワーク、なんかよくわかんなかった。
リラクゼーションの方法…まあ、過緊張対策なんだろうけど…ちょっとありきたり。

当事者が困っていることといえば、なんといっても一般の世間にでてうまくやっていくことに他ならない。その辺の当事者の考えというものをもうちょっと聞いてみたかったように思う。

まずは当事者の「世間との狭間で」困っていることの意見の集積みたいなことをやる機会があったらなあと思った。

これにはやはりまずは当事者を中心に据えて支援者がインタビュアーになるようなインタビュー形式のような形がまずは必要なのではないだろうか。

もうちょっと少人数に分け、テーマをあらかじめはっきりさせたの分科会形式が必要のような気がする。

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うわ!狸穴猫が本に登場してしまった
かなしろにゃんこ。さんの新刊に狸穴猫が登場します。
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