【書籍】「すみません」の国/榎本博明著

2月から整形外科で通っている某大学病院がターミナル駅に近いので、でかい本屋にも近い。

というわけで、帰りにしばしば本屋に寄ってくるのが楽しみになっているのだが、なかなかおもしろい本を見つけたので紹介する。


4532261570「すみません」の国 (日経プレミアシリーズ) (日経プレミアシリーズ 157)
榎本 博明
日本経済新聞出版社 2012-04-10

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何の本かというと、「空気」をキーにした日本文化論である。

日常の様々な場面から、政治的場面まで、日本を覆う「空気」とはどういったメカニズムで動いているのか?

また空気の醸成される過程はいかなる物か?
これを「すみません」をキーに読み解こうという本である。

多分、定型発達者にとって、この本は、「そうそう」、「うんうん」「確かにね~」とうなずきながら読む本であるのだと思う。

だが、ASD者にとっては、多分目から鱗の連続だと思う。

なにせ、意味不明の「空気」というものが、どういった過程を経て作られるのか、それがどういった方向性を作り出すのかなど、詳細に例を挙げて解説されているのだ。

ASD者にとって不可解に思える定型者のコミュニケーションの動きにはそれなりに意味がある。

その原則が解るだけでだいぶASD者のストレスが軽減できるのではないだろうか。


ってなわけで、ASD当事者にはお勧め度がかなり高い本である。






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いやあ、この本
目から鱗でしたよ~!

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第25回アスパラガスの会参加登録開始のお知らせ

近畿ローカルで失礼します。

第25回アスパラガスの会(広汎性発達障害者のための自助会)参加登録開始のお知らせです。

日時:2012/6/23(土)14:00~15:45

場所:大阪府柏原市内某所
   (JR大和路線、近鉄道明寺線柏原駅から数分)

テーマ:出産、育児、家族関係について


参加登録期間 2011/5/28-2012/6/10


参加登録はこちらからお願いします。
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ASD児の療育再考-何を柱とすべきか?-

ASD(自閉症スペクトラム)児の療育についてちょっと思うところあって再考してみた。

療育は障害による不自由が少なくなるように行うというものであるのは間違いないだろう。

しかし、療育において柱とすべきことはなんなんだろう?
その辺が頭の中ではっきりしない事には、何かにつけて行き当たりバッタリになることは避けられない。

というわけで何を柱とすべきか考えてみようというのが今日のお話。


まず頭に浮かぶのは個人のさまざまな能力を活かし、のばしていく事だろう。

障害の有無にかかわらず、できることを増やし将来のさまざまな選択肢の幅を増やしていく。
それは生活する能力ともなるし、稼ぐ為の能力にもなりうる。また、余暇を過ごす為の能力ともなりうるものだ。
ゆえに、興味・関心をはぐくみ、さまざまな能力を伸ばしていくことは悪いことではないだろう。
ASD児特有の興味・関心の持ち方があるから、そこに配慮しながら教育する必要もある。
というわけで、これは療育の柱の1つとなりうる。

更に身体面での不具合による負担を軽減していくことも療育の一つの柱となっていくだろう。
ASD者の多くが身体的な問題を抱えている以上、これにアプローチできれば生きやすさは倍増する。
幸い身体や感覚の問題なども近年さまざまなアプローチが可能になってきている。こういった取り組みが生きやすさを作っていくことになるはずだ。

ここまでで安直に二つの大きな柱がでてきた。

ではこれだけで良いのだろうか?
ここがちょっと私の頭の中でモヤモヤしていた点である。


ここで社会の中の個人ということを考えてみる。

個人は社会のルールによってさまざまな形で守られている。

基本的に、殺されない、脅されない、盗まれない等ということが保証されている。
これは社会のかなり厳格なルール(=法律)によって守られている権利である。

そして、あまりお互い不快な思いをしないということ、これは公衆道徳・マナーという、もうちょっとゆるいルールによって守られている。

自閉症児者に限らず、誰しも社会と完全に分離して生きていけるものではない。

となると社会の中で生きていくということは上記のようなルールに従って生きていく事になる。

定型発達児ではこのようなルールが相互の為に存在することなどが比較的自然に学習できるのかもしれないが、ASD児は社会性の障害があるため、そのあたりに困難を抱えている。

ASD児者はルールに厳格な場合が多いのではあるが、ルールの相互性を学ぶ必要はあるだろう。それが身についていなければちょっとしたことルールの順位が崩れたりしかねない。

また、社会の仕組みも当然学ぶべきであるが、細部に目がいきやすい特性から、誤学習を起こしやすく、社会の仕組みを誤認したりもしやすいものである。

従って、社会のルールや仕組みを適切に教えることも療育の重要な柱と見なすことができるのではないかというのが私の結論である。


こう考えていくとASD児の療育には

・さまざまな能力をのばしていくこと。
・身体面の不具合による負担を軽減していくこと。
・社会のルールやしくみを適切に教えること。


の三つの柱が考えられるのではないだろうか。


…などと考えたわけでした。
あーすっきりした。





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横道にそれて
療育の話です

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【番組紹介】NHKのただイマで発達障害特集

NHKの「情報LIVEただイマ」という番組で発達障害の特集があるようだ。

5月18日22:00~


番組の目玉は浜松医大発の血液検査でASD(自閉症スペクトラム)がわかるという研究に関する話のようだ。

ただイマのHPはこちら↓
http://www.nhk.or.jp/tadaima/

浜松医大精神科学教室の研究紹介ページ↓
http://www2.hama-med.ac.jp/w1b/psy/research/index.html


いろんな意味でちょっと注目である。
というわけで番組情報でした。




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今日はこれだけ
なんですが

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【書籍】もっと笑顔が見たいから/岩永竜一郎著

5月に入ったが別にうちには連休も関係ない。…ってなわけで来客が一件あっただけで、どこにも出かけないゴールデンウィークであった。
そういうわけで、書評書かずにほうっておいた本を読み返したりしていた。

というわけで書評いってみます。


4907725833もっと笑顔が見たいから―発達デコボコな子どものための感覚運動アプローチ
岩永 竜一郎
花風社 2012-03-21

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この本、サブタイトルが「発達凸凹な子どものための感覚統合アプローチ」という。
というわけで、感覚統合療法についての本である。

発達障害における感覚統合療法とは、簡単に説明すると体の感覚ができていない事による、さまざまな影響をトレーニング等によって改善、緩和し、ひいては発達障害特有のさまざまな不具合を改善、緩和しようというものである。

前半は「5感+2覚」についての説明と感覚に関する不具合の見方、考え方。後半は具体的な手法の話となっている。

とても読みやすく素直に頭に入る本だった。
考え方の基礎が書かれているので応用もききそうである。


感覚統合に関する本で保護者が気軽に読める本は今までなく、そういった意味でこの本が出版された意義は大きいだろう。

あまり聞き慣れない「2覚」の話、「固有受容覚」「前庭覚」の話は非常に興味深い。

また、後半、家庭でもできる感覚統合アプローチについてかなりのページが割かれており、気軽にトライできるのもうれしいところ。


…、と、ここまで堅く書いてきたが、実はこの本を読んでちとびっくりなのであった。

何故か?この本に書かれている簡単なアプローチのいくつかは、実際私自身が体験済みの事だったからだ。

くすぐり遊び、揺れ遊び…

感覚統合に関してはろくすっぽ知らなかったが、私が体験しているので、うちでは子どもに対しても当たり前にやっている事だったものが多くあった。

いやはや、何とも不思議な話である。


この本の範囲なら日常の延長でできることが多く、害はなさそうだ。

また、感覚異常というものがピンとこない定型の親御さんが感覚の異常について知る為だけでもこの本はずいぶん役に立つだろうと思う。






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小休止して
書評ですが

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正直者ルールを疑え-自閉者の誤学習のはなし-

前回の記事の続きであるが、自閉者の「バカまじめさ」がどこから来るのかについてもうちょっと突っ込んで考えてみる。


世の中、正直であることは「一応」美徳ということになっている。

「うそつきはいけません」というのはよく親に言われる台詞でもあるし、幼稚園でも習うだろう。

が、この美徳とやら、「人は結構ウソをつきやすい」という前提があっての美徳であるし、「ウソも方便」ということわざがあることからも、ウソを絶対悪として見るものではないはずだ。

年齢があがるに従い、「絶対いけないウソ」、「できればつかない方がいいウソ」「場合によっては許されるウソ」「ウソをつく方がいい場合のウソ」など、いろんなウソの存在を学習していくのが普通である。

が、あとから修正がききにくい発達障害者に「うそつきはいけません」ルールが入ると、往々にして、「正直に話さねばならない」という強迫的なものになってしまう場合があるようだ。


ここで前回の話とつながるのだが、


自閉者の場合、「嘘つきはいけない」ルールを適宜修正せずに野放しにしておくと、


「嘘つきはいけない」→「正直に話すべき」→「何事も真っ正直に対応するのが善」などというルールをこさえてしまう事がままあるようだ。

高じると、


     →「回りの人間は悪い奴ばかりで信用できない」
     →「正直にせず、うまく立ち回る人が許せない」
     →「戦略的に動くのはいけないことだ」
     →「真正直に対応しても成果を出せない自分が情けない」



などに移っていってしまうことは想像に難くない…というか、このパターンに陥っている人を見かける事は少なくない。

結果として、思い切りストレスを抱えているという人は少なくないだろう。


さて、自閉者にとっての致命的な誤学習はいくつかあるが、こう考えていくと


「正直は善である」


というのはその筆頭に上がるものの1つといえるのではないだろうか?

というのが結論である。


ところで、自閉者の私が比較的戦略的思考に抵抗がない、「正直ものルール」に縛られないで済んでいるのは何故か?そこにもちょっと触れておこう。

実際、私も正直が好きである。

楽だからだ。

ウソをつくというのはそれなりに精神的負荷を伴う。
家の中では、つい正直にペロッと言ってしまってあとから後悔ということは多々ある。

が、外ではとりあえず対外仕様で動けるし、戦略指向も強いしそのことにさほど抵抗がないのは、徹底的な教育の成果だと思われる。


またしても登場するのは私のおとっつぁん(父)である。

私が小学生の頃、融通が利かない私に対し、「ウソも方便」ということわざの意味を、何度となく父は例を引っ張ってきて理屈で解説した。

そして、そりゃもうしつこいというくらい「ウソ」というものについて小さい頃から考えさせられた。ついていけないウソ、つくべきウソ、その中間。

そして、戦略的であることは身を守るためには当然やるべき事として徹底的に教育された。
まあ、そんなわけで、陥りがちな罠に引っかからずに済んでいるわけだと思う。


話を戻そう。


「嘘つきは悪、正直は善」


この一見まともそうな観念は、まともそうなだけに一度根付くと非常に覆しがたい。


しかし、このルールが修正されないまま自閉者が成長すると、前項でも語ったように、二次障害や逆恨みの元になったりと、とてもやっかいな事になる。


だからこそ、早期の教育段階で、注意深く、これがが絶対ルールでないことを教育していくべきであると思うし、それは決して不可能な事ではないと私は考える。







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第24回アスパラガスの会参加登録開始のお知らせ

近畿ローカルで失礼します。

第24回アスパラガスの会(広汎性発達障害者のための自助会)参加登録開始のお知らせです。

日時:2012/5/26(土)14:00~15:45

場所:大阪府柏原市内某所
   (JR大和路線、近鉄道明寺線柏原駅から数分)

テーマ:就労について


参加登録期間 2011/4/30-2012/5/13


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