臨床から生まれたアスペルガー症候群の障害モデル
春だ…花粉の季節だ。 br> 私はそれほどひどい花粉症ではないものの、暖かい日に外に出ると目がかゆくなる。 br> というわけで外に出るのは億劫なので br> 家の中で本を読む。 br> このところでだいぶ本を買ってしまったので書評がちょっと続く可能性はある。
というわけでいってみよ~。
アスペルガーの人はなぜ生きづらいのか? 大人の発達障害を考える (こころライブラリー) | ||||
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著者は東京の神田にある明神下診療所の米田衆介医師。 br> 東京では結構有名な人らしい。
アスペルガー関連の本が雨後の筍のように出ているが、特徴の羅列+理解と支援をのかけ声ばかりの本が多く、ちょっと食傷気味だったのだが、この本はかなり斬新な切り口で興味深く読むことができた。
アスペルガー症候群の特徴といえばローナ・ウィングの提唱した三つ組みの特性が有名だが米田医師はウィングの三つ組みを症状分類的なものと捉え、さらに本質的な部分の解明が必要とのべた上で、臨床経験から情報過剰選択仮説というものを提唱する。
米田氏の提唱する情報に焦点をあてた仮説とは
情報過剰選択仮説とは、
シングルフォーカス特性 br> シングルレイヤー思考特性 br> ハイコントラスト知覚特性
の3つの特性を中核に、5つの周辺特性を設定したものである。
まあ、詳しくは読んでいただくしかないが、 ここまででもかなり画期的な内容だ。
なぜアスペルガー者が独特の行動をとるのか?といったことが、この仮説を用いるとかなり解釈が可能になるからである。
周辺特性部分がまだうまくモデル化されていないのか、多少ぎくしゃくした部分もあり、この仮説に全面的には納得は出来ないものの米田氏の言う中核特性群の設定は間違っていないのではないだろうかと思った。
アスペルガーの陥りやすい誤信念という罠
そして、この本のもう一つのミソは生きづらさを作る後天的要因として「信念」というものを重要視しているという点である。
人間はさまざまな「信念」を持って生きているが、その「信念」があまりに現実離れしたものであったりと、社会適応上不都合な信念だったりすれば当然生きづらさを生じやすい。アスペルガー者は先に挙げた中核特性群のために、適応的でない信念をもちやすく、それが生きにくさの原因の大きな部分をなすと米田氏は言う。
多くの例を挙げての解説は説得力がある。
また、アスペルガー者にとってどういった支援(介入)が必要なのか?といった観点が随所に盛り込まれているのも非常に好感が持てた。
どうしてアスペルガー者が嫌われやすいのかといった事なども歯に衣着せずに書いてあるので、正直なところ、当事者が読むと「キツイ!」と思う部分も多いかもしれない。だがそれだけに役に立つ部分は多い。良薬口に苦しといったところである。 br>
当事者・家族・支援者いずれにもおすすめ。 br> ひさびさのヒット!という感じである。

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