【書籍】アスペルガーの人はなぜ生きづらいのか?/米田衆介著

臨床から生まれたアスペルガー症候群の障害モデル

春だ…花粉の季節だ。 私はそれほどひどい花粉症ではないものの、暖かい日に外に出ると目がかゆくなる。 というわけで外に出るのは億劫なので 家の中で本を読む。 このところでだいぶ本を買ってしまったので書評がちょっと続く可能性はある。

というわけでいってみよ~。

アスペルガーの人はなぜ生きづらいのか? 大人の発達障害を考える (こころライブラリー)

米田 衆介 講談社 2011-12-17
売り上げランキング : 46265
by ヨメレバ

著者は東京の神田にある明神下診療所の米田衆介医師。 東京では結構有名な人らしい。

アスペルガー関連の本が雨後の筍のように出ているが、特徴の羅列+理解と支援をのかけ声ばかりの本が多く、ちょっと食傷気味だったのだが、この本はかなり斬新な切り口で興味深く読むことができた。

アスペルガー症候群の特徴といえばローナ・ウィングの提唱した三つ組みの特性が有名だが米田医師はウィングの三つ組みを症状分類的なものと捉え、さらに本質的な部分の解明が必要とのべた上で、臨床経験から情報過剰選択仮説というものを提唱する。

米田氏の提唱する情報に焦点をあてた仮説とは

情報過剰選択仮説とは、

シングルフォーカス特性 シングルレイヤー思考特性 ハイコントラスト知覚特性

の3つの特性を中核に、5つの周辺特性を設定したものである。

まあ、詳しくは読んでいただくしかないが、 ここまででもかなり画期的な内容だ。

なぜアスペルガー者が独特の行動をとるのか?といったことが、この仮説を用いるとかなり解釈が可能になるからである。

周辺特性部分がまだうまくモデル化されていないのか、多少ぎくしゃくした部分もあり、この仮説に全面的には納得は出来ないものの米田氏の言う中核特性群の設定は間違っていないのではないだろうかと思った。

アスペルガーの陥りやすい誤信念という罠

そして、この本のもう一つのミソは生きづらさを作る後天的要因として「信念」というものを重要視しているという点である。

人間はさまざまな「信念」を持って生きているが、その「信念」があまりに現実離れしたものであったりと、社会適応上不都合な信念だったりすれば当然生きづらさを生じやすい。アスペルガー者は先に挙げた中核特性群のために、適応的でない信念をもちやすく、それが生きにくさの原因の大きな部分をなすと米田氏は言う。

多くの例を挙げての解説は説得力がある。

また、アスペルガー者にとってどういった支援(介入)が必要なのか?といった観点が随所に盛り込まれているのも非常に好感が持てた。

どうしてアスペルガー者が嫌われやすいのかといった事なども歯に衣着せずに書いてあるので、正直なところ、当事者が読むと「キツイ!」と思う部分も多いかもしれない。だがそれだけに役に立つ部分は多い。良薬口に苦しといったところである。

当事者・家族・支援者いずれにもおすすめ。 ひさびさのヒット!という感じである。



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ピアサポーター研修会なるものに参加してきた。

3月9日、10日DDAC(発達障害をもつ大人の会)さん主催のピアサポーター研修会というのに参加してきた。要するにピアグループ(自助会)のリーダー研修みたいなもんである。
アスパラガスの会を始めて3年半、まあ基本自己流でやってきたのでちょいとここいらで振り返ったり、正当流?を勉強したりしてアスパラのパワーアップできればいいなーと思ったのだ。


10時~17時までのプログラムを二日間となると問題はとにかく眠いことである。
土日は我が家は休日ではない。12時に寝て2時におき、タヌキの朝食と弁当をつくり4時に寝て7時半に起きて出かけるというパターンになる。さらに前日の晩に夕食の準備もしておかねばならない。こうなると寝不足は避けられない。


起きられるのかがまず問題だったがこれはなんとかミチャポンに起こしてもらってクリア。だが、講義が眠かった!。関心はそれなりに持てるので真面目に聞いているつもりなのだが、途中意識が何回かとぎれ、ふと気がつくと資料のページが進んでいる!あああ…。


ピアサポートについての研究、カウンセリング等の講義、グループワークでの
ピアグループのメリットデメリットの洗い出し等々、盛りだくさんの内容だった。


参加者は発達障害の自助会の運営者、スタッフ、これから自助会を立ち上げようとしている人などである。やはり絶対数が多いせいかADHDの方が若干多い感じ。何となく新鮮であっただけでなく、ASDに特化したアスパラガスの会の位置づけというものが私の中ではっきり意識できたことは収穫だった。


また発達障害の多様さというのも非常に感じた。
普段アスパラではADHD傾向が極端に強い方にはあまりお目にかからないので、その悩み等を聞く機会はあまりない。同じ発達障害でもかなり悩みも違うという感じがした。


私の印象ではピアサポートの役割・効用の範囲というのも共通部分はあるもののASDメインの人とADHDメインの人とではかなり違うのではないかなという感じ。

ADHDが強い人はどうしても自己評価が極端に低くなりがちであるので、ピアサポートの役割というのは、お互いがお互いの役に立つことを通して自己評価を回復していくことが非常に重要になってくる。

それに対してASDの場合だと、素のままでいられる場があるということの安心感を得られることや、コミュニケーションの練習場という役割が非常に重要になってくると思った。


二日間、多少疲れたが勉強になったしいろんな人とも知り合えて楽しかった。

おまけだが、ミーハーな私はテレビでおなじみの笹森理恵さんに会えたのが結構うれしかったりしたのであった。



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またまたNHKで発達障害関連番組、今度は就労に関するもの

なんか最近発達障害関連番組のラッシュという感がある。

NHK 総合
クローズアップ現代「“大人の発達障害”と職場はどう向き合うか?」
2013年3月13日(水)午後7:30~午後7:56(26分)

内容:いわゆる「発達障害」の人々が職場で孤立し、うつ病を発症するケースが増加。背景にあるのは、成果主義導入などで余裕を失った職場環境。求められる職場のあり方を考える。

…だそうで、とりあえず見てみようと思う。

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【書籍】自閉症者の犯罪を防ぐための提言/浅見淳子

しばらく前に購入して斜め読みしただけでほっておいた本を一昨日通読した。
というわけで書評いってみる。


自閉症者の犯罪を防ぐための提言―刑事告訴した立場から
自閉症者の犯罪を防ぐための提言―刑事告訴した立場から浅見 淳子

花風社 2012-10
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この本はかつてネット上である自閉症者が起こした奇妙な事件に関する顛末とそれから得られた貴重な知恵に関する部分(後半)、そして自閉症児者を取り巻く言論環境の実情と「支援」の今のあり方が遵法教育をする上で妥当なものかという疑問を呈した部分(前半)からなる。


著者は自閉症関係の個性的な書籍を多く出している「花風社」の浅見淳子氏。前述の奇妙な事件の被害者でもある。


さて、アマゾンの書評コーナーをのぞいてみると、賛否両論思い切りわかれている。
http://www.amazon.co.jp/product-reviews/4907725876/ref=dp_top_cm_cr_acr_txt?ie=UTF8&showViewpoints=1


これほど評価が分かれる本も少ないだろう。
差別的で偏見や誤解に満ちたものとする書評と重要な視点であるという書評が混在する。

果たしてどちらが適切な評価なのか…と、私はワクワクしながら読み進んだ。


そして…読んでみて


極論はひとつも出てこなかった。

専門書ではないからデータに頼った書き方はしていない。
しかし論の進め方は極めて丁寧である。

取り立てて偏見を煽るような部分も見当たらない。

(自閉症者の奇妙な犯罪が近年目立つということは述べているが
自閉症者の犯罪率が高いなどとはタダの一言も書かれていない)

むしろ「偏見」が生じていく過程を分析した部分が興味深いし、自閉症者を社会の中で責任をもって生きていける存在として見ているところが好感が持てる。

この本のミソは自閉症児者が持ちがちな「誤信念」というものが時として「迷惑」や「触法リスク」となってしまう現象を実例をもってつぶさに解き明かしたことだろう。

自閉症者の触法リスクは定型者の触法リスクとは異質であるということがよくわかる。


ただこの本は反発する人が少なくないだろうとも思う。


理由は2つ。

・現在主流の支援団体等のやり方への批判が含まれること。
・自閉症者を責任のとれる存在と位置づけたこと。


親御さんにしてみれば、現在主流の支援団体のやり方を信奉している時には対峙する必要のなかった「我が子の迷惑リスク、触法リスクの低減」という課題がつきつけられる。つまり「社会の理解を!」と叫んでいるだけでは済まなくなるということである。

当事者にしても「誤信念」をもっていないかのセルフチェックという課題が出てくるし、様々な面で責任をとることを求められる。「社会の理解がないから悪い」という言い訳は通用しなくなる。


裏を返せばこの本は親なり当事者なりの「甘え」をいぶりだす踏み絵になるといった側面がある。
(ついでに言うなら、言葉尻に反応して感情に流された読み方をする人もいぶり出されると思う)


社会と折り合いをつけてやっていこう(そういう風に育てよう)としている人にとっては有用性が高い本だ。遵法教育だけでなく社会適応のためにも「誤信念・誤学習の防止」という視点は欠かせない、そういった視点を提供してくれる本だと思う。


多方面から反発が出るであろう問題にあえて切り込み、書籍化した著者の勇気に敬意を表したい。

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第33回アスパラガスの会、参加登録開始のお知らせ

第33回アスパラガスの会(広汎性発達障害者のための自助会)参加登録開始のお知らせです。


日時:2013/4/27(土)14:00~15:45
場所:大阪府柏原市内某所
   (JR大和路線、近鉄道明寺線柏原駅から数分)

定員:30名

テーマ:コミュニケーションスキルをどう上げるか?

参加登録期間 ~2013/4/14


参加登録はこちらからお願いします。
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携帯版エントリーフォームはこちらから 

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ETV特集のASDに関する番組(2013/03/03)について

昨日の22:00からのETV特集。いい番組だった。


見逃した方は是非再放送を!と言ってしまいたくなる番組はそう多くない。
が、今回は是非に!とおすすめしちゃう。

あ、再放送は2013年3月10日(日)午前0時50分 ※土曜日深夜


これまでのASD関係の番組といえば、特性づらづら挙げて「理解が必要」だけで終わりというのが定番だったけど、昨日の番組はそれとはちょっと一線を画す構成。


実際にASD者児の多くが苦しむトラウマの問題に正面から切り込んだ構成になっている。


幼い子から大人まで、特性としてトラウマの蓄積によってフラッシュバックを起こしやすいことと、フラッシュバック現象が二次的なものであり治療可能であることがとてもわかりやすく伝えられていたと思う。


これはとっても画期的。


二次障害の鬱等に悩む当事者は多いが、これといった決め手もなく、薬を飲み続けている当事者は少なくない…、いやはっきり言おう、多い!
そんな多くの成人当事者に希望を与えたと思う。


EMDR(眼球運動をベースにしたトラウマ治療)が出てきたのにはちょっとびっくり。

NHKにしては思い切ったことをやったなあと思う。なにせいまの段階ではまだまだ賛否両論のある治療法である。あそこまで大きく取り上げるまでには制作の舞台裏でかなりの激論が交わされたのでは?などと要らぬ心配をしたくなるくらいだ。


参考までにEMDR学会のHPはこっち、治療者リストもある↓
http://www.emdr.jp/


ちょっと脇にそれるが、私はごく個人的な理由でEMDRは効果があるのでは?と踏んでいる。

EMDRは左右方向の眼球運動をはじめ、左右交互の刺激をベースに脳に直接アプローチする治療法でトラウマ解消、フラッシュバック解消に有効とされる。

ところで、私は小学生時代かなりのいじめをうけて育ったが、それでフラッシュバックを起こしたことはない、主治医も不思議がるくらいだ。そのことに小学校時代受けていた視能訓練が関係する可能性は否定できないと思うのだ。そしてその訓練の中に「左右交互の視覚刺激」が多量に含まれていたのだ。

というわけでEMDRという治療法を知った時、「これ、目の訓練でやったのと似てるな~」という感触をもったと同時に、「もしかしたら私ってラッキーだったかも」と思ったわけだ。



話をもとに戻そう。


「トラウマによって引き起こされることに対しても手の打ちようはいろいろある!」

ということと、

それに日々取り組んでいる医療者がいるということが明らかにされたのはとても心強いことである。


途中の男性成人当事者の話と、後半の超早期療育の話が全体のつながりの上で多少のぎこちなさがあったような気はするが、そのあたりはまあご愛嬌の範囲だろう。


なにはともあれ、今後の展開に期待がもてるいい番組だった。


<おまけ-NHK担当者様へ->

次はぜひASD児者のもちがちな「誤信念」の形成過程とその解消あたりに焦点を当てて欲しいなあ。いじめや虐待原因でない、「行き違い」によるトラウマの発生が減ればだいぶ適応が違ってくる人も多いと思うんだよね。

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