漢字の書き取りと身体感覚と発達障害

母を悩ませる発達障害児の漢字学習



発達障害児を持つお母さん達の声を聞いていると、結構漢字学習に関する悩みをよく耳にする。

漢字がなかなか覚えられないとか手先が不器用なのか字がのたうち回る…とかまあそういった類いの話だが、そういったことに身体感覚というものが結構関わっているのではないか?という疑念を前々から持っていた。

私自身はさほど苦労した部分ではないので「なんでなんだろ?」とは思いながらも放置していた問題だが、こないだふと昔の友人とネット上で話していて、その昔に考えた漢字の学習メカニズムに関するある仮説があったことを思い出した。

20年ほど前、まだ狸穴猫が塾業界と関わりがあった頃、当時パソコンが普及し始めた頃だったか、仕事でデジタル画像をいじる羽目になって「画像の形式」なんてものに出くわし、なんじゃこりゃ?といろいろ情報を漁りながらふと考えたものだ。


漢字を学習するステップをデジタル画像の形式から考えてみる




前もって用語解説しておくと、デジタル画像の形式は大きく分けて2種類あって、
 点の集合として扱うのがラスタ型の画像データ(JPEGとかGIFとか)
 方向をもった線分、曲線として扱うのがベクタ(ベクトル)型の画像データ(EPSとかWMFとか)
である。


漢字を学習する時のステップはこうなんじゃないか?

 初めラスタ型データとして学習。
      (ラスタ型データは大きいために記憶しにくい)
        
 漢字の書き取り練習で手を動かしてベクタ型データに変換して記憶。
      (ベクタ型データは小さいので記憶しやすく、かつ再現しやすい)


「漢字を読めるけど書けない」という場合、解像度の低いラスターデータで記憶を保持していてベクタ化が十分にできてないということなんじゃないのだろうか?

そして、書き順というのは書きやすさの問題もあるだろうが、書き順を固定することでラスターデータを効率よくベクタ化しているのではないだろうか?


とまあそんな事を考えていた。


もし身体の芯がふにゃふにゃだったら?




さて、ここからが最近考えたことの話。


「自閉症児の身体面の問題」というのは結構大きい、粗大運動の問題、微細運動の問題など…まあ不器用なことが多いといった話であるが、このあたり、大阪市内でスポーツ塾のデイサービスをやっている森嶋勉氏も「身体の芯ができているのが重要」と言う。

そこらあたりはこの本に詳しい↓
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私も姿勢の重要性は私も前から感じてはいた。


ところで、身体の芯が曖昧だったりしたらどうなるだろう?

書道で姿勢がグニャグニャしていたらまず書きにくいだろう。
それはなぜだ?


ここで昔の仮説とつながった!


体幹をしっかりさせれば座標と原点がしっかりする。



ラスターデータをベクタデータに変換するためには「座標平面」と「原点」が必要だ。
そして人間において姿勢をしっかりさせるということは「使用する座標平面」と「原点」をはっきりさせるということに他ならない。

身体の芯があいまいな状態(体幹がしっかりしていない状態)だと、当然座標平面も原点も揺れ動いてしまうので
効率よく学習(ベクタデータへの変換)ができないということになりそうである。

再現するとき(つまり書くとき)も座標平面と原点が安定していることは必要だ。
となれば身体の芯(体幹)がしっかりしているかどうかということは当然書字にも影響が及ぶだろう。


実際に書くには記憶に加えて身体の感覚をうまくとらえて筆圧や筆の進む方向のコントロールをしたりだとかいう部分も加わるが、これらもやはりベクタデータに近いものだけに身体の芯(つまり内なる原点)がしっかりしていないと学習は難しい。


まあ、書字や読字の問題は1つの原因だけではないとは思うが、不器用さ全般を抱える発達障害児の場合、身体をしっかりさせること、が書字をはじめとした学習の問題の改善につながる可能性は少なくないだろう。


体幹をしっかりさせるとは内なる座標軸と原点を確立するということなのかもしれない。

やはりまずは身体が基本、そう1人納得する秋の夜長なのであった。



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人の気持ちがわかるまで-ジュースをこぼした時の自閉症スペクトラム児の心境と誤学習-


なぜ自閉症スペクトラム(ASD)児はお母さんの気持ちに応えないのか?



前回の記事「発達障害児のお母さんたちの怒りと嘆きを考えてみる」に対していただいたあざこさんのコメントを読んで私はふと考えた。

確かに定型発達のお母さんではしばしば「気持ちの呼応」を期待するようだ。
まあ、だからこそいらつく、悲しくなる、やるせない気分になるなどがおこってくるのだろう。


気持ちへの呼応とか配慮、それは別段ASD児に無理なことだとは私は思っていない。

トラブル時のASD児は基本パニック寸前




ただ、いきなりは無理なのが自閉ちゃんが自閉ちゃんたる所以である。
ちょっとメカニズムを考えてみる。

さて、お母さんの前で子供ジュースをこぼしたという状況を考えてみる。

定型発達児の場合、まずお母さんの顔を見て、「がっかりしてそうな表情」「怒っていそうな表情」などを見てとり、そこにまず反応する。

基本、自動的にお母さんの波だった感情を慰撫するのに適した表情になるし、お母さんの表情が「あやまる」「片付ける」等のその後の行動の動機となっていく。

だが、これがASD児だとこういう流れでことは運ばない。

まずジュースがこぼれてしまったことに対して「驚く」
自分がやったにせよ、ジュースがこぼれることは想定外なのだ。
想定外のことにビビるのはASD児の一八番である。

そしてそこで行動が止まる。

内心けっこうショックにまみれている。

「こぼれてなくなってしまった→飲めなくなっっちゃった!」
「どうしたらいい?」

想定していた行動ができなくなってしまったことにショックを受けるのだ。
そしてその後の行動を考え、切りかえなくてはいけないので焦る。

「おかあさんの表情」に注目する余裕はとてもじゃないがなくなっている。
となると「お母さんの表情」から得られる「行動指針」という情報は当然利用できないということにもなる。


(適切な行動を学ぶまでに時間がかかるのはこのため)


この時点で幼いASD児にはかなり負荷の高い状況なのだ。

ここでお母さんが「なんで謝らないの」と怒ろうものなら、焦りから制御がききにくくなったASD児の脳みそは

「謝るってなんで?」ということを考え始めてしまうし、
「何に対して謝るのか?」を考えはじめるてしまいいつの間にか負荷が倍増。

「お母さん怒ってる、どうしよう」も当然考えるが表情情報が使えないので判断エラーを起こす。
負荷の倍増したなかで「どうしたら」も考え続けるがこれもまた失敗しやすい。

「なんで固まってるの?なにか言いなさい」

とでも言ったら

「何か言えって何いえばいいの?」
とか
「いや、固まってるわけじゃなくて困ってて考えてるだけなんだけど」なんてのも頭に浮かんでくる。

(もちろんこのときも行動は凍ったまま)

かくして負荷が増えていって、負荷が許容量の限界超えると処理不能になって場合によってはパニックに移行。


とまあこんな具合なんですね。
感情に対する呼応を求められても、その求めそのものが認知できず、へたするとあさっての思考に入り込むのでどんどん周りはイライラするというメカニズムです。

行動学習の動機からASD児の行動を考える



さて、ここで「トラブル後ににどうするか」?といった点に絞って比較すると

★定型児の場合
感情への呼応が行動の動機や行動指針の獲得につながる。

★ASD児の場合
行動の動機は基本自身の困り感や合理性への希求、また行動指針が他者から獲得できないので行動指針も自分の思考で作り上げるしかない。

といったことになるでしょう。


ざくっとまとめてしまうと

トラブル時に親の発する感情表現に対し、定型児はそれを情報として利用できるので児にとっての負荷は下がるが、ASD児では気づくことが難しい上に気づいても負荷を高くなる可能性が生じる。

といったところでしょう。
年齢が低いうちは特にその傾向が強くなると思います。

子供を育てるにあたって、親御さんの側の発する感情表現は多くの場合(要するに子が定型児の場合)子の行動学習上のメリットになるのですから、その自然な発露は生き物として当然という面もあります。

ただ、相手である子供が同様の性質を持っていない場合は負荷をあげてしまうので行動学習を阻害する要因になりかねないということも確かでしょう。


ですから感情への呼応、対応といったものをASD児が学ぶのには別の戦略が必要です。


ジュースをこぼした時、

「ぞうきんを渡し」→「適切に後始末すればいいことを教える」


といった流れが終了した時に


「次からはこう気をつけたらいいかもね」


と今後の指針を提示し、その後に


「ママもちょっとビックリしちゃったよ」
「せっかく買ってきたのに残念」


と語ってあげて欲しいんですね。
そういう流れなら、「焦らなくてもちゃんと対処すればいい」を学んだ後にしっかり「お母さんの感情も動く」

といったことが学べます。


「焦らなくてもいい」を学べたら、結構ASD児もいろんなことに気がつけるようになりますし、他人の気持ちに気づいたり、配慮したりといったこともそこそこできるようになります。

ASD児の定型児の場合と動機の形成部分や社会的情報収集能力に違いがあるので学ぶ順序が逆にならざるを得ないんですね。



もしお母さんが感情への呼応、対応、配慮などを我が子に学習させたいのなら(生きていく上である程度必要だとは思います)、

「焦らないことを教える」→「感情の存在を教える」という順番で教えていくことがASD児の行動制御力及び感情対応力を伸ばす近道だと私は考えます。


焦らない→他者から学べる→他者の感情に気がつく→他者への配慮を学ぶ
という経験を重ねることでASD児も着実に成長します。



ちなみに、逆にありがちだけどわりと危険なのパターンは以下のようなものでしょう。

「そんなところに置くのが悪い」「これが悪い」を言い立てると、”なにか気に染まぬことがあったときにはやった人の悪いところを列挙して怒ればいい”という誤学習の元になりかねないです。

かといって「あんたはあっち行ってなさい、お母さんが片付けとくから」で済ませると、「自分は判断・行動しなくていい」という誤学習の元になりかねません。後年自分で判断して動くことができなくなるということにつながるでしょう。

表情や視線を読むのが苦手なため、「親の行動パターンだけしっかり見ている」ということがこういった誤学習の原因になるのかと思います。


お母さんの気持ちへの反応が乏しいと、定型発達のお母さんは内心複雑だとは思います。

この子いったいどうなっちゃんだろう?
一生このままの親子関係?

等々

でもそれは、気持ちのやりとりをお子さんが理解するようになるまでのしばらくの間のことです。
順序が違うので定型のお子さんよりちょっと時間がかかりますがそこはご理解を!

といったところで今日はこのへんで。



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★今回の記事でとりあげたような危ない誤学習の発見と防止の詳しいお話もさせていただきます。


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ユニークな本が出たので速報 → アスペルガー症候群の難題/井出草平著

すでにあっちこっちで話題になっているので目にした人も多いかもしれない。
そしてまじめな方はこの本を「ユニーク」と言ってしまうとそれだけで反発を感じるかもしれない。


アスペルガー症候群の難題 (光文社新書)

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著者の井出草平氏は大阪大学の社会学の研究者で「引きこもり」の問題や社会的逸脱のについて取り組まれている方で、2010年からは「NPO法人発達障害をもつ大人の会」の監事もされている方なので、発達障害者のリアルもある程度ご存じの方と推察される。


この本はアスペルガー症候群と犯罪をどう見るかといった本である。
ほとんどタブー化されていた犯罪の話がここにきて表に出てきたかとまあ、ちょっとびっくりするとともに、井出氏の著作であることが実は結構びっくりであった。

まあ、案の定、ネット上でもリアルでも当事者の評判はあまりかんばしくないし、発達障害児の親御さんにもかなり神経質な反応をする人もいるようだ。

「自分or我が子に犯罪予備軍というレッテルを貼る不届きな本」
という主張だったり、
「こういった本による犯罪との関連づけによって社会に偏見が生じて暮らしにくくなる」

といったものが多いようだが、正直私にはなぜそういう主張になるのかよくわからない。

この本では適応状態の悪さが講じて犯罪に結びついた例がいくつか挙がっているが、そのケース分析については特に強引な論理展開もないし、「犯罪に至る前にうまいサポートがあったらなあ…」程度のごくごく控えめな態度である。

ともあれ、いままでは、発達障害児の子育てや支援教育のあり方について「触法行為を起こさせないために」といった視点が必要だろうという視点の本がでることはなかったどころか、マスメディアでちょっと犯罪と障害の関係などを言及するだけで自閉症協会あたりが毎度速攻で「いわれなき差別や偏見を生じる」というような声明を出してきたことを考えれば、時代の移り変わりを感じさせる本だ。

(とはいえ、自閉症協会に関わる研究者も実は自閉症と犯罪についての研究もしていたようである。(リンク先参照)

いくら適応状態が悪くても高度なコミュニケーション能力を悪用したような確信犯的な詐欺をするアスペルガーは定型者に比べて少ないと思うし、集団での苛烈なイジメやオヤジ狩りのような集団悪のりエスカレート型犯罪も少ないだろう(調べてないのでこのあたりは想像の域を出ないが)。

そんな「なさそうな犯罪」が多いと喧伝するような本では決してないのでさほどの誇張があるとも思えない。

定型者にも犯罪の特徴はあるし発達障害者にも特徴がある。
それぞれの発達特性に応じて触法行為を抑制していく方策をとっていくほうが効率が良かろうと私は思うのだが、井出氏の主張もそのあたりは大筋似た感じである。

最終章で挙げられている対策はちょっと弱いかなというか尻すぼみ感を感じたが、まあ、そこらあたりは立場もあるのだろうかとか勝手に想像している。

まあ、何はともあれ毛嫌いしないで読んでみてもいいと思うので紹介。
なんでも自分に結びつける癖さえなければさほど抵抗のなく読める本ではないかと思う。



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第50回アスパラガスの会参加登録開始のお知らせ

皆様こんにちは。

土曜日の第49回アスパラガスの会も無事終了。
今回は狸穴猫のパソコンも新しいほうに環境が移行できたのでに無事名札を印刷することができました。

思わぬゲストの登場に驚かれた方もいたかも…ですがご容赦を。
このところ、どういうわけかゲストの登場がある回が多いような気がしますね~。


さて、次回のアスパラガスの会のご案内です。
アスパラガスの会は12月は皆さん多忙のはず?ということで例年お休みです、このため次回第50回が本年最終回となりますのでふるってご参加くださいませ。


★第50回アスパラガスの会開催概要

とき:2014年月11月22日(土) 午後2時~午後3時45分

ところ:JR大和路線・近鉄道明寺線 柏原駅徒歩数分の公共施設

参加費:100円(通信費・資料代等)

申込期間 2014年10月27日(月)~2014年月11月10日(月)

テーマ:マルチタスクな要求、どうこなす?どうかわす?

定員:25名(先着順)


マルチタスクと言えばASD者の敵?とも言われます。
狸穴猫も超苦手です。
さて、マルチタスクな作業がなぜ苦手なのか?そして本当にこれはどうにもならないのか?
こなし方のコツもあるかもしれません。さらに場合によっては回避も手かもしれません。
体のいいかわし方というのもあるかもです。
そういったことを皆様とお話できたらなと思います。


今回参加登録期間がかなり短いですので参加を考えられている方はお早めに!

※、9月の会に参加された方で身体感覚アンケートにご協力いただいた方のうち結果のフィードバックをご希望の方は、第49回の集い終了後にお渡しすることになりますので参加登録をお忘れなきようお願いします。


参加登録はこちら↓からお願いします。

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携帯用エントリーフォームはこちらから 


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発達障害児のお母さんたちの怒りと嘆きを考えてみる-腹の立たない子育て-

発達障害児の子育てと怒り

発達障害児を育てていると何かと苦労が絶えないと言う話はよく聞く。

よく聞くのだが私に実感はない。なぜなら子供の行動に対してほぼ怒りを感じないからだ。

しかしうちの子供も2人とも間違いなく自閉症スペクトラムである。
小さいときからいろいろやらかすことは絶えないわけで、そこにさしたる違いを感じない。

しっかりうちの子2人もやらかしている。">やらかすたびに対処するのはよそのご家庭と全く変わらないのである。

ただ、あまり対処に困らないので怒りも発生しないだけだ。

褒めて育てろと言われても…

子供が何かやらかすのは当たり前の話だが、発達障害児の場合、回数がハンパないと言うだけじゃなく、お母さんたちにとって理解しがたい反応するので怒りがわきやすいのかなあと思う。

「何やってるの!」
「何でそんなことしたの!」
「だめでしょ~!!」
「そんなこと言わないの」

といういわゆるお母さんの定番の台詞が引き出す自閉っ子の反応は横っちょにそれることが確実なのでお母さんたちの怒りにつながりやすいのだろうと思う。

何かまずいことをしているのに対し、「何やってるの!」と言ったら「○○してるの」と平然と答えられたとしたら…

「そういうことを聞いてるんじゃないでしょ」といいたくなって当然といえば当然である。

ある意味こういう仕方のない反応がほとんどなのではないだろうか?

だが育児書も自閉症の本もこぞって「自己肯定感を育てるために褒めて育てろ」のオンパレードである。

あれこれ怒ってしまいがちなお母さんがこの「褒めて育てろ」と現実の板挟み状態になるのは容易に想像がつく。

子供に二次障害になってほしいと思う親なんていないわけで、困ったあげく叱れなくなってしまい、子供の要求を何でものむようになってしまうということだって起こりうるし、コミュニケーションがとりにくくなってしまうことも往々にしてある話だ。

だが自閉症児には伝わらない

1つ例をあげて話を進めるが、「何やってるの?」が「制止」の意味があるなんてことは年端のいかぬ自閉症児にはまず伝わらない(年いってても伝わりにくいことも多い)。

そして真顔に質問に答えてさらに「そんなこと聞いてるんじゃないでしょ」とさらにしかられる。

このパターンが常習化すれば、自閉症児の理解は「何やってるの」=「非難」=「怖いor不快」になるだけである。

メカニズムは簡単だ。「質問された」以上の意味がピンとこないだけである。たとえ親の顔であろうと表情なんて見てもよくわからないし、シチュエーションを読むほどの余力は自閉っ子にはない。

さてどうすれば双方のストレスを軽減できるのか?そこが問題だ。

叱る必要のあるときにちゃんと叱れるためにもここが重要になってくる。

伝わないことを前提として話すということ

さて私は実は冒頭にあげた定番の台詞をほとんど使わない。

なぜか?それは単に自分が言われたらあわ食うからである。そして代替手段を持っているので困らないからでもある。

とりあえず単純な例でいくと、幼児がジュースをコップに注ごうとしてこぼした時どうするか。

「焦らないで手をとめる」

「まずボトルを置いて」

「ぞうきんどこかな」

「拭こか」

とまあ、こんな流れになる。

小学生の子が「宿題したくなーい」と言い出した時は

「宿題、やりたくないのか」

「今日の宿題っていっぱいあるの?」

「どれがやりたくない宿題?」

とまあそこらからスタートするといろいろ話がでてくる。話を引きずり出したことろで「どうして宿題やりたくないと思い始めたの」といく。

子供が凍らないので適当に話が続くし特に怒りを発生させる要因も生じないという次第である。

初めからいろんなことが一発で伝わるとは思ってないのである。

危険防止、被害の拡大防止に目的を絞った指示さえ出せば、あとはコミュニケーションとりながらゆっくりやった方がお互いのストレスは少ないし、コミュニケーションとれるきっかけにもなるので、何かやらかしたことがそのうち糧になっていくだろう。

「何で!」を連発しないで済むための方策は「急ぐことをあきらめること」なのではないだろうか?

 

 

 

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「発達障害児の子育てTips講座+フェルデンクライスボディワークプチレッスン」

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「発達障害児の子育てTips講座+フェルデンクライスボディワークプチレッスン」のご案内【イベント】



イベントのご案内です。

「発達障害児の子育てTips講座+フェルデンクライスボディワークプチレッスン」と題しまして、2014年11月8日にスペシャルイベントを企画しました。発達障害児の親御さん向けのイベントです。

フェルデンクライスボディワークを紹介したいわけ



自閉症児者の適応改善に向けたアプローチとして、身体感覚や運動方面に関連するアプローチ(感覚統合療法、フェルデンクライスや操体法などのボディワーク等)は最近とても注目されているものですが、「え、そんなことで?」と思われる方も多いものかとも思います。


私もはじめは「うーん??」という部分がありました。ですがいろいろ勉強していくうちに、「もしや結構効くのでは…」と思いはじめ、じやあ実際にやってみようと操体法とフェルデンクライスボディワークにトライしてみたのですが、予想以上の体の変化を実感しました。

「ああ、私、疲れてたんだな~、緊張していたんだな~」という具合です。

子供のころからあちこち変だった身体をあれこれ矯正してきたからそれなりに何とかなってはいたけど、効率のよい活動ができるほどではなかったのでしょう。


もし子供のころからこうういった方面にアプローチできてたら…、各種ツールで感覚過敏対策をし、身体アプローチで運動機能改善ができていたら…、たぶんもっと楽できてたとも思います。


こういった身体アプローチについては親御さんの中には「どうなんだろうな~」と気になりつつも、いろんな方法がひしめく中で迷われている方も多いかと思います。

で、実は8月頭から企てていたのですが、まずは親御さんご自身が体験していただけるのが一番かと、そして日頃発達障害児の子育てで疲れている親御さんにとっておきのリラックス体験してもらえたらと思い、フェルデンクライスボディワークの指導者の安藤昌博さんに頼み込み、親御さん向けのプチレッスンをお願いできることになりました。

あわせて、今までブログでも自助会でもあまりお話してこなかった「自閉症児にありがちな誤学習」の問題について、その発生源と対処法についてこういった誤学習に親として対処してきた立場からお話させていただきます。


いくつか例を挙げますと
1..「ずるい~!」を脱出する方法
2.「話さなければならない」という大いなる誤解
3「みんな仲良く」の捉え方を見直す
4「正しい」へのこだわりへのアプローチ
などです。



===開催詳細====

日時:2014年11月8日土曜日 13:50~16:10
場所:クレオ大阪中央
参加対象:発達障害児の親御さん
参加費:2500円
定員:20名
お申し込みはこちら(Peatix)からどうぞ

※ごめんなさい託児はありません。
※Peatixの申し込みページでは終了時刻が16:09になってしまってますが16:10が正しい終了時刻です。
===========

皆様のお越しをお待ちしています。


<おまけ>

「どうしてもフェルデンクライスの感動をリアルで紹介したい」という気持ち先走り型の企画ですが、みなさまよろしゅう。
実は当ブログのリアル初企画なんですねえ。
いろんな方にお越しいただきやすいように交通の便優先で場所を確保しちゃいました。

今回は当事者向けのイベントはないのか?という声はあるのかなあ?
あったらまた考えます。


ではまた。




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3度目のフェルデンクライス + イベントの予告

3度目のフェルデンクライス

9月13日に3度目のフェルデンクライスボディワークに行ってきた。

間抜けに遅い記事になったが、理由はまあいろいろある。

9月半ばあたりは予定を詰め込みまくってほっつき歩いていたのだが、その後メインで使っているパソコンの不調という難儀な事態が発生、最低限の用事はノートパソコンでやっていたが、慣れないキーボードに四苦八苦するので意欲もダウン、そして9月25日以降はメールの送受信も難しい状態となり、新しいパソコンの購入からデータの復旧作業、そしてやっと昨日メールが復活したというわけだ。

そして、この記事はメール送受信態勢が整わないと困るといった情報を載せる予定があるだけに押せ押せになっていたのであった。
(メール送受信態勢が必要な理由はこの記事の最後のほうに載っている)

 

フェルデンクライスレッスンの実況

今回は初参加の友人の子の子守もかねて行ってきたので、ハーフ見学ハーフ参加という形であったがそれでもなかなか得るところは大きかった。

毎度おなじみの身体感覚のスキャニングといった、デフォルトの体の状態の確認からレッスンは始まる。立った状態で前後左右に体をほんの少しゆーっくり揺らすといった方法もやったのだが、これがなかなか意外な感触。簡単な動きなのにゆっくり丁寧にやるとなかなかスムースには動けない部分に気がつかされる。

フェルデンクライスボディワークの動きは全般的に非常にゆっくりとしたものばかりだが、こうすることによって、速い動きをするときには気がつかなかった動作の苦手な部分が感覚としてわかりやすくなるのだろう。

速い動きをするときにしっかりスムースでミスのない動きをするために、意識しにくい部分がスムースに動くことが必要だとすれば、これは理にかなったことかもしれない。

さて、メインはというと、フェルデンクライスボディワークの新しい流れというタイプのレッスンと古典的なタイプのレッスンの二本立て。前半は「あべこべ体操」というもので、体の動作と視線を逆転させるというものを中心としたものだ。この部分は子守に励んでいたので見学したが、そもそも私がフェルデンクライスボディワークを知ったきっかけがこの「あべこべ体操」で、その効果が非常に気に入ったのでいろいろ見られて楽しかった。

後半の古典レッスン部分にはほぼフル参加だったが、これもまた視線の移動を利用するといった感じの動き。据わった状態で上体をひねる動きをするのだが、腕の動きと視線の動きを使いながらその動作をしていく、はじめの時点で動かなかった部分がレッスンの最中にほぐれていくのが実感でき、だんだん可動範囲が広がっていく!!人間ってものは単にひねるといった動作だけにも非常にさまざまな筋肉や関節を使っているのだなあとちょっと感動。

しかし、ここで感動しちゃうということは、使えるはずのいろんな部位をそれまでうまく使えていなかったということでもある。あちこち凝った挙句に使えなくなったのか?それともそもそもその部位を使えるということを学習していなかったのかは定かではないが、とにかく体をフルに使う練習をしているのだということは間違いないだろう。

フェルデンクライスとデジタル耳せん

ここしばらく記事を読んでいてくれた方にはすでにご存知のことだが、先月から私は聴覚過敏対策のためにデジタル耳せんを使い始めた。

使い心地はきわめてよく、まあ、その辺はほかの記事にも書いた(こちらの記事→ デジタル耳せん(キングジム製)を買ったのでその感想 デジタル耳せん使用レポート第二弾)のでそちらを読んでいただけたらよいが、ちょっと不可思議な現象があったのだ。

というのはデジタル耳せんを利用しはじめて3日ほどたったころからか、妙に身体がフワフワした感じに見舞われ、どうも足元がおぼつかない感じがする。だが同時に足の裏が以前よりしっかり地に着いた感じもしていたので、デジタル耳せんのおかげで不要な聴覚刺激をカットしたことによってあちこちの緊張がほぐれ、その身体の変化に動作のコントロールがついていかないといった状況だったのではないかと考えた。そしてそのフワフワ感はなかなか抜けない…というか、9月13日のフェルデンクライスのレッスンの日までしっかり持ち越していた。

そして、もしかしたらフェルデンクライスのレッスンでそのコントロールが多少なりともマシになったらいいなあと若干の期待を持ちながらレッスンに望んだのだった。

結果は…、大ヒットである。

ハーフ参加の一回のレッスン以降、身体のフワフワ感とそれに伴う足元のおぼつかない感じはきれいさっぱりなくなった。半月以上たった今もまったく後戻りしていない。

やはり、「不要な緊張のせいでつかってなかった身体部位」の使い方が脳にインプットされたのだと解釈してよさそうだ。

いったいどれだけいらん緊張してたんだよ?>自分

 

ともあれ前回同様の「帰り道で歩くのが楽しい」というおまけももれなくついてきて、終了後一緒に参加した友人と難波で食べたご飯もことのほかおいしかった。

親御さんむけ関連イベントの予告

このところ、感覚面や身体アプローチ関連の記事が多かった。

春先から書いてていた視線関連の話も含めて超ザックリとまとめてしまうと、適応状態を良くするためには、

  1. 視聴覚をはじめとする感覚刺激による脳の負荷を少なくする
  2. 運動機能の土台をかためて楽にすごせる身体をつくる
  3. 身体感覚からくる世界観の問題や対人認知の問題からくる誤学習を防ぐ

というような方向性があるんじゃないかという結論に至ったわけだ。

2次障害の部分をのぞけばこういった方向性はそれなり…いや、かなり役に立ちそうである。

だが、2番目の身体アプローチの重要性については、体験してみないとわからない部分も大きい。

親御さんの立場にたてば、「本よんだだけで自己流でやるのはちょっと心配」とか「せめて体験してみられれば…」という気分になるのもわからないでもない。

さらに子育てに疲れがちな発達障害児の親御さんに、ご自分の身体をいたわる機会を持っていただけたらという思いもある。

そんなわけで、私がここ3回ほどお世話になったフェルデンクライス教室のプラクティショナーの安藤昌博さんにお願いして、親御さん向けの体験レッスンをしていただけることになった。

それにプラスして3番目の誤学習の予防と対処についてため込んでいた話をさせてもらうということでイベントをやってみよういう話である。

日時:2014年11月8日 13:50~16:10

場所:クレオ大阪中央
(大阪市内、天王寺駅から徒歩10分、地下鉄四天王寺前夕陽丘駅から徒歩3分)

参加対象:発達障害児の親御さん

参加費:2500円

2014年10月8日夕刻に受付開始予定、受付開始時に詳細とともに記事をまたアップします。

↑この受付態勢のためにメールのスムースな送受信環境が必要だったのでした。

 

 

 

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