
RDI「対人関係発達指導法」
この指導法の大前提は
「自閉症・アスペルガー症候群の人間も定型発達者と同様のステップを踏んで対人関係を発達させる」
つまり
「自閉症者・アスペルガー症候群者では対人関係に関して発達が遅いだけである。」という前提をおいているのである。
これは監修者後書きに明記されているので、この本を手に取った人は是非チェックして欲しい。
ところがだ!
この本のp120には自閉症者・アスペルガー症候群者には「対人関係に対する動機付けの障害」があると書かれている。
自閉症者では人に対する興味が優先されず、ものに対する興味が優先されてしまうので指導を行う際に動機(=モチベーション)の面で障壁となってくるというのだ。
モチベーションが低い…
それは脳の質的違いなのではないだろうか。
(もちろんこの際のモチベーションというのは「定型発達者的対人関係」に対するものだ!)
対人関係に関するモチベーションの低さがあるという時点で「発達が遅いだけ」という大前提は崩れるのではないだろうか。
この指導法の大いなる矛盾点だ。
現在、脳科学の発展に伴い、脳のPET画像などで定型発達者と自閉症者・アスペルガー症候群者では明らかに脳の活動部位が違うということがわかってきている。
それなのにRDIは自閉症者・アスペルガー症候群者の対人関係に関して、「単に発達が遅いだけ」という前提で開発されている。
私には脳科学を無視しているように思えてならない。
と、同時に自閉症者・アスペルガー症候群者には独特の人間関係があるように思うのだ。
我が家のような家中アスペルガー家庭ではそれなりのコミュニケーションが成立している。但しそれは定型発達者のそれでないだけのように思う。