みなさまこんにちは、狸穴猫です。
RDIについてまだ最後の稿を書いていないけど、今日はちょっと寄り道して昔の話を書きたくなりました。
私と親との軋轢の話です。
この手のネタでフラッシュバックが起こりそうな人は待避してください。
+++++
私の母は心配性だった。
小学校の頃、当時「いじめ」という言葉がなかったけど、確かに私は「いじめ」に遭っていた。
今思うに、私がアスペルガー的特性がいじめの標的になってしまっていたように思う。
それはともかく毎日泣いてかえる日々が続いた。
小4だった。
泣いて家にたどり着いた私を見て、母は
「なんであんたばっかりいじめられるのか?」
「あんたも悪いところがあるんじゃないか?」
「あんたが強情なんじゃないのか?」
そういっていつも泣いている私を前にオイオイ泣き始めた。
泣かれてしまうと、こっちは冷める。
涙が自然と引いてしまう。
「この人に何を言っても無駄だ、私を泣いて責めることはあっても、決して味方になってはくれない」
そう思うと悲しくなった。
そんな日々が続いたある日、学校の帰りがけに決意した。
「もうあの人(母のこと)の前で泣くまい、心配させるようなことは伝えるまい」と。
相談事はみなこっそり父にした。
父はいつも私の味方だったから。
それから28年ほど、私は母の前で本音を吐くことはなかった。
15年前、父が他界してからも変わらなかった。
母に何か聞かれても「大丈夫」とだけ応えるのが常になっていた。
しかし転機が訪れた。
元夫からのDVが酷く、離婚を決意した私は母にやっと窮状を伝えた。
しかし1人では伝えることができず、当時同僚だった今の夫が母を説得してくれた。
「何でもっと早く言わなかったの?」
母は昔と同じように涙を流しながらそういった。
私にはそれがものすごく腹が立った。
離婚からしばらくのあいだ。
何かのたびに残してきた息子の心配をする母の言動が私のカンにさわった。
私は母を責めた。
話は全て昔へ向いていった。
「心配心配って、私のことは心配しないくせに!」
「あの頃、わかってくれなかったじゃない!」
「いつも責めるばかりで味方になってはくれなかったじゃない!」
「だから私は何も言わなくなったのよ!」
いつも泣きながらそう訴えてしまう。
28年前の思いがフラッシュバックのようにこみ上げてきて母を責めてしまう。
頭ではわかっている。
別に悪い人じゃない。ただ心配性なだけだ。
私がどう思うかよりも自分の気持ちの方がこみ上げてきてしまう人なんだ。
2年ほど、それを幾たびか繰り返し、母も泣き、私も泣いた。
はき出すものをはき出し尽くしたのか、
私は徐々に落ち着いていった。
今になって思う。
責められる怖さから母と距離を置こうとしていた自分がいたのだった。
母のむき出しの「感情」に責められるのが怖かった。
それはアスペルガーゆえのことだったかも知れない。
幼かったからうまく伝えられなかった部分もあるかもしれない。
ずっと自分の思いを伝えるのが怖かった。
しかし私はずっと母にわかって欲しかったのだ。
母には私を責めているという意識はない。
それが辛かった。
私はやっと母に伝えられる言葉を少しだけ持つに至った。
もう母に隠し事はしなくてすむだろう。
ただそれでも時折こんなことを考えてしまう。
いじめがなければ、私と母の間にこんな軋轢は生じなかったのかもしれない。
もし当時アスペルガー症候群という私の障害がわかっていたら少しは違ったのかもしれない、と。
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