アスペルガー児の療育について考える(9)

  <アスペルガー児の療育について考える シリーズ>
  前回までの記事はこちら
  第1回 第2回 第3回 第4回 第5回
  第6回 第7回 第8回 



やっと眼鏡が出来てきた。これでイライラせずにパソコンに向かえる。
しかし、もうこのシリーズ大詰めに近づいてしまった。
それにしても、今回は長くなった。



<学童期の療育>


ちょっと戻るようだが、学童期の療育について考える。



で、いきなりであるがちょっと脱線する。


ここ数ヶ月、実は某病院のグループワークに参加しているが、大体どの回もオブザーバーと称して保健所やら何やらの職員が同席している。

要はアスペルガー症候群者というものの実態を見に来ているわけだから、これがどういうことかと言えば、とりもなおさず、発達障害に関する世間の認知はまだまだであるということの表れである。

学校関係者についてもほぼ同様なことが言えるだろう。

特別支援教育の枠組みができたところで、現場の教師のアスペルガー症候群に関する知識が急激に増えるわけもなく、なにやらアスペルガーという「怪しい」存在を受け入れなくてはならないという負担の方が大きくのしかかっているような状態だろう。


実際、教師向けのアスペルガー症候群に関する本もまだまだ少ないし、娘の保育所の先生などでも結構誤解していることが多いのだから(大いなる誤解の記事はこちら)、学校とて同じであることはほぼ間違いないだろう。


運良く相当勉強家の教師にでも当たらない限り、それなりに親の側からのアプローチが必要だということだろう。




さて、のっけから脱線してしまったが、学童期の療育に話を戻す。



学童期の療育の大きな目標は、なんと言っても「6年間学校に通う」ことだろう。



ではどういった点で問題が起こることが予測されるかというと、


1つは二つ前の記事で書いた学習面、これはもう既に書いたので本稿では触れない。
もう一つは、周囲の子供達といかにうまくやっていくかである。
これはもっとぶっちゃけて言ってしまえば「いじめの防止」である。


とにかくこの年代、アスペルガー児はいじめのターゲットになりやすい。


深刻なPTSDや対人不信の原因となるケースも多々あるので、この問題はとても重要だ。


かくいう私もン十年前、かなりひどいいじめにあっている。
小学校2年生から6年生まで間断なくつづくいじめに相当参った。
結果、一度は自殺未遂などというものをしてしまった。(その後生への執着が強くなったので一度でやめましたけどね、それにしてもいじめ自殺第1号にならなくてよかった)

ついでに息子については診断が下っていなかったけれど、いじめのターゲットになりやすそうだということは自分の例からわかっていたので、相当気をつけてはいたが、やはり多少のいじめにはあってしまった。これに関しては、もっと介入すればよかったと結構後悔…。


さて、アスペルガーに対する認知が広まれば、いじめはなくなるかというと、そこは子供同士のこと、あまり期待はできないだろう。違和感のあるものを排除しようとすることは十分あり得るし、定型の子供にとってはアスペ児の素のままの行動に腹が立つことも多いはずだ。


そこで療育の登場となるわけだが、定型の子供達とうまくやっていくためのソーシャルスキルをつけてやることが必要になってくる。


だが気をつけなければならないのは、完璧はあり得ないということ。そして、ソーシャルスキルを身につけるという負担が生じるということである。


ごく自然に振る舞って、たいして問題を起こさない定型発達児と比較すれば明かであるが、過度のソーシャルスキルの「療育」は子供にとって負担ともなりやすいだろう。「周囲との違い」をなぜそんなにも意識させなければならないのかという理不尽さもある。


「周囲とうまくいく」だけを目標にすれば、そういったところへの配慮がどうしても薄くなってしまうだろう。


私の小学生時代を振り返って考えると、当時ソーシャルスキルをたたき込まれたとしたら、たぶん、「なぜ私だけ!」という感覚をもったと思う。


コミュニケーション欲求がさして高くない場合、本人はスキルを必要としていないというケースも多々あるだろう。そこに強引にトレーニングをすれば、当然反発も強くなる。」

幼児期からみれば安定してくるのではあるが、小学生はまだ子供である。
小学生にどれだけのソーシャルを教え込むのが適当なのかは悩むところだ。


ソーシャルスキルについてはアスペルガー児の負担にならない程度の「そこそこ」を目標にもってきて、あとは早期介入でいじめなどの重大な被害を防止するといった方が得策かもしれない。


さて、不運にもいじめにあってしまったらという点について一応触れておく。


親御さんに絶対やめて欲しい態度は

「あなたが悪いのでは」と非難すること
「なんでうちの子だけいじめられるの」…と、くよくよ泣くこと

なんの効果もなく、療育的でないことこの上ない。
子供はかえって居場所をなくしてしまうことになる。


(実は私の母がやってくれた…)


やれることは、できるだけ早期に介入し、教師と連携していじめの芽を摘んで回ること。場合によっては学校にたいして強硬な態度をとることも辞してはならないだろう。


(実は父がこの手合い…強硬なクチ…だったので私は助かった…)


である。



ともあれ、いじめの問題に学習の問題と、アスペ児の小学校時代はなかなか多難なものである。


幼児期の派手な不適応行動がある程度おさまるので、どうしても親も気がゆるんでしまいがちな時期だが、学校などへの交渉なども含めて療育はまだまだ必要…というより、幼児期以上に注意して療育する必要がある時期だと言えるだろう。



<おまけ>


…と、結論までもってきたところで、話をもう一度蒸し返す。

アメリカなどでは学校に通うことをせず、ホームスクーリングで学習するという選択肢もあるようだ。

いじめなどの問題などからとりわけリスクの多い年代である。学校という選択肢をとらないことによって無理なSSTを強いたりせず、学習に専念できるのなら、それもまた1つの選択肢として用意しておいた方がいいのかもしれない。

もっとも難しい同世代間のソーシャルスキルは後で…という方が、子供にとっては負担が少ないようにも思う。


<おまけのおまけ>


できれば私は学校に行きたくなかった。

いじめしか待つもののない小学校へ通わねばならなかった意味はいまだに見いだせていない。(そりゃ、ま、おかげさまで定型発達者の心理・行動パターンには詳しくなりましたが、払った対価が高すぎたわ~)


<つづく>






にほんブログ村 メンタルヘルスブログ 発達障害・自閉症へ
にほんブログ村 発達障害・自閉症

↑ブログランキング参加してます。↑

読んでいただいてうれしいです。
で…
ちょっとボチッとしていっていただけると…
もっとうれしいです、はい。


関連記事

このエントリーをはてなブックマークに追加

にほんブログ村 トラコミュ それぞれの*発達障害と共に*へ それぞれの*発達障害と共に*
にほんブログ村 トラコミュ 発達障害児を育てていますへ 発達障害児を育てています

 


コメント

全くです
私の学校ライフは幼稚園登校拒否と脱走から始まりましたが、何でもみんなといっしょに、同じことをする、という拷問?の連続。小学5、6 年では主婦化(グループ行動、お互いの監視、裏表の差し替え等)するクラスメートについていけず孤立。イジメを避ける方法があるなら、大人が助けなきゃと思います。 
むずかしいですね。
小3の息子は社会見学の時に休みたいと言うので、休ませましたが、行きたくないをしょっちゅう言います。みんなで、班で、考えて発表がいやなんでしょうね、転校して、1ヶ月たちますが、前の学校の時は発表は楽しそうでしたけど・・・わからないが、拍車をかけているんですかね?
勉強させてもらっています!
はじめまして。
うちの小学2年生の娘は自閉症です。色々勉強させてもらっています。これからも時々お邪魔させてくださいね!!宜しくお願いします。
RE:全くです
「主婦化」ですか、なんか言い得て妙というか…主婦の人におこられそうだけど。とにかく女子のグループは怖いですね。
RE:むずかしいですね。
「みんなで」とか「班行動」も確かにアスペっ子は苦手ですよね。転校も環境が思いきり変わるから大変なんでしょうね。
RE:勉強させてもらっています!
ゆずままさん、いらっしゃいませ。こちらこそよろしく。
気圧のせいかもしれないがダークな想像が・・・
 純粋asな御人で、いじめぬかれた経験のある人が、、万一マイナス方向へ意識を向けたまま頑張って、上層部まで上って信号を出すと、・・・って考えてしまう(自分経験ではそこまでマイナス的に頑張れなかっただけ?)
そんな悪循環が? なのかもと。弱くてやられてきた者がより弱いものへと向かいやすくなる愚(結果ここが最大の穴になるんだろうな)

そう考えた場合の学校・・・やはり、asにとってはいっそう過ごしにくく思える場所だ・・・・・・
場の主が、その愚を問う姿勢を持ってるのかどうなのか、いじめられた経験のない、あってもそこで問い返せない、教える時どの教師もそこが非常にくさりやすい、、、
 譲らなさ抜群なる非定型の方々ならここの答えをおそらく自問されてると思う。。

狸穴猫さんのお父様の存在、じーんときました!


ハーブの温室さんへ
気圧のせいでしょう。
河内も天気悪いです。今日なんかヒョウがふりました。

確かに父親の存在はでかかったですね。おかげで自己評価が低くなる事がなかったと思います。
勉強になります
はじめまして、現在小学校一年生のASの娘の母です。入学して3ヶ月程で二次障碍になり、現在は落ち着いて学校に通学していますが、今後の為にも、どういう視点で娘を支えるのがよいのか考える為に、とても参考になりました。
娘は、激しく友達を求める奇異積極型です。私は、人間は産まれて死ぬまでひとりだと思うし、あわせる事で疲労してしまうよりは一人がいいと思うほうなのですが、娘は違うタイプなので、どう支えればいいか苦慮しています。
なんとか切り抜けられるスキルを身につけて、切り抜けて大人になれば、いろんな選択肢もあるし、楽になれると思うので。
この過度に普通を要求される時期をどうクリアさせるかいろいろと考えているところです。

コメントの投稿

非公開コメント


ブログ内検索


サイトマップ(全記事一覧)はこちら

アスパラガスの会のお知らせ

成人ASD(自閉症スペクトラム障害)者のための自助会:アスパラガスの会 ご案内

アスパラガスの会は、大阪南部を拠点に活動する成人自閉症スペクトラム障害者の自助会です。1ヶ月に1回の集いを中心に活動しています。アスパラガスの会ホームページはこちら

第75回アスパラガスの会は2017年4月22日(土)開催です。
テーマ:私のこだわりポイント 対人関係の困りごとを思考・行動から考える(自閉症スペクトラム者の「あるある」な困りごとシリーズその1) 参加登録受付中 2017年4月10日迄

アスペルガーライフblogの発達障害関連動画

発達障害の常識とやらにツッコミをいれてみる !

発達障害に関するよく言われるセリフってなんか変!

自閉症(ASD)児者の聴こえ方を疑似体験!

自閉症児者の聴こえ方を定型発達の方に疑似体験していただける動画を作ってみました。

この動画に関する詳しい説明はこちらの記事をどうぞ。

うわ!狸穴猫が本に登場してしまった
かなしろにゃんこ。さんの新刊に狸穴猫が登場します。
閲覧ありがとうございます。
にほんブログ村メンタルヘルスブログ 発達障害・自閉症へ
にほんブログ村
発達障害・自閉症
←ランキング参加してます。応援の1クリックをよろしく!

別館 自閉症スペクトラム情報館はこちら

スポンサード リンク
ソーシャルメディア
便利ツール(別館)
狸穴猫のおすすめ
管理人からのお願い

記事に関係ないコメント・個人的な相談にはお返事できない場合があります。あらかじめご了承下さい。
また、できるだけ個人的な相談はご遠慮下さい。

狸穴猫のおすすめ(その2)
RSSフィード

 

こんなページが読まれています