定型発達者にとっての「察してもらうこと」の重要性

久々の定型発達者研究。
今日のは「配偶者がアスペルガー問題」も若干含むのでどちらのカテゴリーに入れようか、ちょとまよったのだが…というような枝葉の話しはさておいて、本題に入ろう。



夫に障害(病気ではない)があったから離婚したいとか鬱になった(なりそう)とか言うのは、アスペルガー症候群くらいのものではないだろうか?と、私はしばしば考える。


ま、その手の話しを読みたい方は下記をどうぞ
http://okwave.jp/qa3951330.html
http://www4.rocketbbs.com/241/bbs.cgi?id=hime(配偶者の会井戸端掲示板)


で、上記のうち下の方の掲示板にて、おもしろい議論があった。


「自分が病気になったときどうしますか」No.1964



まあ、夫がアスペルガーで特に困るという場面なのだろうが、私が着目したのは、夫側の家事・育児能力のなさや、気のつかなさではなく(もちろんそれはそれなりにかなり大変そうだが)、妻側の心理である。


夫が「察して色々やってくれないこと」に関して、

 情けなくなる。
 惨めになる。
 大事にされていないと思う。
 寂しい。
 (病気の時くらい)同情されたい


等々の気持ちが見え隠れするということだ。
(って、書いてあるから見えてるのだが)


色々の論理だてはちょっと省略して、やや、直感的に総合するに、


定型発達者は多かれ少なかれ、

「(気持ちを)察してくれること」
「(事情を)察して色々相手が動いてくれること」に対して、

「自分の相手にとっての重要性」を感じる、すなわち、


「尊重されている」


と感じるものであるようだ。


すなわち、

「察してもらうこと」は、定型発達者の自尊心の維持にプラスに働く

ということだろう。


逆に察してもらうことが少なければ自尊心の維持機能に問題を生じてくる。


と、どうやら定型発達者にはそういった性質があるのだと考える。


極端な言い方ををしてしまえば、定型発達者は「察してもらうこと」に依存的であるということだ。



特に主婦という、人間関係(こと感情の関係)の多くを夫に依存しやすい場合は、これが極端に振れるということにも納得がいきやすい。


確かに、自尊心の維持が難しくなれば、鬱になりやすかったり、精神的に不安定になるのもうなずける。


では、アスペルガー症候群者と定型発達者がうまくやっていくにはこの「察する」ということに関してどう乗り切ったら良いのだろうか。


まず、アスペルガー側から何ができるか考えてみる。


「感情を察する」はなかなか難しいものがある。
その通常ある機能が機能していないのがアスペルガー症候群というものなのだから。


定型パターンとして、ある程度頭に放り込んでおいて、対応するしかないだろう。
が、限界は低い。


となると、やはり、まずは「事情を察する」ということが基本になるだろう。


これは理屈と気力と体力で対応可能である。



相手(家庭)に生じる「必要性」を洗い出して行動に移す、と考えれば良い。
実行できてなんぼであるが…。



さて、定型発達者の皆さんにお願いしたいことは…

アスペルガー者に「察する」ことを他の定型発達者に期待するように期待すると、精神的に消耗することを理解し、自尊心の維持には別手段をとるように努めていただきたい。

というようなことになろうか。



ちょいとおまけになるが、特にアスペルガー症候群の男児を療育するにあたって、「家事の重要性」「同情的な言葉かけ」の重要性について,特にしっかり教育しておく必要性があるのではないだろうかと思う。





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コメント

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定型発達者研究、とても楽しみにしています。
今回の、察する事と自尊心の分析も興味深いです。
なぜ妻を鬱病にしてしまったのか、反省の助けになりました。
 
紹介されているサイトでの話は、いろいろなケース、
いろいろな組み合わせが有るなぁと思いました。
「ウチも同じです」が合言葉になるほどには、
同じではなさそうに思えます。
「同じです」も共感志向の現れでしょうか。
 
狸穴猫さんの観察力・分析力には、いつも感服しているのですが、
今回は、それ以前の、相手の気持ちの仕組みについての、
関心の持ち方が凄いと思いました。
相手に共感するとか、反発するとかとは別に、
何故そうなるのか、気持の仕組みを分析するという対応。
それは、当事者にとって有意味なだけではないのでしょう。
本当は共感や同調が欲しい人にとっても、
気持に関心を向けられるだけでも、かなり違うのでは・・
 
もう一つ、感想です。
察しあうことを求める人には、察しあうことが好きな人と、
そうではない人とがいるのでしょうね。
察しあう文化が好きで、察してあげられる自分も好きで、
あなたも察してくれると嬉しいという、共感共有志向と。
気遣いに疲れながら、我慢して察し続けている人と。
実際には、場面によって、二つが入り乱れるのでしょうが。
察してもらえない絶望が鬱へと向かう場合ではなくて、
怒り・批難・攻撃へと向かう場合の怒りのエネルギーは、
私は努力して察しているのに、アンタは・・という憤懣の蓄積なのでしょうね。
 
定型発達者研究の次回掲載を楽しみにしています。
RE:拍手
トラネコさん、はじめまして。

確かに、察すること、気遣いなどをせねばならない「美徳?」として、努力してやっているという意識があると怒りに結びつきやすいかもしれませんね。

まあ、この辺は定型発達者の方のご意見をぜひ伺いたいところですが…。

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