アスペルガー者をめぐる「困難」について(4)-困難を認識することの困難-

えっちらおっちら4回目。
早く終わらせないと…アスパラガスの会の案内も出さなきゃならないからなあ…。

第1回第2回 第3回

=================================

大人のアスペルガー者が持つ、もう一つの困難について考えてみる。
実は今まであげなかった「重要な一つ」があるのだ。


それは表題にもしたが、「困難を認識することの困難」である。

診断がつけば、認識しにくい感覚面や、予測力の困難なども、自分が困ることに関しては認識がしやすくなる。


しかし、


特に「周囲」や「家族」が困ることから間接的に困った事になるといったタイプの困難は極端に認識しにくいのではないかと思うのだ。


自尊感情が普通に育ったある面幸運なアスペルガー者は、却って自らの存在で周囲が困っているということを認識するのを拒絶しやすいだろう。

また、

自尊感情が不安定なアスペルガー者でも、自らの存在によって周囲が困るといった事実にを受け入れるのは、また困難だ。なぜなら、一旦であっても、さらに自尊感情を奪われることになるのだから。


そして、言葉数の多いアスペルガー者においては、コミュニケーション能力に関して、実際はコミュニケーションがうまくいってなくても、「自分はコミュニケーションできて
いる」と、思ってしまっている場合があったりする。


周囲との違和感はあったが、自分は今までいろいろ工夫してやってきたのだからという自負もある。


そして…(これ重要だと思う)…何より想像力に障害がある。

こういったことすべてから、


「周囲に関わる困難」を認識するのに多大な「困難」を伴うのだ。

ついでにいうなら、年齢もまた、困難を受け入れがたくする。


心理面のフォローが十分でない場合、特に「周囲(や家族)が困る系の困難が」受け入れがたいのと、社会サイドの困難への対応、対策がしっかりしていない現状では、さらに困難を認識するのに困難を伴うことは当然といえば当然である。


認識できたとして、次にせねばならないのは、アスペルガー者本人の自己改革である。
だが、「障害」を受け入れるだけならまだしも、周囲との調和を図るべく自己改革しなければならないというのは、ある面過酷な課題である。


大人のアスペルガー者が、自らの持つ困難を認識し、自己改革をはかることはかくも難しい。


やはり家族や医療関係者の支援なくしてはできないことだ。


特に医療サイドには、この自己改革のきっかけを作ってほしいとも思う。
と、同時に、現在職に就くなど、「社会適応」できていても、「家庭内適応」できていないケースがあることを念頭において、適切に診断を下してほしいとも思う。
(ぶっちゃけ言って、根幹が脳の機能障害なのだから、社会適応を診断の基準にするのはどうかと思うのだ…おまけ)



といったところで、各種支援の重要性を力説して本稿は終わる。


終わり







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自分ですら
きちんと認識
できてるのか不明
ってね。

関係ないけど
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お一つ。






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コメント

私も困っている事が自覚できないタイプ
対人に関してはもちろんですが(たぶん)自分がどこまで無理をしているか全くわかりません。
多分年をとった分、社会的にはある程度のルールを覚えて対処していると思うんですが・・・(仮面付受動型)
自分がこうして欲しいという希望を伝えるスキルがとことんないようです。
抑うつ状態とはよく言った・・・と言う感じです。
(現在バリバリのうつ状態らしいです・・・主治医談)
何かいい方法ないでしょうかね・・・・・・
非定型精神病ですが
はじめまして。こんにちは。
ある知り合いから紹介してもらい、
このブログを読ませてもらいました。
私は、非定型精神病と診断されています。
感じた事を書かせてもらいますが、
定型者は、良く言えば、「世渡り上手」で、
悪く言えば、「ズルイ」と思います。
そして、「自己改革」と言われていますが、
その前に、「社会改革」の方が先だと思います。

p.s.人はなぜ、群れたがるんでしょうか。
   私は、「少数精鋭」と言う言葉が好きです。
今回の記事を読ませてもらって今、私は自己改革しだしてる状態だと思いました。
診断を受けて4年は経ちますが、なかなかアスペというものの全容が見えず、それもあって、ちゃんと受け入れられてはいない状態です。
でも、今までにおおまかに分かってきたものを1つ1つ受け入れていくと楽にはなっています。
だけども、今までの長い人生の自分のイメージや人生というものや、あらゆる物の概念的なことも塗り変えていかないといけないので、なんか言葉では言いようのない不安や怖さみたいなものがこみ上げてきます。
自分を変えるのに、まるで世界が変わっていくような感じです。
ある意味、間違って認識していた現実を暴いて新たに知って認識していくみたいな感じなのでそういうものなのかもしれません。
意識が定型発達者から発達障害者へと移っていくことでもあると思います。
自分に対しての認識さえ間違っていたので当たり前と言えば当たり前なのかもしれませんね。

長々と失礼しました。
非常に明快
今回、狸穴猫さんに、当事者側からの「困難」についてのシリーズをまとめていただき、本当に助かっています。

日常生活の場面では、お互いが一方的に「解ってよ」という押し付け合いになりがちですが、こういうふうに両者の思いや姿勢を客観的に、またリアルに表現していただくと、両者に理解や共感がもたらされると思います。

定型者に押し付けられる「定型者流の、その場にそぐった言動」を、ASの方には、定型者社会のマナーとして割り切って受容したいただけるとありがたい。
というのが私個人の本音です。

挨拶の仕方が、頭を下げるのがマナーのお国柄と、握手をするのがマナーのお国柄との違い・・という風に。

マナーというのは、そもそも、相手への配慮や思いやりの発想から生まれて来た行動様式ですから、「なんか知らんがこういう風にすると、相手は気持ちが良いんだな」という割り切りで良いのではと思うのです。

もちろん、ASの方の受容や理解の困難さ、という面への理解は、定型者にとって不可欠なものだと思います。

まだまだ、多数派の認知度が低いので、今、いちばん必要なのは、双方にわかりやすいテキストだと思います。

狸穴猫さんの書かれたものが、出版されないかなぁ~といつも切に願っている者です。

自己改革
数年前に対人スキルというものを認識し始めてからは、いろいろ試行錯誤してきました。
しかし時々、元の自分ってどんなんだっけ?とぼーっと思うときがあります。
自分であって自分でないような不安感が出てきて、それの自分の中での対処法がまだ見つけられない感じですね。

それと嫁いだ先の家族が定型発達者の鏡とも言えるような人たちなので、1日中気を抜けないというのもあります(笑)
寝る前に1日を振り返ってみるんですが、あの時こうしてればよかったな、あぁぁ…と穴があったら入りたい状態にあとでよく陥ってます。
社会適応を診断の基準にすることについて
(ぶっちゃけ言って、根幹が脳の機能障害なのだから、社会適応を診断の基準にするのはどうかと思うのだ…おまけ)

私も、ここに大きな問題があると思っています。
医学的な診断の場合、ある意味仕方が内面があると思うのですが、
問題は、社会がどう理解するのかというところです。
まじめにがんばって社会適応している者は、障害が軽いことになってしまうところがあります。
私は働いている人を支援していますが、
発達障害が社会適応して働くのは、大変なことです。
医学会も、二次障害などで、かなり困っている人でない限り、働いている人には診断をしないというようなコメントが欲しいところです。
失礼しました。
Re: 私も困っている事が自覚できないタイプ
自覚…疲れに関しては疎いですね。
音声過敏がひどくなって気がつくとか…。
ただ、私の場合、睡眠状態が一種、目安にはなってますね。
眠れなかったり、悪夢を見たりするときは調子が悪いと判断してセーブしてます。
Re: 非定型精神病ですが
群れるのはある種定型さんにとっては本能なんでしょうね、きっと。

社会改革も進めばいいですねえ。
どれだけ発信できる当事者が増えるかにかかってくるような気はしますが。
クロさんへ
何事につけ、診断後は意識の大変革ですからね。
本来なら、そこをわかってサポートしてくれる人がいてくれればいいんだけど…。

焦らずにいきましょう!

Re: 非常に明快
双方にわかりやすいテキスト…ホントにそれを私も望みます。

今はやっぱり定型者向けに「アスペってこうだよ」的なテキストが多いですから。
かといっって、アスペルガー者のためにわかりやすいものは対象者が少ないのでどうしても
出版ベースにのせずらいでしょうね。

だれか書いてくれないかなあ。(他力本願…笑)

Re: 自己改革
なすさん、はじめまして。

一日中気が抜けないのは大変でしょう。

対人スキル…身につけていく段階で、「本当の自分って?」って疑問の穴にはまりやすいですねえ。でも、対人スキルは対人スキルとして、割り切って考えた方がいいと思います。

無理なさらないで過ごせる時間がとれるといいですね。
Re: 社会適応を診断の基準にすることについて
kyotoさん、こんにちは。

おや、総論同じ、結論逆ですねえ。

私は、脳機能の障害そのものに重きをおいて診断されるべきだと思うんですよ。

いい環境で育って、たとえ就労などでうまく社会適応できていても、適応の為かかっている負荷量を考えたら、診断って必要なんじゃないかと思うんです。

たぶん疲労度が定型発達者とは異なった値が出ると思うんですけどね。
(まあ、これは私が対人モード発動すると疲れが倍増することから考えるんですが)

ただ、今の制度では診断がじゃまというケースはあると思います。
手帳に関しても、今の制度じゃなくて、「発達障害者手帳」なんてできてくれればいいなあと思います。

横レス、失礼いたします
kyoto様のコメントに「二次障害などでかなり困っている人で無い限り、働いている人には診断をしないように・・」ということがありましたが

仕事場での適応のみを診断基準とするのは、当事者にとっても、家族にとっても、周囲にとっても、いずれは困ることになるのでは、と思いました。

適応分野や得意分野ではつつがなく、また周囲以上の真面目さや能力を発揮される当事者の方が、プライベート面で問題が起きたり(起こしたり)しても、その問題に本人が無関心だったり、気がつかなかったりして、人生のピンチに陥ってしまうことも多いと思うからです。

周囲の理解やフォローを受けて、仕事だけは出来ている、という当事者の方もいらっしやると思います。

また、受診に至る経緯は、本人のみならず家族の悩み具合も大きく関わり、診断された本人は不本意でも、家族や周囲のために必要だった、診断されて良かった・・という事例もたくさんあると思いまして。

狸穴猫さん、ご苦労様です。

家族とか言う範囲ですと、パワハラとかDVとかの加害・被害当事者になりやすい。世間では、売れっ子の精神科医ライターの香山何某先生は”排除”を提唱されているし、DV対策センターではAS=離婚指導と言うマニアルがあるそうな。

これ、狸穴猫さんには辛い思いをさせるかと筆が鈍るのだけど、家族から”排除””隔離”されているヒゲ達磨としましては、”離婚”など結論が先にありでは、「自己改革、、、一昨日きやがれ」というヤッケパチな気分にならないこともなく、改革のモチベーションを削ぐDV対策センターのマニアルなどは、何とかならんかと、思う。

纏まりがなくてすみません。
ヒゲ達磨さんへ
わお…そんなマニュアルがあるんですか…
本当だとしたらそりゃ、自己改革のやる気そぎますねえ。

身体的DVや自殺脅迫による支配なんつーのはやはり論外だと思いますが、(排除しかないかも…)

定型発達者から見たら精神的DVに見えるものの多くが、アスペルガー者というものを定型発達者がわかっていないことによるものなのではないかと私は想像してしまうんですがね。

だって、うちのタヌキのやってることって、定型者にはたぶんわかりにくくて、精神的DVに解釈されてしまいそうってことたくさんありますもの。

わかりやすいアスペルガー者解説も必要ですね。

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