情動的言動にすぐ反応できないということ。~タヌキの例~(1)


アスペルガー者は会話の裏の意図に気づきにくいと言われる。


特に情動的言動には弱い…と思う。


で、どういった現象が起こるかというと、結構実態はお笑いなのである。


さて、今回の実例はうちのグレーゾーンタヌキ(といってもAQは私と同じ値をたたき出すが)である。



数日前、狸から、「またやっちゃった~」と電話がかかってくる。
何かと聞くと、ちょっとした会話事故らしい。



さて、その様子ご紹介しよう。



タヌキはパンの配送をしている。
ある日の昼頃、雨上がりの積み込みの倉庫での会話

===============
1)

 上司:タヌキさん、晴れてきたでぇ、暑なるデ~
 
 狸:ああ、助かりますわ~、昼から屋根ないとこやから!

 上司:…(いぶかしげな顔つき)

 狸:(繰り返す)昼から屋根ないんでたすかりますわ~。

 上司:…(無言…目が点)


補足説明をしておくと、屋根のない配達先では、雨が降ると、パンの番重(トレー)にカバーをかけたりカッパを着たりと、いろいろ面倒らしい。


で、この会話には伏線がある。

================
2)

その前日終業間際、倉庫内で片付けをしていて

 上司:暑いなあ、狸さん、大丈夫か…?

 狸:暑いですわ~もう熱中症寸前ですわ。

 上司:ちゃんと水飲みや!

 狸:ありがとうございます。

================

はっきりいって2)の会話に問題はない。
問題は、この2)が前提となる1)である。


1)で上司の意図は「暑くなるから気をつけなさい」という意味・意図である。


が、タヌキは、雨のときの面倒さが朝から気になっていて、「昼から晴れないかな」ばかり考えていたらしい。そこで、「晴れて良かった」という自分の思いをしゃべってしまったのだ。


さらに「伝わってないかな?」と思い、自分の思いを繰り返してしまったのである。


=================

これは相手の発言の裏の意図を見抜けないで間抜けなやりとりになった一件だ。


相手の「気遣い」という「情動」が会話に入っていることに気づかなかったという例である。
特に情動がベースにある会話は「気がつきにくい」のだから困ったもんだ。


タヌキの1)の返し方は、考えようによっては「自分のことしか考えていない」「自己中」な返し方である。




さて、タヌキは普段、外に出たとたんに「ありがとうございますプログラム」を起動している。


会話のあちこちに「ありがとうございます。」を放り込むとうまく会話が成立するという、まことにありがたいプログラムである。


だが、今回の上司の「暑なるな~」は、直後に「ありがとうございます」を入れると会話として変な感じになる。


そこで生来のプログラムが作動してしまい、

「助かりますわ~」という、前日の会話を考えたら定型者ではあり得ない、まこと「自己中」的な返事が出てしまったということなのだ。



さらに、追い打ちをかけたのが「繰り返してしまった」という点でもある。


あああ…。


(いくらなんでも繰り返すなよ…といいたい)


===============

ま、後になって気がつくところがタヌキなのだが、やはり会社では「変な奴」と見られているに違いない。

===============
さて、模範解答を作成しておこう

 上司:タヌキさん、晴れてきたでぇ、暑なるな~
 
 狸:そうでんな、水分補給に気ぃつけやな あきまへんな…。

 上司:気ぃつけてや!

 狸:ありがとうございます。

===============

自己中と見られることが多いアスペルガー者であるが、実は会話で「相手の裏の意図(特に情動的もの)が瞬発的に読めない」「会話の伏線をすぐに思い出せない」

というただけのことも多いのである。


とまあ、そういう会話事故?のお話でした。







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コメント

上司の方が、いぶかしげな表情をする。定型の方だと、その表情から、「ウム、おかしな返答をしたらしい」と気付くのでしょうが、私ならまず顔を見ていない、表情の変化はわかっても「いぶかしげ」と解釈しない、いぶかしいと思っても前日の会話まで頭が廻らないで、狸さんと同じことをしそうだ。

ありがとうプログラム、早速、インストールしてみます。
私も、そういう場合は繰り返し同じ事を言ってしまいますねf^_^;
心の中は、あれ?反応が違う…?聞こえなかったのか?などぐらいしか思い浮かびません。

気づくのは帰ってからか数日後かくらいでしょうね。
言葉の使い方
上司の方が、「暑くなるねえ。水分補給に気をつけるんですよ。」と言えば良かったような気がします。
私も言葉通りに受け取り、作り話や嘘には気が付きません。
それから、「あれ取ってよ。」とか代名詞を使われるのは、分からない時があるので、好きではありません。
定型者もきちんと言葉を使う努力をするべきだと思います。
p.s.「KY」空気が読めない、と訳しますが、
   空気が読める、とも訳す事ができます。
   言葉を、きちんと使って欲しいです。

ヒゲ達磨さんへ
『ありがとうございますプログラム』便利ですよ~。
そこそこ使う場面が出てくるし、少しくらい間違ったところで問題にならず…、
定型さんが「ちょっと変わっているけどいい人」と解釈してくれます。
クロさんへ
タヌキも「あれ、聞こえなかったのかな」だったそうです。
倉庫を出て運転し始めてから「あれ?」と気がついたらしいです。
Re: 言葉の使い方
定型発達者は確かに曖昧な(省略の多い)使い方をしますが、それもまた定型発達者の特性なんでしょうね。

それに対して発達障害者は比較的一義的な(説明のことこまかい)言葉の使い方をするのが特性というところかもしれません。

発達障害者から見れば定型発達者は「曖昧すぎ~!」
定型者から見れば発達障害者は「くどい!」となるんでしょう。

この世は定型社会だから、定型さんのすべてに「もっと正確な言葉の使い方をしてくれ」というのは無理にしても、、医療者や支援者には発達障害者にわかりやすい表現法を学んで欲しいですね。

精神科に行って言って「どうでしたか?」って曖昧な訊き方されるのはちょっと私も「やめてくれ~」と思います。
当事者の集まり
当地の成人当事者の集まりが、ありました。

私の入ったグループに、刑事事件の容疑者扱いされた人がおりました。犯行現場近くでパニック状態になっていたのを目撃されて通報されたのだそうです。「気持ちを強く持っていなかったら、(犯人と)認めたかもしれない」だそうで、思わずゾゾーと悪寒が走りましたよ。学校で劣等感を植えつけられるからなー。

他にも、ありましたが、書き続けて良いですかね?
気付いたすごさ
 はじめまして。
 狸さん、よくソレに気付きましたね。多動で衝動性の激しいボクは、こうした会話事故をあちこちでやってると思うんだけど、全然気付いてないです。
 意識して学習するって、大切ですね。
繰り返し言ったり、言われたり
はじめまして、いつもブログを読ませていただいています。
グレーゾーンかも、と思う私は、狸さんのようなやりとり、よくやっております。相手に怪訝な顔をされるたびに「どうして?」と思っていましたが、そういうことだったんですね…目からウロコです。

繰り返し同じことを言うのはもちろん、相手(定型の人)に同じことを繰り返されることもあります。

複数で行った旅行先で「私は体調の都合で(みんなと一緒に)お風呂に入れない」と言っておいたのですが、私がいないときに日帰り温泉施設に行くことになっていて(忘れられていた)、翌日車がその場所へ。
入館時に「入浴しなくても料金はいただきます」と言われ、「そうですか」と支払っていたら(ちょっとむっとした表情だったかも)、リーダー格の人がこちらを見て「ごめんね」。「ううん」と答えたら、もう一度「ごめんね」。
「?」と思いつつ、もう一度「ううん」と答えたのですが、「いいのよ」「気にしないでね」という答えを期待されていたのかな、と今にして気づきました。

ちょっとむっとはしたけれど、まぁ仕方ないや、という気持ちだったんですけどね…私がその人なら「ううん」で納得しますし。むずかしいです…。
Re: 当事者の集まり
いろいろありますねえ。

> 他にも、ありましたが、書き続けて良いですかね?

はい、ど~ぞど~ぞ。
Re: 気付いたすごさ
相手の反応が「目が点」というか、「鳩が豆鉄砲を食らった」顔になるんだそうです。
で、さすがに「何か変」と気がつくけど、何でそうなったか、後で車を運転していてわかってくるらしいです。
Re: 繰り返し言ったり、言われたり
はじめまして。
『にこっとして「気にしないで」』ってのはは必須アイテムかもしれませんね。
相手に感情反応が(好意的なものに限るけど)わかるようにしないと定型発達者は不安になって繰り返してしまうのだと思いますね。
はじめまして。いつも参考にさせていただいています。
そういえば自分もこんな事故をよく起こしていた、と、初めて気づいたことも多いです。
定型の人たちの会話(特に世間話)は、すべて台本通りに行われているということなのでしょうか。やっぱり理解できない文化です…
ユウさんへ
台本通り…ではないのですが、定番コースってのはそれなりにあるような気がしますね。
グルーミングに近いやりとりなのだろうとうちのタヌキは言ってます。

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