この記事は、前回の記事「定型発達者的『謝罪』の分化と文化」に連動しています。
ちょっとのっけから話題がそれるようであるが、謝罪の前には怒りがある。
で、あるからして、なぜ人を怒らせやすいかをまず分析してみよう。
アスペルガー者が意図せずに定型発達者を怒らせるにはいろんなパターンがある。
- 相手の風貌・言動に関して否定的なことをストレートに言い、相手に不快感を与える。
- ひとつの件に関し、繰り返ししつこく聞き、相手に不快感を与える。
- 当事者である事に関し、第三者的ととられる発言をし、無責任な発言だという印象を与え、相手を怒らせる。
- すでに相手が怒っていることを認識せずに、単なる疑問を投げかけられたと思って答え、相手を怒らせる。
- 状況に合わない行動・言動をとり、周りを怒らせる。
まあ、代表例はこんなところだろう。
さて、アスペルガー者はなぜ謝らないかについて、上記を参考にしながら分析をすすめる。
まずもって、相手を怒らたときの社交的対応(マナー)を知らないことがあるがそれだけでは解釈がつかない。
疑問形の叱責、怒りの表明に無頓着であること、これは確かであるが、これだけでも解釈がつかない。
表情から相手の感情をつかみにくい…これもある。
が、
実は主たるものはアスペルガー者は相手の自分に対する怒りに対して、正当か不当かの価値判断をしがちであることが原因であると考える。
アスペルガー者では、自分にぶつけられた怒りが正当なものか、不当なものかをまず考えてしまう。
そこで不当だと判断してしまったら、頑として謝らない。
「私のどこが悪いの?」
である。
さらに、不当感をつのらせれば、「相手の不当性」にアスペルガー者のほうの腹が立ってくる。
怒りをあらわにすれば「いわゆる逆ギレ」と言われることになる。
である。
相手を怒らせたとき、
定型発達者のパターンは
「相手を怒らせた」
→理由はともかく怒らせたという対応において自分に非がある。
→とりあえず謝る
なのだが、
アスペルガー者のパターンは
「相手を怒らせた」
→相手が怒ったのは自分に非があるor相手の誤認いずれか
→謝るときと謝らない時がある。
となる。
だいたい自分が間違った事を言ったと思っていないことが多いので「謝らない」にいくことが多い。
特に冒頭の2.3、5のケースではより「謝らない」に傾きやすいだろう。
1.4は適応状態がいい場合、学習によってクリアされているケースもあるとは思う。
これを解消するには、
- 定型発達者は「繰り返し何かを聞かれるとキレてくる」という性質を知っておくこと。
- 相手の風貌に対し否定的なことは言わない事が常識であると覚えておく。
- 相手の言動に対し否定的な見解を述べるときはまずはへりくだった表現をとることを覚えておく。
- 周囲を観察し、ある程度は周りに合わせる事が必要だと言うことを覚えておく。
などの対策があろう。
さらに、
必要とされる「謝罪」の多くが接遇的行為であるため、その場合、正当、不当を判断するのは「お門違い」である場合がほとんど、ということを認識しておくことが必要である。
さて、もう一つ、アスペルガー者が「謝りにくい」理由がある。
これは経験の問題だが、
「とりあえずその場を納めるために謝る」ということをしたことがあるアスペルガー者において起こりうる事だ。
「とりあえず謝った」
↓
「謝ったにもかかわらずさらに責められた」
or
「謝ったのに重い罰を与えられた」
という経験のある場合、それがトラウマになり、
「謝ったらどうされるか分からない」→「恐怖」
↓
「出来るだけ謝らないですまそうとする」
(屁理屈つけてでも)
というのがある。
幼児期・小学校期において親や学校の態度が不適切だと、このパターンをとることも少なくないだろう。
とかく理由の分からないことで怒られる、怒りを買うことが多いのが幼児期・小児期のアスペルガー児である。
かくいう私も小学校5年生時に学校の帰りの会の反省会で「(身に覚えがないことで)とりあえず謝る」をやったあげく。クラス決議により尻をクラスメートに竹ぼうきでしこたま殴られたという、悪い記憶がある。(さすがに、あほらしくなって途中で逃げ出したが。)
おかげで「謝る」ことがしばらくの間はかなりの恐怖であった。 (今でもそのときのフラッシュバックが起こることがある)
こういった場合、理解ある人のもとで、あるいは、定型発達者の性質をよく知った上で、「とにかく謝る」のトレーニングをして、成功体験を積み重ねてはじめて「謝ることが出来るように」なるのではないだろうか。
もちろん、この際にも注意しておかねばならないのは「損害」が絡む場合、みだりに謝ってはならないケースがあるということである。
以上、アスペルガーが「謝り下手」であることに関する考察でした。

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