今思うに、アスペルガー症候群のいじめられやすさがあったのだとは思うが、とにかくひどかった。
詳しいことは割愛するが、割愛しすぎるとなにもわからなくなるので概略だけは書いておこう。
はっきり言って、教師も荷担したいじめだった。
帰りの会での反省会というものが私にとっては鬼門だった。
そこで、あることないこと言い立てられ、謝罪を迫られる。
あることないこと…と書いたが、実は「ないこと」のオンパレード。
掃除をさぼったとか
班活動に協力しないとか、
誰それを殴ったとか…
喧嘩っ早かったが人より先に手は出さない主義だったし、
掃除をさぼるなんて想像もつかない。
協力…これだけは概念がわからないので何ともいえないが、班活動をさぼって先に帰ったりということはしていない。
にもかかわらず、やり玉にあげられ反省と謝罪を迫られる。
教師もその反省会を放置していたというより、推奨していたので、クラスメイトと同じ穴のムジナだった。
その他、ものがなくなるのは日常茶飯事、
靴に画鋲は当たり前、
果てはトイレで上から水が降ってくる。
靴がなくなるのがこわくてランドセルに靴をいれて教室に持ち込めば、
「クラスメイトを信用していない」とまた反省会でやりこめられる。
長時間1人立たされ、責められるのに嫌気がさし、教室から遁走すれば、翌日「卑怯だとおもいま~す」とまた糾弾される。エンドレスマーチである。
教師は教師で、「なんでみんなに協力できないの?」と職員室に呼びつけて説教をかましてくれる。
長時間に及ぶ帰りの会で下校が遅くなるのが続いたときなど、他児童の保護者からも苦情が入っていたようだ。
ま、孤立無援の状況だった。
これは小学校3年から6年まで、約四年、エスカレートしながら続いた。
まあ、こんな状況の中、当然、自分なんていても仕方ないという思考にもなってくる。将来に希望もなくなる(だって、クラスメイトが大人になるんだから…)
こんな中、父親だけはいつも私に味方をしてくれた。
「おまえだって悪いところがあるのでは」とはただの一度も言わなかった。
しかし、ある日とうとう将来に希望が持てなくなった私は翌日の事を考えるのがとことん嫌になった。
そしてまじめに自殺を企てたことがあった。
それが4年生の冬。
幸か不幸か、作戦失敗で、椅子ごとひっくり返っただけで済んだ。
成功していればいじめ自殺第1号だったろうと言う時代のことだった。
どすんと言う音に驚いた両親が二階に駆け上がってきたのをなんとか取り繕い、何もなかったことにして、再び一人になると、なんだか父に申し訳なくなってきた。
そして、いじめる側の人間が何も知らずにのうのうと生きていることに腹が立ってきた。
そうだ、当時の私はクラスメイトを恨んでいた。
当然教師も恨んだ。
翌年、5年生になった私は斜視の手術と弱視訓練のために都立駒込病院に二ヶ月ほど入院した。
そこはいじめのない不思議な世界だった。
小児病棟は難病や小児ガンの患者がほとんどだった。
長期入院が多い。
短期入院の多い眼科の部屋だけが妙に異質だった。
いじめがない事に安堵感を持つとともに、なぜだろうと考えた。
そりゃそうだ。みな、生きるのに必死なんだもの。
「私、白血病なの、もう半年入院してるんだ」
「俺、脳腫瘍で来週手術!」
「原因不明の呼吸困難…で、検査してるけど…」
「あの子、上の階(ICU)に行ったんだって」
「帰ってくるかなあ」
(帰ってこないことは当然死亡を意味する)
そんな会話が平然と流れている。
みな優しかった。
私は前年死のうとしたことを恥じた。
生きなくては。
私はそう思った。
そして、私ははたと気がついた…ここの子達は病に冒されているけど心は健全だ。
それに比べて、学校のクラスメイトは…心が病んでいるのだ。
そう思えてきたら、妙にクラスメイトが哀れに思えてきた。
斜視の手術は4回にわたったのでその後2年の間にあと3回、同じ病棟に入院した。
そのたびに、いじめのないことに安堵し、生きなくてはと思った。
そして、クラスメイトを恨むことより、なぜ、いじめが起こっているのかと言う点に私の関心は移っていった。
ストレスと言うことばがメジャーになってきていた時代だった。
6年生の私の出した結論は、いじめの首謀者となっているクラスメイトに関して、
「何らかのストレスによって、弱者をいじめたい心理状態になりやすい」
と言うものだった。
すっかりクラスメイトを恨む気がなくなった頃、突然、いじめはなくなった。
きっかけは、担任が産休に入り、代わりの教師が来たからだった。
臨時できた教師はいじめを絶対許さなかった。
ただそれだけのことだった。
小児病棟の子達と、私をいじめていた子達…その差は実はない。
心の闇の部分と光の部分がそれぞれに見えていただけだ。
そう納得すると、私には人を嫌いになる理由がなくなった。

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