テンプル・グランディン女史の講演から考えたこと(8)-自閉者が社会的に生存するとは-

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毎度になるが、一応、女史の講演の動画のURLを貼り付けておこう
テンプル・グランディン 世界はあらゆる脳を必要としている(動画)



さて、今シリーズも佳境に入ってきた。
私の今回の脳内パズルの主要なピースである「社会的生存」について考えていくことにする。


「社会的生存」という用語をまず定義しておかねばならないだろう。

私はここで、「社会的生存」=「社会機能の一部を担って生きていくこと」と定義する。


引きこもりや、福祉の手を借りるだけ、または親のすねかじり、財産の食いつぶしだけですなわち、消費的活動のみで生きていくというのは、「社会的生存」にはならないと思う。

だが、仮に稼いでいなくても、主婦として家庭の維持や子育てをするとか、地域活動、ボランティア活動(当事者活動も含む)などで社会の機能の一部を担うならば、それは「社会的生存」をしているといえると考える。


この「社会的生存」が円滑に行えていないアスペルガー当事者は少なくない。

では、どうして円滑に行えないかというと、それが障害の障害たる所以であるともいえるのだが、本来の障害そのものよりも、「鬱」「不安障害」等の「二次障害」によって、円滑さが損なわれているケースも多い。

さて、「社会的生存」のありようについて、経済部分はちょっとおいておくとして、どういうありようがあるのか?。

活動の対象に関していえば「人」←→「物」
活動の性質にかんしていえば「創造」←→「維持」

という分類軸が浮かんできたので、ちょっと図を作ってみた。


zu-1.gif


個々の障害の質に応じて、適正な位置で活動できるならば、ストレスは少ないだろう。
つまり、それだけで、不適応現象を起こす可能性はかなり減少するだろう。

アスペルガー症候群者では、生来の「社会性の障害」「コミュニケーションの障害」があることから、図の右よりの部分での活動は困難を伴うことが多いし、ストレス度が高いだろう。


逆に、左よりの部分で活動するならば、円滑に活動できる可能性は高くなると思うのだ。(下図)

zu-2.gif


さらにその能力に応じた活動の複雑性・関心の高い分野などを加味して考えていけば、自閉者がより円滑に「社会的生存」をすることができるのではないだろうかと考える。


実際、社会で活躍している自閉者の多くは、左よりの領域での活躍が多いと思う。
(グランディン女史の立ち位置は、左上の領域とみて間違いないだろう。)


また、万一、図中の右よりの領域での活動を余儀なくされる場合でも、立ち位置の見極めができていれば、あらかじめその負荷を予測し、自閉者に適した方法で(本人なり支援者なりが)対策を打つことができるのではないかとも思うのだ。



<まだつづく>





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コメント

お邪魔します。とても分かりやすい説明ですね。私は町内イベントが苦手です。なぜ主婦達は自治会館に集まる時、戸口に固まるか理解に苦しみます。後から来た人達が入れなくなるまで固まり続けます。遠慮なのか嫌がらせなのか?
アスパラさんなのに右下エリアで就労&プライベートを主としているわーです。

でも、10年続けたら鍛えられました。

問題はその社会適応しようとするとっかかりとダラダラそこにいるのではなく、目的や楽しみをもって適応していこうという持続力。

自分のケースは自分にしか当てはまらないので、当事者や周囲がどれだけ客観的にオンリーワンな適正や見通しを持てるか...ですかね。
ででんぼさんへ
ででんぼさん、お久しぶりです。
お褒めの言葉、ありがとうございます。

集会所の入り口…、考えてみたんですが
 1.「お先に」とやって一人で浮くのが嫌だから
 2.「入りましょ」と言って「仕切り屋」と(裏で)言われるのが嫌だから
 3.周囲も認める「親分」を待っていたほうが「安全」だから
こんなとこでしょうかねえ。
わーさんへ
わーさん、こんにちは。

右下エリアワークお疲れさまです。

やはり目的意識というのは大事なんですね。
わーさん流の鍛え方をまた自助会で教えてくださいな。
私の職業遍歴をふりかえると、本能的に左側エリアを選んで来たような気がします。
それでも、たまに「ひきこもりたい病」がでてきて困っています。
経済的に困らないなら、まちがいなく中年ニートに甘んじていることでしょう。
ナートさんへ
どの仕事も、全面的に左よりの「点」ということはないですからねえ。

どんな活動も、右よりの活動も含む「領域」で表されると思います。

私はかなりヒッキーに近い生活をしていますが、保育所のつきあいと、それから古い町なので町内会と地蔵講だけは避けられないという現実があります。

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