テンプル・グランディン女史の講演から考えたこと(5)-Web上でのアスペルガー当事者間の温度差-

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毎度になるが、一応、女史の講演の動画のURLを貼り付けておこう
テンプル・グランディン 世界はあらゆる脳を必要としている(動画)


さて、今回はちょっと話題の毛色を変える…というかかなり脱線する。


グランディン女史の講演を聴いて、私の脳内を当事者諸氏の顔が去来するとともに、あちこちのブログのトップ画像、某巨大掲示板(あ、某板、某スレのみなさま、ご愛読ありがとね~!)などの画面などが去来した訳だが、そこで当事者間の温度差の大きさというものにふらふらと行き着いてしまった。


ハッキリ言って、能力も能力タイプも異なれば、「一次不安」の解消状態、二次障害の状態によってさまざまなタイプのアスペルガー当事者がいるのは不思議でも何でもない。こだわりのポイントも人それぞれ…。


だが、それ以上にアスペルガー当事者間の温度差が大きいように感じるのだ。
ネット上でしばしば対立が生じるというのを実際あちこちで見ている。
そしてその頻度は、同じ障害を持つ同士としては、他の障害よりも高いと感じる。


さて、そこでちょっとアスペルガー当事者のタイプをわけてみる。


1 ポジティブな当事者とネガティブな当事者。
2 (一応でも)社会適応している当事者とそうでない当事者。
3 発信する当事者と発信しない当事者。



これだけでも3軸だ。


WEB上で見えているのは発信する当事者であるから、とりあえず今回は3については触れない。(この問題は別の稿で考えることとする)


この温度差って、「一体何なんかね~??」と時々考えていたのだが、グランディン女史の講演を聴いて何となく納得がいったのだ。


プライドのよりどころ問題なのだ!


と感じちゃったのだ。


(グランディン女史もプライド超高そうって感じである、キャリアに相当なプライドを持っているのも著書などからみてとれる。)


さて、整理しよう。


◆まずひとつ目、適応状態とプライドの関係。


社会的にある程度でも適応できているアスペルガー当事者では「適応できている」ということにプライドの拠り所としている事が多い。


それに対し、社会適応できていないアスペルガー当事者にもプライドはある。だいたい、自分の能力の一番の突出部分にプライドの拠り所を置いていることが多い。(そして多くは学歴だったり、学校での成績、資格だったりする)


これではかみ合わなくても不思議はない。


社会適応状態が良くない当事者には弱みがある。そこを「適応状態の良い」当事者が刺激すれば、対立が生じるのも不思議はないと思う。



◆二つ目、社会に対する意識とプライドの関係。
すなわちポジティブな当事者とネガティブな当事者の問題だ。


ポジティブな当事者は不思議と「ポジティブであること」にプライドの拠り所をおいている。


リアルで一人ポジティブにやっている分には問題ないのだが、なまじプライドがあるものだから、「さあ、あなたもポジティブに!」という手合いの発信をしていることも往々にしてある。


ところで人間、「さあポジティブ」にといわれても、「よし、私も」とは行かないのが常である。(ここは定型者でもアスペルガー者でもあまり大差ないと私は思う)


かくして、この手の発信は、諸事情によって既にネガティブ方向に入ってしまっている当事者にとっては、一番痛いところを突かれるわけで、精神衛生上よろしくないため忌避や反発をされてしまうタイプの発信だったりもする。逆に妙に強烈に憧れてしまうケースもある。(もちろん、単に「人に指図されたかないわい」というタイプの人の反発をも買うだろうが…)


そんなわけで、この2者もまた、隔たりが大きい。


以上2点において、当事者間の「温度差」が生じるのではないかと考えた。



同じ障害を持つ障害者同士で頻繁にネット上の掲示板やブログのコメ欄などでトラブルを生じるのはこんな訳があるのだと一人得心した次第である。


だが、これらの隔絶は社会的に見るに、自閉脳というリソースの無駄遣いではないだろうかとも思う。少なくともWEB上で発信可能な知的能力のある、かつ自閉症スペクトラムについてさまざまな事を考えている当事者が、価値のある知を生み出す方向に行かないのだから。


さらにちょこっと脱線する。


以下ネット創生期(15年くらい前かな)に考えたことなのだが…
まあ、ネットというのは対人距離を誤認しやすいメディアである。
なぜなら、いわゆるパーソナルスペースの内部に、パソコンのディスプレイを置かざるを得ないからだ。
そのため、掲示板やブログなどでのやりとりにおいて「親密感の誤認」が起こったり、批判などでは「面と向かって批判されたような錯覚」やに陥ったりしやすいのと私は考える。
パソコン(or携帯)という新しいメディアにまだ人間の脳の方が慣れていないからこそ起こる現象だといえるだろう。


話を元に戻す。


自閉症スペクトラムという障害に関して言えば、当事者が手をたずさえて、社会にその現状を訴えていくためには、当事者間の温度差による隔絶の影響を調整する調整役が必要なのではないだろうかと考えるのだ。


それは当事者であってもいいし、非当事者(定形発達者)であってもいいだろう。
ことによると「人」ではなく「システム」であってもいいのかもしれない。


そんなことを考えた。



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<おまけ>

注文していた本が届いた。
なかなか面白くて何度も読み返している
…ので、記事書きは進んでいないっす~。

昨日梅干しを塩漬けしました。
南河内は紀州が近いので、いい梅が結構安く手に入ります。




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脱線…
したつもりが
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コメント

温度差ってわかります~
当事者間の温度差は、トラブルのもとですね。
私もリアルの付き合いで…トラブルを起こした事があります。
お互いが、定型発達者のように適当に合わせられないのでトラブルになるのかもしれないですね。

この温度差、二次障害的な部分の影響もあるような気がします。
その部分に良い支援をえられた人がポジティブになっていけるのかな?とも思います。
私、元々は超ネガティブさんでしたから、周囲からの支援も大きく影響すると思います。
卵が先か鶏が先か、みたいな問題になってしまうかな…

>当事者間の温度差による隔絶の影響を調整する調整役が必要なのではないだろうかと考えるのだ。

その必要性はすごく感じます。しかし、難しい課題であるようにも思います。
こんばんは!
最近コメントしまくりですm(_ _)m笑
今回の記事は少し難しいと感じました。。
自分が主体となって発信していないからかもしれません。

私は今WEB上で受け取る側です。ポジティブとネガティブ、どちらにも言えるのですが、発信者の感情が全面に出ているものはなぜか読むのがつらくなってしまいます。

ニュートラルな記事、例えば私の場合だと、ある自閉圏の人が困ったこと、それに対するその人の対処法で、自分も当てはまったり試してみようと思える記事に注目します。

全くまとまっていないのですが、どこかで自分をすごく客観的に見れるような状態の時に発信することが必要なのか…と狸穴猫さんの記事を読んで思いました。
今回もコメント失礼します。
温度差...ですね。
確かに、私の拙ブログもネガティブモードてんこ盛りで、どうしようかと迷っています。
私の場合、心のよりどころといえば、社会人になってから、基本的にどの仕事も長続きする事ができたという実績でしょうか?
(このご時世、事業所閉鎖などの会社都合の退職での転職を数回経験していますが)
もう少しポジティブになってもいいかも、ですね。

ps.ブログ上で拝見することのできる、自閉症スペクトラム当事者の方は、それぞれに個性的な輝きを放っていて素敵です。
少し古いですが、中島みゆきさんの曲「地上の星」を思い出してしまいました。
おはようございます。
どこかで冷静に自分を見つめている自分がいれば…と思います。
今逆切れしてんな。
今むくれてんな。
と。
セルフモニタリングですね。
アスペルガーの人はまわりがみえがたいのでこれがわかりづらいと思います。
でもこういった場合は多分こう思われているのだろうと温度差のない相手から指摘を受けることができるとも思います。
そして相手が熱くなっていたわけではなかったと思った時に怒りの感情は冷めていきます。
攻撃されていたという思い込みが誤認知だと気付くからです。
それこそがセルフモニタリングを伸ばすのではないかとも思うのです。

プライドについては価値観で左右されます。
命の危険にさらされた人や今パニックに陥っている人にとっては自分が最も不幸に思えるでしょう。
けれど自分の限界に気づいた時にエゴイズムから利他主義に変わるのではないでしょうか。
なぜならエゴイズムの正体は限りない拡大・膨張の欲求だからです。
現代社会が豊かだからこそプライドの元となるものも高レベルのものが求められます。
数十年前は大学を卒業した人が尊敬されこそすれそこまでの学歴がない人がプライドを刺激されることもまたなかったはずです。
それぞれがそれぞれの水準で使命感や意気込み自負心を持っていたはずです。
なかなかな考察
考えさせられましたね。
どこかのASD系のネガっているサイトに明るい書き込みをしたら
なんで其処までポジになれるのか、と言われました。
昔は二次障碍酷かったのに、考え方を変えたら
何か突き抜ける感じになって明るくなれましたね。
結局は当人の考え方次第・・・当人の生き様も加味されるのだけれど。
育てられ方も影響されますかね?

纏まらなくてごめんなさい。

難しいことはわかんないけど
久しぶりのコメントです。


確かに、ネガティブ当事者とポジティブ当事者との対立はあります。
私もリアルに見てきました。


でも、1つ言えるのは

「無い物ねだり」

かなーって思うんですよね。


発達障害者だからって、みんな同じかといえばそうじゃないし、育った環境も違うし、性格も違うから全部を真似したとしてもうまく行かないことは理解しておいて欲しいなとやたら人を攻撃してくるネガティブ当事者に対してはいつも思ってます。
同じ発達障害者としては頑張ってもらいたいとは思うけど、自分の意見の押し付けだけはしたくないかな…(-_-;)
と言っても、ブログ書くこと自体が押し付けだと取られる場合もあるし難しいです。
Re: 温度差ってわかります~
絢未さん、こんにちは。

あらら、リアルでですか、それはきついですね。
確かに「適当にあわせる」は苦手な人が多いかも。
って、私も苦手です。
えーさんへ
えーさん、こんにちは。

感情が前面に出たのが苦手ってのは、私も感覚的にしっくり来ます。

リアルだと感情がでにくいアスペルガーの人でもわりとWeb上だと
感情がでやすいってのはあるかもしれません。

受け取る側の状態によってはつらい時もありますね。
ナートさんへ
ネガティブが悪いとは思いませんよ。
ネガティブな発信も、当事者の実際なんですから、貴重な情報です。

ポジティブもネガティブも、みだりに人に押しつけさえしなければ誰かの役に立つこともあると思います。



akienさんへ
おはようございます。

セルフモニタリング…それができるまでのタイムラグがトラブルの遠因なのかもしれませんね。

汽車が普及しだした頃、その速度に感覚がついて行かなかった為、「鉄路の旅」を否定した人も多かったそうです。パソコンのディスプレイを前に普通にセルフモニタリングができるようになる人が増えるまでの現象なのかもしれません。

現代社会の豊かさですか…、その点は考えてなかったです。
もしかしたら、現代は多様化を叫びつつ多様化の逆をいっているのかもしれませんね。

Re: なかなかな考察
綾織さん、こんにちは。

過分な評価ありがとうございます。

育てられ方は重要だと考えます。
自己評価が高い方が、何かと自由度が高いでしょう。

低い場合にどうするか(って、多いんだけど)
…これが支援のひとつの柱かもですね。
Re: 難しいことはわかんないけど
奈良人さん、こんにちは。

ポジティブにしろネガティブにしろ
「マッチング」ですまそうとするのがトラブルの元ってことかしらん。

ブログというのは最も新しいメディアなので色々と評価が分かれますね。
お邪魔いたします
 高機能自閉症と診断されている、成人男性です。

 実は管理人様と同様に、私も以前、自身のブログにて似たような考察をいたしました。
 ↓こちらです。

 http://ebifuraihan.blog40.fc2.com/blog-entry-79.html
 http://ebifuraihan.blog40.fc2.com/blog-entry-80.html
 http://ebifuraihan.blog40.fc2.com/blog-entry-84.html

 私の場合は「対立」ではなく「内ゲバ」といった俗な表現を使っていますが。

 私もまた、この当事者間の対立を憂いている者であります。何か決定的な融和案がないかと模索していますが、今のところそれが見つかりません。
 ですが、管理人様の「当事者間の温度差による隔絶の影響を調整する調整役が必要」とのお考えは、もしかすると融和につながる効果があるのではないか? そんなことを思いました。
Re: お邪魔いたします
エビフライ飯さん、はじめまして。

おいしそうなハンドル名ですねえ。

読ませていただきました。
寛容の心というのはほんと重要だと私も思います。

私は2ちゃんねるの発達障害関連のスレッドがすべて悪いとは思っていないのですが(的を得ている批判などもも結構あるし、ブログ上などでの直接対立の回避手段として機能している部分もありますから)、えげつなくなってしまうこともたまにありますね。

しばしば対立を生む個別の要因として、自らの障碍を知ってからの個々人の歴史もあるのではと思います。
障害受容の段階がどの段階まできているのか、二次障害種類とその治療状況、これらによっても違いは生じてくるでしょう。
自分=相手 「私と同じ」
うまくはいえないが、いつものこっちゃ!(^^ゞ
自分の思考・行動が一致してる状態。

合言葉「私もおなじ」

人並み(定型並み)と同じ生き方できることをよりどころとしてました。

ライフテーマ「人と違っていいと言ってるわりになんで歩調を合わせるの?」という解読が未だにできないというところです。

同じ発達障害やのになんで出来るの?と思ってました。
温度差
上記以外にも。

知的障害の有無

早期支援された自閉症者vs中途発覚された自閉症者


も格差が甚だしいと思います。
Re: 自分=相手 「私と同じ」
みっちゃん、こんにちは。

「人と同じ」…はきついですねえ・

> ライフテーマ「人と違っていいと言ってるわりになんで歩調を合わせるの?」という解読が未だにできないというところです。

なんとか最低限は合わせないと生活に支障をきたすと思います。
ってよりなにより「リスクが高い!」

今その「最低限」について模索中です。
Re: 温度差

> 知的障害の有無
> 早期支援された自閉症者vs中途発覚された自閉症者

ああ、確かに。

わかるだけわかっても支援につながっていない場合も多いな。

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