さて、本題。
「協力して物事にあたる」
ごく当たり前の事のようである。が、これが意外に物議の元である。
さて、「大人のアスペルガー症候群」という書籍で、
アスペルガー者の困った行動として、会社で、皆が忙しそうにしているのに帰ってしまう…というのがあった。
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何かと協力的でない態度をとるという問題行動の例として挙げているのだが、
この例で、泥沼にはまるとこういう会話になることもあるだろう。
「なぜ君は皆に協力しないんだ(怒)」
「え? 私、何かしましたか?」
「なんだその態度は?(怒)」
「なんだと言われましても…」
「もういい!(怒)」
なぜ、そうしてしまうのか…。
主な原因は2つだと思う。
1.協力という言葉の意味内容の理解がが定型者の理解と違う。
2.周りの様子に全く気がつかない。
1のケースの思考モデルを考えてみた。
アスペルガー症候群者の「協力」の理解は、
「各自あらかじめ分担した(された)仕事をこなすこと」
でしかないのではないかと考えられる、かなり静的な感じである。
(実は私もこの方が合理的だと感じてしまう)
これでいけば、
会社組織は上司が業務分担を決めて既に「協力」している状態。
↓
分担が決められた業務に関しては全うしているので問題はない。
↓
イレギュラー(割り込み仕事が入った、進捗の遅れ等)が起きた
ときの危機管理すべきは上司である。
↓
上司から特に指示がないので「協力」している状態は崩れていない。
↓
帰ろうとする。
という発想になっても不思議はない。
だが、定形発達者の考える「協力」というのはちょっと違うようだ。
何らかのイレギュラーが起きて忙しくなった場合、、
(自分に本来割りふられた業務を一旦停止しても)
自分にできることを探すか、または上司・担当者に聞いて
手伝える業務をわりふってもらい、(やれることがない場合、
つきあい残業をすることも含め)「部署一丸となって取り組む」
という体制の一部となる。
ことが「協力する」という事である。(かなり動的なイメージだ)
この理解の違いは大きい。
アスペルガー症候群者側は「協力していないつもりはない」
定形発達者には、「協力していないようにしか見えない」
といったねじれ現象が現実的に起こるのだ。
さらに…。
「一丸となって取り組む」が実はもっと食わせ物で、アスペルガー者にはなかなか理解できない概念だろう。(私も感覚的には解らない。)
ある集団が、同じ目的に向かって「意気込み」などの気持ちを一つにする…ということを態度で示しながら「気張った雰囲気」をキープしつつ目的に向かっていく。
ということのようである。
どうやら、その遂行後には定形発達者は何らかの快感・感動を覚えるようなのであるが、アスペルガー症候群者にはそんな感覚ないのであるからして
「なんでそんなに盛り上がっているの?」
「なんかやけにみんなで忙しそう?変なの?」
「そんなにみんな一緒でなくてもいいじゃない」
というのが本音のところだったりもする。
だが、
それが態度や言葉の端にでも出ようものなら、前述の「雰囲気」をこわす人間として、「協力的でない」と、批判の対象になってしまうわけだ。
この理解の違いにさらに、2の「気がつかない」が加わるのだから話しはもっとややこしくなるわけだ。
過集中に入ってしまっているときなんか、本当に気がつかないのだから始末に悪い。
さて、対策…。
といって、これにはとれる対策は限りがある。
1.周りが忙しそうになっているか時々チェックする。()
2.上記の理解の温度差を理解していたずらに定型者の集団意識を刺激しないようにする。
3.自分の仕事が早く終わった時点で、周りが忙しそうなら、「なにかお手伝いできることありますか?」という台詞を折に触れ使っておく。
気分的に納得できなくてもこれだけはやっておかないと、「嫌がられ」たり「排除」されることになる。
ひどい場合は、左遷、リストラなどという憂き目に遭うので充分気をつけよう。
仲の良い同僚や信頼できる先輩に「私ってどんくさくて周囲に気が回らないんです」とでも言っておき、「今日は帰っちゃ本気でやばそう」というのを教えてくれるよう頼んでおくというのも手には手だ。
おっと、忘れちゃいけない1項目。
4.過剰適応にならないように適当には定型者の枠外の行動もとっておく。
あまり合わせすぎるとストレスの元である。
適当には変な人行動をとっておかないと身が持たない。
これを実行するには、悪い人じゃないけれどちょっと変な人というイメージを作っておいた方が便利がよい。
というわけで、定型発達者とは「協力」の概念が違うので、
多数派社会では「協力的」を演出しておこうというお話でした。
ちゃんちゃん。

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