今日は就業についてのお話。
昨日ある人からツイッターで、「就活でコミュニケーション能力」が重視されるようになったのはいつ頃なのだろう?という疑問が提示された。
なるほど、確かに最近やたらと「コミュニケーション能力」という言葉が跋扈している。
コミュニケーション能力なければ職業人としての適性を欠くといわんがばかりの論調もあるにはある。
で、ごそごそごそごそ、夜中にゴキブリのごとくネットをはい回り?…じゃない!情報収集をしていたら、とんでもないものに行き当たった。
若年者就職基礎能力の修得の目安(厚生労働省のHP内)
この冒頭に出てくるのが「コミュニケーション能力」なのである。
さてさてと、なかみを読むと…「意思疎通」「協調性」「自己表現能力」の三つに分かれており、ごちゃごちゃとうるさい注文がついている。
おいおいおい…だ。
まあ、とりあえず大卒の目安で見てみると次のようなものが…
「相手の立場にたって真意を聞き取った上で的確な質問により話を聞き出すことができる」
「相手の考え方を総合的に理解した上で意見交換を円滑に行う」
「相手の意見や複数の異なる意見を分類・整理した上で、要旨を整理し要約できる」
「タイミングをはずすことなく相手にとって必要な情報を正確に伝えることができる」
「組織状況を把握し、円滑な人間関係に努めながら組織にとけ込むことができる」
「組織のルールに沿った行動ができる」
「伝えようとする事柄について相手の理解の度合いを考慮氏ながら説明に工夫をこらすことができる」
この年齢の自閉圏者にはとうてい不可能と思われる事がずらずら並んでいる。
え、つまり何か?
コミュニケーション障害を持っている自閉圏の人間は
社会人失格だとでも言いたいのか?
と、言いたくなってくる。
さて…、と、これだけでは資料として不十分だ。
というわけで、次のページも紹介しておこう。
職業能力評価基準について(厚生労働省HP)
(詳細は外郭団体の中央職業能力開発協会のホームページで見ることができる。)
これには、キャリア形成の目標に、人事採用時の新しいスタンダードに!という副題がついている。
つまり、厚生労働省=国が、企業の人事採用の基準として積極的に普及させようとしているものだ。
ちょっとこの中のモデル評価シートのページを見てみる…
基本的能力として、ことごとく、コミュニケーション能力とチームワーク能力が記載されている。
・コミュニケーション
上司・先輩などの上位者に対し、正確にホウレンソウ(報告・連絡・相談)をしている。
自分の意見や主張を筋道立てて相手に説明している。
相手の心情に配慮し、適切な態度や言葉遣い、姿勢で依頼や折衝をしている。
職場の同僚等と本音で話し合える人間関係を構築している。
苦手な上司や同僚とも、仕事上支障がないよう、必要な関係を保っている。
・チームワーク
余裕がある場合には、周囲の忙しそうな人の仕事を手伝っている。
チームプレーを行う際には、仲間と仕事や役割を分担して協同で取り組んでいる。
周囲の同僚の立場や状況を考えながら、チームプレーを行っている。
苦手な同僚、考え方の異なる同僚であっても、協力して仕事を進めている。
職場の新人や下位者に対して業務指導や仕事のノウハウ提供をしている。
つまり、職業人として、業種ごとの個別の職能以前に「コミュニケーション能力」や「チームワーク能力」が職業能力評価されるという基準作りを「厚生労働省」が推進しているわけである。
仮に、専門的な能力がいくら高くても、社会性の障害、コミュニケーションの障害という「障害自体」が、マイナス評価の材料だ。
この評価基準が実際に企業の人事評価制度の策定などに利用されているという事例までのっているから、事は重大だ。
要求されるな能力を身につけるのに、自閉圏者の場合、定型発達者の何倍も手間と時間がかかるし、そのこと自体がストレスになりやすい。支援・フォロー体制もない中、こんな基準が広められれば、自閉者は就業上圧倒的に不利な状況に追い込まれる事は自明だろう。
いってみれば、厚生労働省が、発達障害者の雇用を促進するどころか、発達障害者を雇用の場から閉め出そうとしているといっても過言ではないだろう。
厚生労働省がもしこのままの施策を維持するのであれば、早急に手厚い発達障害者へのスキルアップ支援体制・就職後のフォロー体制を作って欲しいと思う。

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かなり腹の立つ話だ!
というわけで、
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あれ、ちがうって?