【書籍】発達障害との出会い/花園大学心理カウンセリングセンター監修

書籍紹介は続く…夏は読書の季節?ま、外に出るのも暑いから、せっせと本を読んでいるわけだ。


今日は、この夏イチオシの掘り出し物の本を紹介。


『発達障害との出会い』

発達障害との出会い こころでふれあうための一歩(花園大学 発達障害セミナー 1) (花園大学発達障害セミナー)発達障害との出会い こころでふれあうための一歩(花園大学 発達障害セミナー 1) (花園大学発達障害セミナー)
田中康雄 十一元三 亀岡智美 村瀬嘉代子 橋本和明

創元社 2009-12-15
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発達障害が話題のキーワードになり、話題になる本も多い中、
表紙も派手じゃないのでちと埋もれそうな本だ。
大きい本屋に行っても、そうはおいていない。

ちょっと訳ありで、気にとめた本なのだが、買って大正解!


発達障害関連でこんなに読後感の良い本は初めてである。

さて、内容であるが…

実はこの本は花園大学(京都府)での発達障害セミナーの講演録である。

1、発達障害を支援するコツ/田中康雄
2、発達障害に関する最新の知見/十一元三
3、発達障がいをめぐる家族/亀岡智美
4、いま学校を舞台にして起きていること/田中康雄
5、わかり合い、わかちあうということ/村瀬嘉代子


発達障害がいかなるものかを説明する書籍ではない。
いかにして支援していくかに焦点が絞られた書籍である。



とりわけ印象に残ったのは発達障害のとらえ方である。

第1講のの冒頭で、発達障害児者は「生活のしにくさ」に困っているというというとらえ方をしようというようなことが書いてある。発達障害はすなわち、「生活障害」だと。

とてもスッキリとした概念だ。

そして、その「生活の障害」寄り添うことがどういうことか、親御さんにやってみて欲しい事を含め、とても簡潔かつ具体的に解説している。


もう1カ所、目を引いたのは第3講。

臨床医である演者がどうやって発達障害者の支援者として関わっていこうとしているかが書いてある。
これは、医療を利用する上で、親御さんに特に役立つ部分ではないかと思う。

また、この第三講の末尾。「社会不適合」という用語が出てくる。
演者の亀岡氏は、発達障害者のコミュニケーションについてのトラブルについて、定型社会に合わすべしという意味合いを含む「社会不適応」ではなく、ミスマッチであるということを重視して「社会不適合」と呼ぶようにしているそうだ。


簡単にまとめるが、

全体を通じて、発達障害児者を見つめる目が暖かい。
いかに対象者を「尊厳をもった一人の人」として見つめながら支援をしていくかといった点に配慮が行き渡っていて、好感がもてた。

それでいて、精神論にとどまらず、具体的な方法にかなり踏み込んでいるのはありがたい。
「個々に寄り添った支援を」とよくいわれるが、その具体的イメージがつかめる本だろう。


イラストもない、文字だけの本だが発達障害児者を持つ親御さん、そして支援者の皆さんにぜひ読んで欲しい一冊だと思う。




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コメント

>「尊厳をもった一人の人」として見つめながら支援をしていくか

これ、これですよ。
当事者が支援に対して求めているのは
「ちゃんと人として認めて欲しい」だと思う。

ちなみに縦書き?横書き?
絢未さんへ
絢未さん、こんにちは。

> ちなみに縦書き?横書き?

横書きです。ただ、活字は比較的読みやすい方だと思います。

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