【書籍】アスペルガーを生きる子どもたちへ/佐々木正美著


日本におけるTEACCHの大御所、佐々木正美氏の最新刊だ。

タイトルは「…子どもたちへ」とあるが、どうみてもこの本は子ども向けの本ではない。


アスペルガーを生きる子どもたちへアスペルガーを生きる子どもたちへ
佐々木 正美

日本評論社 2010-12-15
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この本、どう読んでも、アスペルガー親御さんと支援者に向かっての発信であるだろう。
そして、この本、かなり思想的な側面が強いと思う。


アスペルガー症候群という障害に関しての理解を深めるという段階から一歩踏み出して、「アスペルガー症候群者が幸せに生きるとは?」という部分に多くのページが割かれている。


著者の主張は基本的に

 「アスペルガー症候群児者はあるがままでいい」
 「あるがままで幸せになれるよう周囲がサポートすべき」

というところである。

そして、どうして、「あるがまま」を認められないようになってしまうのかについて、
「障害に関する理解不足」がその原因であるとし、多数の例を挙げて、どういった理解不足が生じやすいのかについて解説している。

また、後半では「あるがままに生きるための思想・方策」としてTEACCHについて解説している。


書き口は至って穏やかだ。
アスペルガー症候群児者への愛情に満ちている…と思う。


が、私は、この本に「現代社会への挑戦状」といった印象をもった。


巷にある、他の障害の場合対象のさまざまな「バリアフリー仕様」を挙げて、アスペルガー症候群という障害に関しても「バリアフリー」な社会にしていくべきだという主張があるのだが、これは、多数派が無意識に感じている感じ方を変えるべきだということに他ならず、実現が可能かに関しては疑問を持たざるを得ない。


なぜならば、他の障害の場合、障害者が「あるがまま」であることをを受け入れる為に健常者が心理的に「あるがまま」であることを阻害されることは少ない。
が、ことアスペルガー症候群という障害に関して言えば、アスペルガー症候群児者が「あるがまま」であることは、健常者にとって心理的に負担を強いる事になるからだ。

社会がそういった方向に進むべきであるという論には、ちょっと異論を持たざるを得なかった。

しかしながら、

 「どういった方向で社会がすすめばアスペルガー症候群児者が生きやすいか」
 「どう健常者がアスペルガー症候群児者と折り合いを付けるべきか」

を、半ば極論の形であれ、はっきりと提示しているという面で、画期的な書籍であると言えるだろう。


久々にいろいろな事を考えさせられる書籍だった。

親御さんや支援者には一読して欲しい本の一冊である。





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◆NHK総合テレビ 2010年12月22日(水)08時15分~
あさイチ キラキラ40コーナー内 
(狸穴猫が出る部分の放映は9時頃の予定…こっちはちょこっとだけ)

◆NHK教育テレビ 2010年12月22日(水)20時~
福祉ネットワーク キラキラ40
人づきあいクライシス-大人の発達障害(1)-

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コメント

関連書籍の紹介、いつも参考にさせてもらっています。
これも読んでみようと思います。
私も、ちょうど同じ点について考えていたところでした。
端的に言うと、アスペルガーの人の個性に理解を示すということは、こちらが折れてばかりでしんどい、ということです・・・。
配偶者向けの本
夫がアスペルガー症候群で息子が重度知的障害を伴う自閉症です。8歳の息子のオムツが取れたのが7歳です。4歳位から部屋の片隅でオムツを脱いでうんちしてしまいました。固いうんちだったので後始末は楽でした。

管理人さんなら、部屋の片隅でうんすする人をどう思いますか?私と保育士さんは、息子がうんち出る感覚が分かって来たんだ、良かったねと喜びました。

アスペルガー症候群の夫は「トイレも分からないのか馬鹿野郎」でした。アスペルガー症候群はこんな酷い事を言う人ばかりで無いと思います。でも、あまりにも毎日酷い事を言われて精神的に参っています。

離婚調停しても離婚出来ずにいます。アスペルガー症候群の配偶者は追い詰められています。当事者向けや子ども向けの本は有っても、配偶者向けの本が有りません。支援も相談する所も有りません。

アスペルガー症候群の配偶者対応に疲れて、私までかなり変な人と思われています。

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