築200年の我が家にはすきま風が吹きすさび、
暖房をいれても室温がなかなかあがらない…
外に出て行くのもおっくうだ。
こういうときは読書に限る。
というわけで、本日は書評。
アスペルガー症候群 大人の生活完全ガイド/辻井正次他監修
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実はこの本、だいぶ前に買って一度は通しで読んではいたものの、なかなか書評を書けなかった。
評判がそこそこ良いようなので買ってはみたものの、
なんか監修者(特に辻井氏、杉山氏)の以前の著書群とイメージと合わない。
監修者の一人である辻井氏の主催するワークショップに一度参加したものの、つまらなかったというのも引っかかっていたのかもしれない。
だが、この本は内容は割とすんなり頭に入る…
なのに書評が書きにくい。
…というわけで寝かせること2ヶ月強、
時折めくったりして、本棚で熟成させていくうちに?わかったのは、メインタイトルが内容をあまり表していないということである。
そう、この本は、成人当事者向けというより、成人期に診断を受けた当事者の「親御さん」向けの部分が多い本だ。
前半部分、アスペルガー症候群の説明に始まって…診断後、親がどう考えて言ったらいいか?についてのヒントが多く取り上げられている。
特に日本的な子育てが当事者に及ぼしやすい影響に言及されているのがなかなか画期的だと思う。
また、二次障害について解説に多くのページが割かれているのみならず、不適応等の二次障害を起こしている状況において、どうやって周囲が環境調整をしたり、サポートをしたりしていったらいいのかについての検討がなされている。
これは、多くの成人当事者が二次障害をきっかけに受診することが多いことを考慮したものと思われるが、とても現実的であるだろう。
後半は「社会にどう合わせていくか?」といったことにページがさかれている。
「マナー」「他人とのつきあい方」「怒りのコントロール」などなど。
ちょっと、ここまで書く必要があるのか?という部分まで書いてあるような気もするが、
それはまあ、私のオバサン感覚だろう。成人当事者のうち、若年層が対象だとすれば簡単なものも事細かに書いてあるのはありがたいかもしれない。
全体として、いい本であるとは思う。
ただ、成人当事者向けと思って読むとちょっと肩すかしを食らうかもしれない。
構成は、成人当事者のうち若年層が、診断を契機に、それまでの体験や暮らし方などを親御さんとともに考えて、暮らしを改善して行く…そんなイメージの本だと思う。
(実は…、あらかた書評を書いた後で気がついたのだが、表紙の右上隅にちっこい字で「家族がサポート」って文字が…、あはは)
特に「育ち方」と「二次障害」にスポットが当てられていることから、アスペルガー児をお持ちの親御さんにも読んでみて欲しいと思った。
ただ、あまのじゃくな私はちょっとだけイチャモンを付けたくなった。
監修者は自閉症スペクトラム障害との関わりがかなり長い人たちだ。
当事者の内面の悩みについても知らぬはずはないだろう。
「社会に合わせる」ことによる、当事者の内面の葛藤を当事者自身がどう考えて処理していったらいいのかについて、全く触れていない
別に固定した「こうあらねば」ではなくてもいい(ってか、そんなのならいらんが)
こういう考えもある、あーいう考えもある…でいいのであるが、そのあたりに対する
言及がちょっとでいいから欲しかった。
ちょっとだけ惜しい!という感じである。
ってなわけでおすすめ度は四つ星。

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なんなんですが
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