先だって、コメント欄でつごもりさんからオキシトシンに関するある研究に関する報道についてお知らせいただいた。
「愛情ホルモン」オキシトシンのダークサイド
http://wiredvision.jp/news/201101/2011011422.html
オキシトシンといえば、昨今、「信頼ホルモン」「愛情ホルモン」として一躍脚光を浴びたホルモンである。
以前は分娩時の子宮収縮に関わるほかは大して注目されなかったホルモンだが、これを経鼻で吸入すると、人への信頼度が増す等の効果があるということがわかり、自閉症の治療にもその応用が期待されていた。
実際、欧米ではサプリメントとしても既に発売されており、日本でも個人輸入が可能な状況である。
報道された研究は、オランダで行われたもので、
オキシトシン療法にはいいことばかりではないという結論である。
一部引用しよう。
コンピューターからは、5種類ある実験の、いずれかが出題される。いずれの実験も、同じグループの仲間、たとえば同胞のオランダ人に対する場合と、グループの外にいるアラブ人や、(多くのオランダ人がライバル意識を持っている)ドイツ人に対する場合との、それぞれの優遇や偏見を明らかにする目的で考案されたものだ。
いずれの実験においても、少量のオキシトシンを吸引した男性では、ライバル国の人に比べて自国民を優遇する姿勢がより強く、より頻繁に見られた。偽薬(プラシーボ)を吸引した男性にも優遇の傾向は見られたが、その頻度は少なく、程度も軽かった。
さらにこの研究に対するオレゴン州立大学の神経心理学者Sarina Rodrigues氏が、コメントをしている
今回の研究に関して、オレゴン州立大学の神経心理学者Sarina Rodrigues氏(研究には非参加)は、オキシトシンを自由な愛や暖かい感情と結びつける風潮に抗するものだと述べた。「今回の研究に先立つ最近のデータとして、オキシトシンは、自分の嫌いな人が何かに成功した場合には嫉妬をかきたて、嫌いな人に自分が勝った場合には得意な気持ちにさせる、というものがある。今回の研究はそれを補完するものだ。オキシトシンは、われわれが社会において、どこにどのような立場で属しているかを規定する鍵となっている」
このニュースを読んで私はうーんとうなってしました。
オキシトシンは濃度の多少はあるものの基本的に誰にでもあるもので、生理活性をもった物資である…ということは、どういうことか?
オキシトシンに対する受容体がが少ないとか、オキシトシンの濃度が極端に低くなるというような疾患や障害にある場合でない限り、
自分と近い属性の人間を’同じグループ’と見なし、同じグループのメンバーを優遇したり、逆に属性の異なる者を排除したりという精神機能は、人間の生理的な機能であり、消すことはできない
ということである。
自分の属する集団を維持することが自らの安全に繋がる
ということから考えれば当たり前といえば当たり前である。
もちろん、個々人の他者に対する「属性」の判定には脳の判断が関わっており、単純に語ることはできないが、「他者排除」という精神的働きが、自分の属する集団を守るための機能として備わっているとみるならば、
世にある「差別」や「いじめ」というものは、
「差別をなくしましょう」「いじめをなくしましょう」と、いくら声高に叫んでもなくならないばかりか、強調されるあまりそのグループ分けが浸透してしまえば、逆効果にもなりうるものであろう。。
「なくならない差別・排除」にはこういったメカニズムがあるものと考える
となると、
「差別をなくす」「いじめをなくす」(要は排除をなくす)という目標を立てた場合、
個々人の持つ「グループ分け」認知をくずしていく、あるいは、別の無害な認知に置き換えていくといったアプローチした方が早道ということにもなるだろう。
どうにも人間というのは一筋縄ではいかない動物のようである。
いろんなことを考えさせられた研究報道であった。

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