何だかんだで、これまで200人近いアスペルガー当事者諸氏に会ってきたが
「あ、この人表情豊かだなあ」
と思うことはまれである。
かく言う私も表情が豊かかと言えばそうでもない。
というか、家の外に出ればそれなりに表情をコントロールするが、家の中ではろくすっぽそんなことはしないから、結構無表情だと思う。
万一家の中で表情を外向きに作りこめば、たちどころに息子が、
「かーさん、なに?その顔はあ?、ギャグですか?」
という反応をするのは明らかだ。
事実家の中ではギャグ以外でそんなことはしない。面倒だ。
それはともかく…
アスペルガー症候群者は他人の表情を感知して、感情などの情報を読み取ることが苦手だといわれる。
これはすなわち、表情を学習するのが困難ということでもある。
だから、無表情だったり場にそぐわない表情だったりという事になりやすいわけであるが、
どうやら世の中それで通すとしばしば大いに誤解を生むし、損もしやすいということにもなる。
まあ、アスペルガー症候群者だって、「誤解されたい」とか「人に不快な思いをさせたい」と思っている人は滅多にいないだろう。
正直言って、ここに表情を外向けに
「作り込む」
必要性が出てくるのだ。
こちらとしては素のままの表情で誤解されないことが一番なのだが、定型者はどうやら相手の表情からかなりさまざまなことを感知してしまい、想像をふくらませるという特質があるようであるからして、ASD者が定型者の前で素のままでいるはとても危険なことなのである。
が、アスペルガー症候群者は「表情を作る」ことに抵抗がある場合が多い。
「それって嘘くさい」
…と思ってしまうというか、
「正直でない気がする」
「不誠実な気がする」
のである
が、定型者が容赦なく表情で内面を想像し評価をつけていくからには、自衛手段として、表情を作っていく必要がある。
というか、それがアスペルガー症候群者、定型者双方にとってお互いの為なのである。
定型者とて、不愉快になりたいわけでも不安になりたいわけでもない。
アスペルガー症候群者だって、好んで誤解されたいわけではない。
アスペルガー者のちょっとした表情の作り込みで誤解を受けずに済むのならやらないと損である。
そしてそれが「他人の表情から色々感知・考えすぎる」定型者への思いやりでもあると思うのだ。
私は時々行く講演の時などでいつも「実はこれはデフォルトの顔じゃないんです」「私の普通だと皆さんにわかりづらいからこうしているんです」「家に帰ったら顔の筋肉がコリコリに凝っているんですよ」という事を話す。
もちろん精神科の門をくぐるときや、自助会の場、家の中などではデフォルトの表情でいたらいいと思う
ただ、職場などではある程度意識して表情を作り込んだ方がいいのではと思うのだ。
当然のことだが、就職時の履歴書写真などでも意識した方がいいだろう。
じゃあどうやって…、
どういう表情をしたらいいのか?
基本は笑顔である。
私はこれまで経験的に
「目が笑うように」
「あごは引く」
「口角をあげる」
の3点について注意してきた。
まあ、これでほぼ正解だったようだ。
ちょっとそこから崩して「神妙な顔」というのもおぼえておいた方がいい。
が、これ、やるのが結構大変な人もいるだろう。
なにせ顔の筋肉をあまり鍛えてない人が多いわけで、やろうとしても
顔が動かない~、
という人が多いはずだ。
そこはまあ、顔のマッサージでもしながら鏡を見て色々やってみて欲しい。
さて、その手引きとなるような本を当ブログ読者のヒゲ達磨さんから紹介いただいた。下記の本だ。
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これはなかなか表情トレーニングをするにはいい本だ。
が、ちょいとアスペルガー者にとっては危険な部分がある本でもある。
書いてあることを鵜呑みにすると鬱まっしぐら…という部分があるのだ。
というわけで、連続してこの本の書評と読み方の注意を記事にする事にする。
<続きの書評はこちら>

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