ツイッターのほうで書評リクエストをいただいていたので書評といく。
![]() | 発達障害でつまずく人、うまくいく人 (ワニブックスPLUS新書) 備瀬 哲弘 ワニブックス 2011-06-08 by G-Tools |
発達障害とタイトルにあるが、大人の自閉症スペクトラムを中心に書かれた本。
ちょっとセンセーショナルなタイトルであるが、「こうすればうまくいく」的な本ではない。
自閉症スペクトラムについての解説
発達障害の診断はどう行われるか
周囲から浮く理由
治療での改善について
自分でできること
周囲の人へのアドバイス
などが豊富な例とともに語られていく。
診断までの流れはとてもわかりやすい。
また、三章から五章に展開される、なぜ発達障害当事者が奇異に思われるかについての解説はかなり秀逸で読み応えもあった。
なにせ具体的な例が多いのと筆者の文章力が優れているのだろう、とてもリアルでわかりやすいのだ。
ま、ただ、職場でギブアップした後の解決策となると、休職、配置転換等ちょっと寂しい。
はっきり言って大企業にでもつとめていない限り配置転換で何とかなるなどと言うことは夢のまた夢であるという現状をどうするか?という点については触れられておらず、物足りない気がしないでもないが。今の社会情勢や制度的な制限もあるのである程度仕方ない面もあろう。
治療や、当事者が自分でできることに関しても、SSTやグループワーク、そしてビジネスマナー、暗黙の了解の学習に努める等、それほど目新しいものがあるとは思えない。
ただ、治療でどういった改善が図れるか…という点について述べられた8章の部分で書かれている、職場における問題の生じ方の2パターンについて、はっきり記述されているのはちょっと目を引かれる。
その部分を引用する。
発達障害の特性のため職場で困っている人の中には、仕事自体のパフォーマンスが低くなっている人と、仕事自体は戦力になっているが人柄的に周りの人からうとましがられている人がいます。
ちと「人柄的に」という表現が気にはなるが、まあ、周囲から浮くなども後者に入るとすれば、この2パターンの割合(どちらか一方だけということはほぼあり得ないだろう)を基礎に職場での対策を考えていけばいいという意味で考え方のヒントになるだろうと思った。
基本的に職業的生活をどうするかを中心に書かれているので、職場での問題から自分が自閉症スペクトラム障害ではないかと思いそれについてまず知りたい人、そして自閉症スペクトラム障害とおぼしき人が職場にいて、何とかサポートしたいと思っている管理職に役に立つ本ではないだろうかと思う。

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