ASD児にルールを教えるかなり理屈っぽい方法

アスペルガーな私のルールの理解

どうやってASD児に「いけないこと」を教えればいいのか? そういう質問をある人から受けたことがある。

さてはて?
じつはこの質問、私にははじめピンとこなかった。

「いけない」という言葉に引っかかりを感じてしまう。

「いけません」というのは叱るときの言葉として有名な言葉はある。
同種の言葉に「ダメでしょ」というもある。

知識としては知っている。しかし、どうもあまり聞き覚えがない。
子供の頃に少なくとも親からはそういう言葉をあまり聞いていない気がする。
そういえば…私自身もそういう表現を殆ど使わない。
ボキャブラリーとして身についていないような気がする。

だがやって良いことと悪いことの区分はそれなりにしている。
ではやって良いことと悪いことをどうやって学んだのか?

たぶん「ルール(規則)」として理解している。
ただ、

いけないことの集まり→ルール(規則)
 という理解ではなく
ルール(規則)→不適切な行動をしない為の指針
 という理解なのかもしれない。

狸穴流ASD児向け理屈っぽいルールの教え方

ところで社会にはルールはたくさんある。 成文法を筆頭に地域ルール、職場内ルール、学校内ルールなど、盛りだくさんだ。

ASD児は学んだ規則をよく遵守するとも言われるが、その規則をガチガチに守ろうとしてみたり、 ルールを守らない他者に対して怒りを露わにしたりといったこともよく聞く話である。
私に質問をくれた方はそのあたりも想定していたようである。

さて、一応私も人の親、それも息子も娘もASDだ…というわけで、子供にルールを教えたことはあるわけだが、どうやって子供にルールを教えてきたのか?

危険防止は絶対制止だが、それ以外は基本「ルール」として教えていた。

但し、かなりの部分「一応」という但し書きをよくつける。 「あ、それ、一応ルールだからそうしとこう」という感じ。

「絶対じゃないかもよ」「場所によって違うかもよ」という保留をつけておくことによって後々の拡張性を高くしておいたのではあるが。ここは何となくの勘である。
ただ、交通ルールなど、危険防止の部分は絶対守るとしておいた。

だが、交通ルールを守らない人がいるのが気になるお年頃になると様相が変わってくる。息子も娘もASD児らしくしっかりきっちり「ルールを守らない人がいること」が気になったクチである。

「人のことはほっときなさい」

というのも当然いったことがあるが、子どもが納得いかない顔をしたところでチャンスとみて説明を開始
ルールとはなんであるのかについていろいろ説明していった。

こんな感じ↓

誰にとっても(自分も含めて)「嫌なこと」ができるだけ少なくなるようするためにいろいろなルール(きまり)がある。

嫌なことを嫌な順に並べると
 1「人の命を脅かすこと」
 >2「人に怪我や痛みを与えること」
 >3「人の権利を奪うこと」
 >4「その他の不快(納得いかない、見たくない、感じたくないこと)を人に味あわせること」

上にいけば行くほどそれを少なくするためのルールはの重要度は高く、絶対守らなくてはいけないものになる。 というような感じ。

4など状況依存、相手依存の部分が増えてくるし、「お互いさま」という部分も出てくるので、こういうものは折に触れケースに応じて説明し、「ルールの意味を考える」ことの習慣づけを目論んだ。

自閉っ子児童でよくあるのが交通ルールの問題だが、交通ルールが「ある事、それを守ること」は1や2の「嫌なこと」をなくすためだから重要。だけど、守る人がある程度多ければ全体として「嫌なこと」はかなり減るし、守らないことは守らない人が1や2の目にあう可能性が高くなるだけだから、車どおりのない時に信号を守らない人がいても取り締まったり、ルールを守らないことを非難することは多くない。(つまりペナルティ(罰則)は低い)

とまあ、こういうことを子供向けにかみ砕きながら説明していった。

実はこの説明の基本線は、「ルールを守らない人がいること」が気になっていた子供の頃の私に父があれこれ説明してくれたもののパクリである(私も相当理屈っぽい子供だった)。父の説明はもっとまわりくどくて小難しかったので多少アレンジしてはいる。

これ、理屈っぽいタイプのASD児には結構有効な説明なのではないかとおもう。

ルールの理解と自分を大事に思えること

ただ、この説明が有効打になるには条件があるとは思う。
自分や家族の生命や身体に関して「とても大切だ」という気持ちが育っていなかったり、他人を他人として尊重できないと、ルールの優先順位が適切に理解されないという可能性はあるにはある。

自分を大事にできなければ家族や他者を大事にできるわけもない。
そして自分を大事にするには「大事にされたという経験の蓄積と、それが実感できること」が必要だ。

結局ルールの理解というのもそこに行きつくのかも知れない。



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