自閉症スペクトラム児者における自他区分の問題について考えてみる(1)

自他区分が明確でないとはいったいどういうことなのか?

自閉症スペクトラムに関する解説本を読んでいると「自他区分が明確でない」というのが時々出てくる。

正直なところその自覚はない。どうやら他覚されるものもあまりないようで、しばしば「あなたは自分がしっかりあっていいよね~」などという(わけわからん)ことを定型とおぼしき人にまで言われる始末である。

となると、自閉症児者にありがちという自他区分の不明確さというものっていったい何なんだろう?ということになる。

奇妙な話2つ

若い頃、ちょっと不思議な経験をした。

学生の時分、ある学術系サークルの後輩に当たるA子にやたらなつかれた?のだが、どうも様子がおかしい。

どのようにおかしいのかというと、ただ同意するといったものではなく、私の考えや態度をまるのままコピーするかのごとくなのである。さらにサークルの他の成員にあたかも自分の意見であるかのようにそ”自信満々に”披露してしたりそれに基づく他者批判を展開するものだから他の連中とも何かとトラブルになる。

他の子達に「猫さんA子なんとかならないんですか?」と言われる始末。

正直言ってうんざりだったが、仕方ないのでやめるようにA子にあれこれ言ってみたが止まらない。いろいろ聞いてみても自覚もなければ悪気もないのでどうしようもない。結局距離をおくという方法をとった。

その時しばしば「なぜA子は他者のコピーをしてしまうのか?」を考えたが自分の考えってのがあまりないのだろうな以上の結論は出なかった。

もう一つは従姉妹の話。小さい頃毎夏を過ごした宮城に住む1つ違いの従姉妹が語った一言。

「私小学生の頃、アンタと自分の区別がつかなかったんだよね~。夏になると現れる分身みたいな感じ」

どうも自他区分の問題に関わりそうな気がする。

他にもある自他区分に関するおぼろげな疑念

他にもあれこれ当事者諸氏を見ていて気になることはある。何か自他区分の問題と関連しそうな気がするのである。いくつか挙げると次のようなものだ。

  • 文章中で能動と受動が入れ替わったり、主客の転倒が起こるケース
  • 提案を押しつけと捉えるケース
  • 人の言うことを真に受けやすいということ
  • 自閉っ子、こういう風にできてます!」中に記述がある藤家寛子さんがかつて持っていた「巨人が住む世界観」

なんかにおうのである。

サリーとアン課題は自他区分の明確度を測れるか?

自他区分といえばサリーとアンのテストを思い起こす人も多いだろう。この結果をして自他区分の明確度と結びつける解釈もすくなくない。

だが、これは自他区分というより他者視点での思考ができるかのテストではないだろうか?

直感的(な自動思考)に結論を出せるか、意識的な思考で結論をだすかはともかく、他者視点を想定した思考ができれば解けるものだ。

もちろん自他の区分がある程度ついていないと「他者」自体の想定がしにくい可能性はあるので、間接的に自他区分の明確度測りうると言えなくはないが、「ルールとして」思考する」ことができればリアルで他者の存在(感情や思考などが自分と異なること)を認識することに問題があってもクリアできる課題であるような気がする。

自他の区分というよりは「自分以外の視点の想定」に関するテストのような気がするのだ。

 

自他区分が明確でないということを図にしてみる

どうもよくわからないのでとりあえず図にしてみようという安直な方向性で動いてみた。図の作成ツールの発達はとても有り難い。

まず自他区分が明確であるということを視覚的に考えてみると、自分の内部世界と外部の世界の間にバリアーのようなものが存在するという図を思いつく。

下図のようなものだ。

barrier202.png

同様に自他の区分が明確でない状態を考えると、上図にある境界線がぼやけているといったものが考えられる。

barrier203.png

もっと明確さが損なわれると色味がうすれ、ぼやけ方が激しくなると考えれば良いだろう。

barrier204.png

図にしてみるとなんだかいろんな疑問が腑に落ちてきそうである。

この図を元に自他区分の問題についていろいろ考えを進めていくつもりであるが、かなーり長くなりそうなので今回はこの辺で唐突に終わっておく(たぶん数回は続く)。



続き(自閉症スペクトラム児者における自他区分の問題について考えてみる(2))はこちら



ボディイメージがうすけりゃそりゃ自他の境界なんてのもあいまいになりそうな気が…する。

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コメント

発達障害の特徴の1つに
「年齢の割に服装が幼い、若しくは非常にシンプル」
というのを読んだ時、思わず「ワシのことかぁ?」と驚きました。
自分は若い気持ちで全身ユニクロのカジュアル服を着てると思ってたら、
それも障害の特徴だったなんてビックリです。
確かに基本、デニムにポロシャツ、トレーナー(ほぼ無地)が20年は続いてるって幼いっちゃ幼いっすよね?
で、自他区分という点でも、この幼さ加減が影響あるのではないかと思います。
今日、就労支援センターの企画でマインドマップの図解法を学習していたら、
KJ法(カードで情報収集、分析)チームの参加者(二十代前半、大卒、多分発達障害的傾向あり)がやって来て、
「これは昔懐かしいマジカルバナナ(バラエティクイズ)みたいですねぇ。よく見てましたよ。楽しいんですよね、あれ」
とほざきやがったのです(思わず失礼)。
その時はうっとうしいな、位にしか思わなかったのですが、
後から考えると 、ゲーム形式でやっていたとはいえ一応学習なわけで、
お子ちゃま相手のお遊びと一緒にされると、
それに参加してる事がアホくさくなってきたんだと思います。
現に他の参加者はお世辞でも「こんな方向に発想が広がって行くんですねぇ」と感心してくれたことからすると、
やはり、マジカルバナナニイチャンには保育園児が友達の持ち物を見て
「僕も同じの持ってるよ、ぼくのはねえ…」と
自慢してくる幼さを感じずにはいられませんでした。
だとすると自分と他人を同一視しているから失礼な感想を言ってくるのか、
区別しているからこそすり寄ってくるのか、ちょっと疑問です。
私自身はこの部分はあまり当てはまっていないと思っていますが、
他人とは距離をおきたい、
すり寄りたくない、寄られたくない気持ちは、
同一視しているからこそ圧迫感を感じてしまうためなのでしょうか?
疑問です。

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