夫が発達障害問題再論(1)-あさイチの夫の発達障害特集から考えたこと-

NHKで夫が発達障害の特集

へえ、とうとうカサンドラがNHKで取り上げられるのかあ?とちょっと興味を持ったので番組情報を先日記事にしたわけだが、今日はその放送日ということで眠い目をこすりながら番組を見た。

あさイチの「どう向き合う?夫の発達障害」の回の放送内容概要はこちら(NHK番組サイト)

NHKオンデマンドで視聴できるようになったようなのでそちらへのリンクも張っておきます。<br /> http://www.nhk-ondemand.jp/goods/G2015062169SC000/

夫が発達障害で困っているという話はまあネット上のあちこちに転がっている。このブログでも「配偶者がアスペルガー問題」というカテゴリーがあり、だいぶ前に何本か記事をかいたが最近はあまりこの話題には突っ込んでなかった。

というわけで番組の感想含めて久々に書いてみることにした。まずは目についたところから。

 

モデルの栗原類氏の発達障害カミングアウト

イケメンなのにネガティブ発言というミスマッチでブレイクしたモデルの栗原類氏がゲスト出演していたが、なんと番組中で自身が発達障害であることを告白。

ああやっぱり…という感じはする。

氏が語ってくれた「天才が多いと言われているのでカムアウトしにくい」というのは結構重要な問題だと思う。

感覚過敏が取り上げられた

番組中で栗原氏の体験を交えつつ感覚過敏が取り上げられたことはとてもありがたい。

モノが感覚のことだけに他人の感覚は理解しにくいことから、我慢がないとか、慣れさせなきゃとか言われやすいものだ。

過敏対策のイヤーマフやデジタル耳せん、カラーグラス(これは視覚過敏用)といったツールの使用で周囲や学校の理解を得ることが難しいといった話もしばしば聞く。こういった番組で取り上げられると理解を得やすくなるだろう(NHKやるじゃん)。

とまあ、夫が発達障害問題に直結しない部分についてはこんなとところ

 

カサンドラ現象を取り上げた部分を見て考えたこと

番組で取り上げられたケースは発達障害の夫が自分の障害に気づいて前向きに関係改善に取り組もうとしているケースが2例だったので、悩んでいる人が見たときに悲観的にならなくて済むような配慮なのかなあ?時間の制約もあるからなあ…と思いながら見ていたわけだが、実際のところ、離婚や別居に至るケースも結構あるし、対して問題が起こらないケースもあるわけで、そういったケースも取り上げてもいいのではと思った。

 

カサンドラ現象再論

このカサンドラ現象、実のところ私にはあまりピンとこない。我が家のタヌキ亭主も自閉系グレー(親がとっくの昔に他界しているため幼少期のネタがないので確定診断できない)であるが、今の私はウツとは縁遠い生活をしている。まあ、私自身アスペルガーということもあるせいもあるだろう。

離婚した元夫も自閉さんだったが、うまくいかなくなった原因に「察してくれない」とか「気持ちが通じているきがしない」なんてのは入っていない。

もちろん、あれこれ察してもらうことでつながりや相手の愛情を感じ、精神的活力を得ていくタイプの人には夫がASDだと結構しんどいかもしれないとは思う。

しかし、結局、相性じゃないのかな?と思うのだ。

夫婦はもともと他人だし、最悪別れるという選択肢もあるわけだ。夫の発達障害がわかっても愛想がつきなければ関係改善もできるかもしれないが、愛想が尽きるならそれまでの縁なのだろおもう。

あまり発達障害のせいにしすぎるとあちこちの自助会に、妻から「あんた、ここいってきなさいよ」と言われて仕方なくやってくる気弱なASD男性が増えるだけでないの?という気もしてくる。

 

深刻なケースは本当にカサンドラ現象なのか?

もちろん深刻なケースというのもある。番組の末尾にもちょっと深刻そうな投書が紹介されていた。

カサンドラの話を聞くときにいつも思うのが、満足のいく会話がないとか、気持ちが通じている気がしないとか察してもらえないことでしんどくなるといったことによるもの以外が隠れていないか?といったことである。

やたら被害的にとらえ、急に落ち込んだり怒り出したりするので話ができないとか、転職を繰り返すとか、モラハラやDVが起こるなんて場合、そりゃ妻の側に無力感は生じるだろうが、これは単純なカサンドラ現象というより二次障害をこじらせたことによるものではないかと思うのだ。

もしそうなら対処は全く違ってくるだろう。

ただこれも、別に妻が夫の療育係にならなくてもいいわけで、愛想尽きたら別れてもいいわけだ(もちろん妻の選択がないとはじまらないが)。

まあ、夫婦間のことは基本個人的なことだし、世には仮面夫婦なんてものときどきあるらしいので、そういう選択が否定されるべきとは思わないが、いずれにせよ選択できるということにも触れて欲しい気はした。

強引にまとめると、なにはともあれ、カサンドラをテーマにしてあまりアスペルガー夫叩きにならない番組構成はさすがだなあと思った。

 

NHKさんに要望

次回カサンドラ問題を取り上げるときはぜひ様々な事例の比較をしてみて欲しい。

その際には妻側のコミュニケーションの指向性といった要素も比較してみていただけたらと。

 

 続編 夫が発達障害問題再論(2)-関係改善の可能性がある条件を考えてみる- はこちら

 

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