発達障害支援のための有力ツールが保険収載!
連休前だったかfacebookで回ってきた情報なのだが、ちょっと興味深いので紹介しておこうと思う。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/events_news/department/ningen_kankyou/news/2016/160413_1.html
発信源は京都大学。
簡単に概要を説明すると、数年前からさまざまな研究機関が国の肝いりでやってる「構成論的発達科学」というプロジェクトで、京都大学でされていた研究から「発達障害者の特性別評価法(MSPA)」という評価ツールができて2016年4月から保険収載までこぎつけたんだそうだ。
どんなツールかというと、発達障害児者にありがちな障害特性を、
- コミュニケーション
- 集団適応力
- 共感正
- こだわり
- 感覚
- 反復運動
- 粗大運動
- 微細協調運動
- 不注意
- 多動
- 衝動性
- 睡眠リズム
- 学習
- 言語発達
の14項目に分類して評価し、レーダーチャートにして視覚化することによって、支援の迅速化、支援情報の共有化を進めやすくしようというツールである。
図を見る限り非常にわかりやすいイメージである。
具体的なやり方だが、特定のテストを利用するのではなく、本人や保護者と面談しての聴取を行ってレーダーチャートに仕上げていくとのこと。
(http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/events_news/department/ningen_kankyou/news/2016/160413_1.htmlより引用)
なるほど、確かにこういった共通言語的なものがあれば個別の支援をどうするかについて支援者間で話が通じやすくもなるだろうし、当事者にしても自己理解を進めやすくなるといったこともあるだろう。
賛否両論あるが...
こういったチャート化含めた評価法というのは、とかくいろいろな危惧や批判が出る。
「あなたはこうだから...こうしなさい」といった押しつけ支援のネタになってしまうのではないかとか、逆に「私はこうだからこう支援してくれなきゃ困る」といったごり押し要求のネタになるんじゃないかとかいうのが持ちがちな危惧だろうし、人間をこういった形で評価するのは非人間的...という批判もあるだろう。評価の観点は本当にこの分類でいいの?とか、結局聞き取りで調査って客観性に欠けるのでは?とかってな疑義もだされるだろう。
とはいえ、今までこういった個人の特性に合わせた支援につなげるためのツールの開発がほとんどなされておらず、何をどう支援していったらいいのかの共有かできていなかったことを考えたら、この評価法が保険収載されたということの意味は大きいのではないかと思う。
保険収載されればいろんなところで使われることになるだろう。そうなればこのチャートの分類が当事者の実態に本当にマッチしているのか、発達障害の障害の核心はどのあたりに?といった研究へも広がっていく可能性もあるだろう。
発達障害の障害特性といわれるものは実は不変ではなく結構変化する。そしてそれまでの人生で得た知識が関与する部分も大きい。
変化しやすい特性、しにくい特性、そして知識の関与、その相互の関係についてもわかるようなチャートができていけば改善戦略として大いに使えるようなものになっていく可能性もある。
そういった意味でも、この「発達障害者の特性別評価法(MSPA)」が保険収載されたということは、そのはじめの一歩たりうるのではないだろうかと結構期待している。
京大やるじゃん!
どこに行けば受けられるのかの情報は今のところつかんでないのだが、自分もこの評価うけてみたいなあ~と思う。
▼最近読んだ本、結構興味深いです。
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