スタッフとしての参加が主だったが、一応ポスター発表もしてきたので、内容をこっちにも公開。
ネタはこのブログで時々書いていた私の聴覚過敏に関する内容。
だが、ポスター発表となるとブログのように長々とかくわけにはいかないので、ダイジェストしまくり削りまくり(でもちょいと末尾にオマケのネタもつけた)で、発表スペースにおさめめたのであった。
以下は2016年10月9日に第13回当事者研究全国交流集会でポスター発表した内容です。
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研究の発端
「自分の聞こえ方にはかなりクセがある」
そう意識したのは中学校二年生の頃だった。
ながら勉強耐性
時は昭和、深夜ラジオのトークを聞きながら勉強をするのが当時の中高生のありがちなスタイル。級友の間でもラジオ番組が話題になっていた。
あまり流行とやらに関心のない私もある夜ふと深夜ラジオとやらを聞いてみた。
が、ラジオの音声を聞こうとすると単純な計算ですら鉛筆を持つ手が全く動かず、手が動くときはラジオの声が全く耳に入らなくなる。
勉強に集中してくるとラジオの音が騒音でしかなくなり、気がつくとスイッチをオフにしている。
つまり「ながら勉強」が全くできない。
クラスメイトに聞いてみても誰もかれもが「うっそー!」「まじ?」というばかり。
軽い計算くらいならラジオのトークを聞いていても全く問題なく手が動く人が大半のようである。
「私の脳みそはきっと徹底的に”ながら勉強”に向かない脳みそなのだな」というのがそのときの結論である。
BGM耐性
お次は高校時代の話。高校生といえば興味を持つ音楽に幅が出てくるお年頃。勉強するときなどBGMがないのも寂しいのでいろいろ聴いてみたりもした。かなり色んなジャンルを聴いてみたが、その結果わかったことは、
1)人の声の入ったものは無視しにくいのでBGMには思いっきり向かない
2)好きな曲は聞き入ってしまうが、好きでない曲はすぐイライラしてくる。
3)大音量はとりあえず苦手。
「聞き流す」が苦手であるだけでなく「苦手な音の幅が広い」ようであることがわかった高校時代であった。
パソコンの動作音
どうもパソコンの動作音が気にくわない。
気がついたのは息子が中学生になりパソコンをいじるようになった頃。茶の間の端っこにあるヤツのパソコンの動作音が気になって仕方がない!
不快感に耐えられず
「そのパソコン消してくれ~」
と、自分は別のパソコンのキーボードを叩きながら言うのであるから、音が気にならない息子にしてみれば全く迷惑なはなしである。
だが、不快なものは不快である。我慢しているとそのうち頭が働かなくなる。
その後パソコンの場所を変えたために問題は消失したがひとつ気がついた。
パソコンの動作音といえば放熱用のファンの音とハードディスクの音がほとんどだ。
どちらにしろモーターが回っている。モーターの回転音はかなり個性があるのでその違いがこちらの脳みその動作にも影響するようだ。
換気扇バトル
今住んでいる家は、私が先日までパソコンに向かっていた場所のすぐ近くに換気扇がある。
住み始めてからずっとその換気扇をめぐって不毛なバトルがくり返されてきた。
タヌキ亭主は部屋の匂いに敏感なのかやたらその換気扇を回したがる。
が、その換気扇の音が思い切り私の脳みそを攻撃する。
「まあいいや」…と思って換気扇を回し続ける放といつの間にか頭が働かなくなり、そのうち身体までだるくなり動く気力もなくなる。
そうなってから「換気扇消さなきゃ…」と思ってもなかなか立ち上がれないからやっかいだ。
なので私は気がつけば換気扇のスイッチを切る。
かくして我が家では
タヌキ亭主が換気扇をつける→狸穴猫が換気扇を消す→タヌキ亭主が換気扇をつける→狸穴猫が…(以下繰り返し)
という猫と狸のイタチごっこが年中起こっていた。
家の中は音だらけ
エアコン、扇風機、ファンヒーター、トイレの脱臭機能の動作音など、昨今の家の中は結構音が多い。
冬場「寒いな~」と思いつつ、ファンヒーターが切れたのに気がつきにくいのは「温度変化に気がつきにくい」というのもあるが、「音がなくて静かなので放置したい」というのもある気がする。
デジタル耳せんとの出合い
デジタル耳せんというのは、低い音(300Hz以下)だけをカットしてくれるツールである。
発売当時から存在を知っていたもの「効果あるのかなあ」で、記憶の奥底に沈んでしまっていた…。
だが、2014年の夏、冷房やら扇風機やら音がうるさくてしんどい!と思いきって購入した。
うわ~!楽だ~!
デジタル耳せんをつけた途端、私にとっての不快音がごっそり消えてくれた。
換気扇バトルが速攻で消滅しただけではない。
スーパーの店内で使ってみると、店内放送やBGMが気にならなくなる。
そして冷蔵機や空調の音が案外大きかったことがわかった。どうやら冷蔵機や空調音による負荷が人の声に対する耐性を下げていたようだ。
街中への外出時に使ってみたら、電車の車内や地下街で使うと後の疲れがかなり減る。
デジタル耳せんをしばらく使っていたらいろいろわかってきた。
- 地下街や商業ビルはあまり意識はしないが結構すごい音がしている。
- なにやら「地に足がついている」感覚がする。
- なぜか聞き間違いが減る。
少なくとも以前よりも足の裏の感覚がわかりやすくなり姿勢の制御が楽なのかとも思う。
聴覚刺激の負荷は他の知覚へも影響するようだ。
イヤホン型なので触覚の負荷は多少はあるため、一日中使っているわけではないが、ピンポイントでも使うとかなり疲れが軽減できる。
紙面が少ないのでデジタル耳せんに関するレポートは「詳細はウェブで!」
(この会場の発達障害体験ブースにデジタル耳せんの現物おいてます)
電車乗車時の聴覚負荷の軽減策(ほぼおまけ)
電車内の騒音は、車両(素材、製造年代、構造など)や空調などの要素でかなり音圧が変わる。さらに同じ編成内でも号車によって騒音は変わる。
スマホの騒音計アプリで調べてみるとモーターのある車両はない車両にくらべ概ね10db程度音圧が高いようだ、この差は大きい。
長時間の乗車であればモーターがついていない車両(パンタグラフがない車両)に乗る方が快適かつ後の疲れも少ないのでそうしている。
上の電車対策のように最近は聴覚過敏対策のバリエーションが増えてきた。
まとめ
私にとって音の負荷は思いのほか大きかった。
負荷の高い低音の発生源としてモーターがある機器は要注意である。
もっと楽したいのでこれからも色んな方法を探したい。
=ここまで==============================================
じつのところ当日は発達障害体験ブースの方にずっといたので、あまりポスターのところにいなかったという…。
そして会場構造もあってひさびさに音あたりを起こしたのでした。
大会のレポートは長くなりそうなのでまた近いうちに。
↓私の聴覚ネタ、聞き間違いネタやアスパラガスの会スタッフの視覚ネタなどが載ってます。
発達障害 うちの子、人づきあい だいじょーぶ!? (こころライブラリー) | ||||
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