<第9話はこちら>
10 終焉と光
殴る蹴るのDVは何回かあった。
そして、夫(元)の異常な行動は半年ほどで収まったが、今度は経済苦が襲ってきた。
夫(元)の疾病手当も支給終了となり、失業保険も使い切った。
借金もした。実家の母に金を無心した事もたびたびだった。
とうとうお金に詰まった私は、ある警備会社の門を叩いた。
理由は簡単だ。大学中退、そしてその後専業主婦しかしていない、キャリアも何もない私を雇ってくれる、そして、スーパーのレジをやるより高収入な職はガードマンくらいしか無かったからだ。
パソコンのスキルには少々自信があったが、資格の1つも持っていない私が派遣などの職にありつける可能性は少ない、そして事務系には向いていないと踏んだのもある。
研修も終わり、私は痛み止めのカプセルを飲み、初現場に立った。
そしてその初現場で目にしたものは衝撃的だった。
そこには生きる事に必死なオッサン達の姿があった。
彼らは笑いながら仕事をこなしていた。
中年以上の男性でガードマンをやるのはそれなりに理由がある。
リストラ・事業の失敗等々、それなりの理由があって警備業界に入ってくる。
あとで知ったが、大手出版者をリストラされた人物と、介護の都合で大手ホテルをやめざるを得なかった元ホテルマンがその現場にはいたのだった。
家に帰れば口を開けば「もう終わりだ、死ぬしかない」としか言わない夫(元)。
その「生きる気力・根性」の落差に愕然とした。
現場のオッサンたちが輝いて見えた。
二度目の現場に行っても三度目の現場に行っても同じだった。
必死に生きている人達の間で、私は路上でのきつい仕事にのめり込んでいった。
そして私の心は段々と家にいる夫(元)に見切りをつけはじめていた。
<最終回へつづく>
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