ここらで一息入れようと思ったのだが、連載中にため込んでいたモノを放出せねば。
というわけで、本日なんと3発目。
さいごは久々の定型発達者研究といってみよう。
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叱責される…そういった機会を経験したことのない人はほとんどいないだろう。
自分が悪いと思えば「謝る」ことになるのだが、この「謝る」が、アスペルガー症候群者にとってはちょっと曲者で、真剣に謝ったつもりが…
1 「気持ちがこもっていない!(怒)」
とか
2 「おまえ、それで謝っているつもりか(怒)」
などという反応にあって、対応に苦慮した…というかうまく対応できなかったという人は少なくないのではないだろうか?
実際、私自身、何度もやっている。
さすがに成人後あたりから、自衛策を講じるようになったが、(自衛策については後述)なかなかやっかいなものだ。
さらに2のケースで「はい、そのつもりですが…」などと答えて、さらに相手の怒りを買うなんて事もあり得る。
1にしてみても、本音のところ「じゃあどうしろって言うんだ!」と言いたくなったりする。
ところで、実は先日NHK教育テレビの「できるできるできる」という小学校一年生生活科の番組をミチャポンと一緒に見ていてふと疑問に思ったのだ…
校長先生に挨拶するという場面でのお辞儀の仕方をやっていたのだが、そのまとめとしてだろう、
「……、ほらニコニコ気持ちが伝わった♪」
という歌詞の歌があったのだが、前半部分「……」の部分は、「丁寧なお辞儀の仕方」だったのだ。
それを聴いていて…
んん?「ニコニコ」っていったいなんだ???
ええっ??どんな気持ちが伝わったんだぁ???
頭の中は?でいっぱいになった。
それから、ふらふらと「気持ちが伝わる」について考えてみた訳だ。
そういえば同じNHKの教育テレビの発達障害児向けの番組に「顔の体操」ってのがあって、その時に、
「気持ちが♪上手に♪伝わるように♪~~」という歌が流れる。
(どうもこの歌、聞いててきもちが悪かったんだが…)
となると…。
やっとここで気がついた。
「気持ち」は「伝わるもの」と信じられている!のだ。
詳しく書こう。
そう、定形発達者では
「顔面や声、態度に現れたもの」から「気持ちが自分に伝えられたか」を判断しているのだ。
そして、この判断回路はどうも完全自動化されていると思われる。
つまり、いちいち「この顔だから…」なんてことは意識して考えてはいない。
ここで冒頭の話に戻るのだが、謝罪するシーンで、
アスペA「申し訳ありません」
↓
定形 B「気持ちがこもっていない(怒)」
となるまでの時間はとても短いからである。(ほとんど瞬間技だ!)
さらに、何故か「気持ち」に関して「伝搬」があるという前提があり、
「こうに違いない」という脳内での判断に過ぎないものを、
気持ちが「伝えられている感じる」とこれまた脳内で解釈していると考えられる。
まあ、オール自動処理なら、これを「伝搬」と「感じ」ても不思議はない!
この前提を置くと
前述のAとBのやりとりのケースでは、
Bの中にデータとして格納されている「謝罪の態度・口調・表情」以外の「態度・口調・表情」をAがとっていたために
Bが「謝罪の気持ちが伝わってこない」と瞬間技で「感じた」のだ。
ところで、アスペルガー症候群者は、他人の表情から感情を読み取るのを苦手としている場合が多い(そのあたり、顔細胞だか、ミラーニューロンだかが関連しているらしいが、ちょっとその辺に突っ込むのはやめておく)。ついでに他人の顔に関心が薄かったりもする。
となると、当然表情と感情の関連について学習することも苦手なわけで、多数派での「ありがちな表情」というものを学習しないで成長することも十分あり得る。
アスペルガー者は「無表情」「不適切な表情をする」といわれるのはそういうところなのだろう。
だが、アスペルガー者側からしてみれば、真の気持ちとは別の解釈をされるわけで、
「表情を勝手に解釈されて、とっても困る!」
「一体、どうしろっていうんだあ!」
「人の表情にけちつけんなよ!」
ということになる。
控えめにいえば「誤解」
大げさにいえば一種の「冤罪」である。
この「冤罪被害?」を防ぐのには、2つの選択肢がある。
1、「表情等が必ずしも本当の気持ちと一致しない」ことを予め周囲に説明しておく。
2、定形発達者に対しては、定形発達者に判りやすい態度・口調・表情で接するようにする。(もちろん、トレーニングは必要となる)
私は、実際問題として1は難しいと思う。
なぜなら、定形発達者の脳内での情報処理が自動だからだ。
となると必然的に2という事になるのだが、あらゆるシーンで…なんてことはアスペルガー症候群者にとって、あまりにも負荷が高すぎる。
優先順位をつけねばなるまい。
実は上記の理由が明文化できる前に「表情による誤解」を防ぐ苦肉の策として、長年2を利用してきた。その経験から言えば、次の3つを押さえておけば、他は手抜きしても大事にはならないようである。
1「謝罪する」「叱責を受けている」場面
2「挨拶する」場面
3「感謝を表す」場面」
これさえ押さえておけば、他の表情に定形発達者の了解上のミスマッチがあっても
「ちょっと変わっているけど悪い人じゃない」
という評価・評判を手にしやすい。
さて、じゃ、トレーニング。
1ドラマ等で場面ごとの表情・口調・態度の研究をする
2鏡を使いながら再現
3実地で使ってみる
ということなるだろう。
慣れないうちは多少顔の筋肉が疲れるが、まあそのくらいはしょうがないだろう。
というわけで、多少尻切れトンボにまとめておく。
「気持ちをこめて!」という言葉は
「言葉にマッチした(定型発達者にわかりやすい)表情・態度をとれ」
という意味の「暗黙の了解の表現」だということだ。
ああ、これで、「暗黙の了解」が1つ暗黒の世界から光の世界へ!
めでたしめでたし。

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