この本を読んで「おおお!これは!」と講演会に行ってきたという話はちょっと前の記事「アスペルガーと身体の芯とコミュニケーション-森嶋勉先生の講演を聴いてきた-」に書いたわけだが、今日はどこいらで「おおお!」と思ったのかについて書いてみる。
伸ばそう!コミュニケーション力―不器用でも、体力なくても、友だちいなくても、今日からできるワクワクトレーニング | ||||
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さて、この本は、スポーツ塾 チットチャットの森嶋勉(もりしー)先生の著書。「自閉っ子シリーズ」でおなじみの花風社の本である。
花風社の浅見淳子さんとの対談形式で非常に読みやすい。そして厚さも本文141ページとさっくり読み切れる分量になっているので厚い本が苦手なかたにも抵抗なく読み進められると思う。
さて内容。
ページ数が控えめなのだが中味は濃い。
親と子の関係性、そしてコミュニケーション力とはなんぞや?というところから始まって、身体づくり、スポーツとコミュニケーション力との関係という、一見あまり関係なさそうなものが実は結構関係が深いといった話がテンポよく展開されていく。
体感が弱かったり、過敏な部分があったりと、なにかと身体の問題を抱える自閉っ子にとって、身体の使い方というのはとても大きな課題である。
身体の使い方が下手であることによって、さまざまな能力が阻害されていたりするのであれば、それはトレーニングする価値があるだろうし、スポーツを通して「コミュニケーション」を理解していけるのであれば、それはトライする価値があるだろう。
目次を読んでみると、あけすけな…というかわかりやすい項目が並ぶ。
ちょっとピックアップしてみる。
「人のせいにしなくなる人」になるためのトレーニング
「人生の思いがけないできごとに慣れる」ためのトレーニング
「キモイ」といわれなくなるためのトレーニング
「びびり撲滅」のためのトレーニング
乱暴な振る舞いをなくすためのトレーニング
身体のトレーニングについては私自身が結構通ってきた道という部分もあり、読んでいていちいち納得である。
身体で覚えるというのは実に手っ取り早いやり方なのかもしれない。
そして、実はこの本身体面だけではない部分も大きい。
後半では、「自己肯定感をはぐくむチャレンジのさせかた、ほめ方」という重要なポイントが惜しむところなく説明されている。
自己肯定感をはぐくむために「ほめて育てろ」というのはよく言われることだが
「じゃあどこをどうほめればいいの?」
というのがなかなかつかめないお母さんも多いだろう。
この本を読んで私が思い出したのは塾業界に片足突っ込んでいた頃のこと。
あの業界、週に1度のアプローチで「教えてない教科まで伸ばしてしまう講師」というのがいて、
まあ私もそういう教師の職人芸的な技をしばしば盗ませてもらっていたのだが、森嶋先生の実践はその職人芸的なやり方とも大筋で通じるところがある。
この技を身につければ子育てがかなり楽になること請け合いである。
説明が結構かみ砕いてあるのもありがたい。
この部分だけでも元が取れるだろうな~と思うのであった。
まとめると、自閉症児者におけるスポーツの効用あれこれとトレーニングの方法論、子育てが楽になる考え方と内容盛りだくさん。
実にコストパフォーマンスがいい本だ。
というところで書評終わり。
= おまけ ===========
書評を書こうとこの本を机において置いたら娘がひょいっと手に取り、めざとく「チットチャットで使っている用具一覧」のページを発見。
「うわ~、やってみたい」!の連発。
運動好きの娘にもかなり魅力的に映ったようだ。
腹の中で「みーちゃん、キミに必要あるんかい?」とは思ったが、まあものは試しとホームセンターでバランスボールを買ってきた。
そしてその晩…バランスボールの上で足を上げたままバランスをとりながら座って漫画を読んでいた娘がいた。
こうなると、難易度をどう上げるか頭の痛い狸穴猫であった。

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